あっという間だった学生生活も幕を閉じました。
「新生活」というと聞こえはいいですが、まあ4月から始まる生活は大変なのだろうと思います。
名残惜しく消化してきた時間も残すところわずか。
もうこんな生活を出来るのも今だけ、と思って、少食のお腹に鞭打って食べまくってきました。
いつ食べるか・・・今でしょ。
もう本当に残りわずかです。
というわけで、集大成的に選んだお店はこちら。
世の中には様々な人気店があります。
激安を売りにするお店、夜景を売りにするお店、テレビや雑誌の取材を積極的に受けるお店。
それぞれがそれぞれの考えでお客さんを喜ばせる術を日々練っているわけです。
こちらもそんな人気店の1つ。
料理でお客さんを喜ばせたい、シェフのそんな気持ちの詰まったお店です。
カンテサンス。
ついに来てしまいました。
2ヶ月先まで予約は埋まっている超人気店。
とにかく電話のつながらないことw
3日間で100回超かけました。
奇跡的につながり、奇跡的に3月の平日ランチを確保できました。
白金台にあるこちらのお店。
目指して来なければ目に留まることはないであろうひっそりとした佇まいです。
ミシュランが日本で始まって以来6年間3つ星を維持している日本屈指のフレンチレストランです。
さて、お店の外観で3枚も写真を使ってしまいましたが、実はこの先写真はありません。
こちらのお店は個室のみ撮影可能なのですが、僕の席は残念ながら個室ではありませんでした。
というわけでここからは文章のみになります。
長文になると思うので、暇のある方のみご覧いただければと思います。
まずお店に入ると受付とソファーがありますが正面に食事の空間はほぼ見えています。
シックな黒い空間、という印象。
受付の女性を除いて全て男性なので最初は少し圧迫感すら感じます。
席に案内されると食前の飲み物を案内されますが、そこはごめんなさい、水でお願いいたしました。
本来はお酒と合わせるべきなのでしょうが、僕はお酒を飲まない人間ですし、金銭的にもさすがに手が出ませんでした。
水だけでも11種類用意があるのだとか。
硬水、軟水などから選べるということでしたが、無難にペリエにしておきましたw
ドリンクを注ぎ足すタイミングも絶妙で、しつこすぎず、飲みたいときには必ずある、といった感じ。
供されるメニューは黒革の表紙の重たいもの。
ゆっくりと開くと左のページにはシェフのこだわりがぎっしりと認めてあり、右には噂の「白紙のメニュー」が。
選択肢もなく、シェフのお任せメニュー一本のこちらのお店、あえて白紙のメニューを提示するという演出です。
提供されるパンはメゾンカイザーのもの。
ずっしりと重いライ麦と全粒粉のパンでしたが、販売されているものとは違うでしょうか。
かなり暗いグレーでクラストは分厚くガリッと強い食感。
酸味もはっきりとしたもので、主張のあるパン、という印象でした。
一皿目は、温かい小さなグラスに入った根三つ葉とセロリと玉ねぎと豚足の温かいスープ。
個人的にはグレービーソースを思い出しました。
セロリや玉ねぎのエキスのせいもあるかもしれませんが、それくらい濃厚さもありました。
トロンとした豚足、シャキシャキの野菜の食感を楽しめる一方、後味に三つ葉の香るスープでした。
三つ葉の効果で和すら感じるような味わいでした。
二皿目はお店のスペシャリテ、塩とオリーブ油が主役、山羊乳のバヴァロワ。
山羊のミルク独特のクセをほのかに感じるバヴァロワは後味がとてもさっぱりしてサワークリームに近い感じも。
毎朝4種類をブレンドするというオリーブオイルとゲランドの塩がかけられています。
トッピングには白い円形状のものが散らしてありますが、ゆり根とマカダミアナッツの2種類が同じものに見えるようにカットされていました。
食感も全く違うものではないのですが、微妙に違いがあるのが面白かったです。
オリーブオイルの香り、塩の辛味と甘み、山羊のミルクの酸味が色んな顔の出し方をする一皿で、スプーンですくうたび違う味になるようでとても素敵な一皿でした。
三皿目は、パルメザンチーズを練りこんだパンケーキ。
パンケーキは専門店のそれらと比べても群を抜くようなしっとりとした生地にパルメザンチーズの香りも濃厚です。
少し他のチーズも入っているでしょうか。
ブラウンマッシュルームはえぐみを感じさせないために表面を全て削いであるというこだわりよう。
といってももちろんいいマッシュルームを使っていそうで香りはかなり感じられます。
そのまま使ったらもっとすごいのでしょうか。
パルメザンチーズの香りを前面に出すための一手間なのかもしれません。
マッシュルームと青柳の食感もコリコリ、サクッとした若干近いものながら、また微妙な違いがあって面白かったです。
四皿目は魚料理。
下戸産金目鯛のロースト。
こちらのお店お得意の半生に仕上げられた身のグラデーションがとても綺麗で見入ってしまいますが、一秒一秒変化するお料理なので早速お召し上がりくださいとのこと。
皮目はこれまでにないほどカリッカリに焼かれています。
とろけるように脂が程よく身全体に馴染んでいる火入れはまさに絶品。
感動物でした。
ソースはシャンパーニュのビネガーを使ったトマトのソース。
こちらは食感のあるソースでした。
甘みの強いトマトを使っているようで、それだけでも食べてみたいと感じさせるほどトマトが美味しそうでしたw
ビネガーも酸味はマイルドで甘みのあるものだったと思います。
とてもフレッシュなソースでした。
もう一種類は泡のソース、デコポンが使われていたと思います。
無に近いほど軽い食感で肌理の細かい泡のソースにほんのりと柑橘の香りが感じられました。
「続いてお肉料理ですが、量は足りていますか?」
と尋ねられました。
同行者はかなりガッツリな同級生だったのですが「大丈夫です。」と答えるほどここまででも十分なボリューム。
僕はもちろん、十分すぎるほどです、と答えましたよw
五皿目。
「お若いですのでガッツリめにしておきました。」と運ばれてきたお肉は230~240gほどとのことw
普通の一人前は120~130gだそうです。
目を疑うようなボリューム、ギャルソンの方は完全に僕は無視していたのでしょうかw
お肉は芋豚のロースト、こちらも2種類のソースで、人参とクミンのソース、もう1つはお酒を効かせたものでハーブも使われていたバターソースだったように思います。
お肉はまず表面、そして脂の側を焼きつけ、その後はオーブンに入れたり出したりを30回ほど繰り返して焼き上げるのだとか。
調理法によるものだと思いますが、身の柔らかさ、肉汁の残り具合が半端なかったです。
こんな肉料理は食べたことがありません。
柔らかすぎてナイフで切りにくく、ギシギシやっているうちに肉汁が溢れ出てしまうのがもったいなかったです。
しかしまたこの肉汁がソースに混ざったものを付け合せのお芋、しめじ、スティックセニョールに絡めていただきました。
とはいっても脂身もかなり多目のお肉で食べきるのには相っ当苦労しました。
同行者のガッツリ同級生はパンをお代わりしたのですが、一枚目も結構な大きさでしたが二枚目はさらに分厚く出てきたものを食べきっていたので、芋豚は最後は押し込むように完食していました。
六皿目はデザート。
ガレットブルトンヌという焼き菓子の上にパイナップルのコンポート、キャラメリゼした上にアイスのようにスプーンで丸く成型されたココナッツのクリーム。
一見タルトタタンのようにも見えますが、アップルとパインアップルをかけているのでしょうかw
フランスの伝統菓子らしい温かさとパイナップルとココナッツということで南国チックな爽やかさが合わさった不思議な一皿でした。
これはほどほどのサイズでした。
七皿目もデザート。
塩気は思ったよりは感じられず淡いものでした、甘さが気にならず第一印象が引き締まる感じ。
後味はシンプルな、昔懐かしい手作りアイス風でとても食べやすいものでした。
物足りなさのあるお皿は一皿もなく、シェフがこだわり抜いて考え、作り出していることが感じられる料理の数々でした。
同行者はそれほど食には興味がない人物でしたが、彼もとても楽しんで感動してくれたようでした。
サービスの方も相当食に対するこだわりは強そうで時折それが攻撃的に感じる印象もありました。
色々質問していたら、話し出したら止まらない方でしたw
メニューやサービスにこだわりが強すぎてその辺は好みが分かれるところはあるのかもしれませんが。熱烈なリピーターが付くのがよく分かるお店でした。
僕はすごく好みでした。
リピーターになれる自信はありませんがw
でもまた機会をぜひ作りたいです。
帰り際にはシェフ直々にご挨拶くださって少しお話することが出来ましたが、とてもお若い方だという印象でした。
水は途中もう一本お願いして、合計で20550円。
正直ランチとしては高いです。
しかし食事としてではなく、4年間一緒に過ごした友人と心ゆくまで語り合いながら、感動すらするような料理を味わう極上の時間、この思い出を得られるためなら額なんて関係ないと感じました。
とても満足できました。
行ってよかったです。