で、ですよ(笑)。
平日ならではのランチはどこにしようかと考えた結果、前から気になっていた外さなさそうなところに落ち着きました。
レストラン・サンパウ。
ここが入口で、右側はガラス張りのキッチンになっています。
開店時間になっても何一つ変化が起こらず、お客さんも来ないので臨時休業かと不安になりましたが、10分後くらいに思い切って入ると普通に案内されました(笑)。
窓際の明るい席へ。
窓の向こうでは、ランチの為に忙しなく行き交うビジネスマンやOLさんで賑わっています。
注文は平日限定の「1時間ほどで召し上がって頂けるコース」(6000円)。
ヴィッチーカタラン(500ml)(900円)。
せっかくなのでミネラルウォーターでも・・・とメニューを見ていたら面白そうなのがあったので頼んでみました。
カタルーニャ地方の天然発泡のミネラルウオーターなのだそう。
温泉水みたいなもので、やや塩気があって豊富なミネラルを含みメディカルウォーターとすら言われているそうです。
ただ初めに言ってしまうと、これが失敗。
そもそも500mlを一人で飲みきる想定ではないのでしょうね。
一口目には美味しく感じても、さすがにずっと飲んでいるとしょっぱさがくどくなってしまいました。
これは完全に自分のミスでしたが、最後にコーヒーをいただくまで引きずる失敗でした。
お米と岩塩のチップス。
海老煎のような軽い食感。
美味しいのかもしれませんが、岩塩とヴィッチーカタランがミスマッチ(苦笑)。
「1時間ほど」ということですが、おひとり様にはむしろゆったり感じるほどよいテンポでした。
この炎は最初に目の前で灯される演出から始まって、最後まで燃え続けていましたよ。
3種のアペリティーボは木箱に入って登場。
蓋を取る前はお宝鑑定団にでも出せそうなキッチリとした木箱で、ちょっとユーモラスでした。
ちなみにここからサービスが明らかに新人な男性になって、ガチガチに緊張されていました(笑)。
リーズナブルなランチですから、お店も新人の教育に上手く利用しているのかもしれません。
左から、毛蟹のクロケッタ、花ズッキーニとワサビの天ぷら、チーズのスティック。
クロケッタ(=コロッケ)とチーズのスティックは、居酒屋のお通しのような主張の強い味でない割に、素材の良さが感じられるわけでもなくイマイチ。
花ズッキーニとワサビの天ぷら、中にはアーモンドが入っていて、下のソースは赤味噌風味。
これはワサビの爽やかな香りとアーモンドのコクのある甘み、食感もよくて美味しかったです。
1皿目は車海老とハーブ、じゅんさい。
メニューにはこのように素材の名前だけ記されています。
レアに火入れされた車海老はプリンと弾けて甘く、チラチラ見えている足はカリカリに揚げてあります。
ダイスカットされたズッキーニ、甘みの強いフルーツトマト、そして唯一無二の存在感を放つじゅんさい。
印象的に香りを放つハーブもいい感じ♪
涼しげな一皿でした。
バジルのスープも美味しかったですが、ガシッと密度の強いフルーツトマトとイマイチ交わらなかったのがもったいなく感じました。
せっかく相性がいいでしょうに。
「もったいない」と感じただけで、色々いい印象が残る料理でしたけどね。
パンは厚切りカットのカンパーニュ。
水分を豊富に蓄えたもっちり食感で、マイルドな後味。
なかなか美味しいです。
オリーブオイルと岩塩。
岩塩・・・(苦笑)。
岩塩は結構好物なのですけどねー・・・。
メインはカサゴ。
目の前でソースをかけてくださいます。
トマトのソースにバジルの風味。
こちらはバジルの風味がかなり控えめ。
先ほどのお料理とのバランスを見ると、このコースは1皿1皿が完成形であるというより、全体で一つの印象を作り上げているのかもしれません。
カサゴは皮目の表面だけ香ばしくソテーしてあるそうですが、身はほぼ生でブリンと弾力が強いです。
煮付けや塩焼きで食べるのを超えるベストの調理法!というわけではないものの、異彩を放つ別次元の食感でとても面白かったです。
ダイスカットの青パパイヤも独特の食感で好きでした。
トマトのソースもよく絡んでいました。
カサゴが小さめにカットしてあるので軽そうに見えましたが、4カット入っているのでそこそこボリューミーでした。
デザートはチョコレートとトンカ豆、ブラウニーとコーヒー、ブランデー。
バニラのソースを、こちらも目の前でかけてくださるサービス付き。
ヘーゼルナッツの入ったブラウニーは、ヘーゼルナッツがメインと思えるほどたっぷりでローストも香ばしかったです。
ホワイトチョコのムースの上には苦み走ったエスプレッソのゼリーが敷いてあります。
このエスプレッソの味も、甘えのない大人味でよかったです。
上に乗ったアイスはふわーっとやわやわに融かしてあって、ほぼ液体でした。
こんなに優しい甘さのチョコレートアイス食べたことない!と思いましたが、トンカ豆の効果だったのかもしれません。
クセのない生クリームにバニラの香りを付けただけのようなシンプルなソースですが、これもかなり好みでした。
お酒の効いたゼリーだったかな?これも食感、風味ともに鮮烈なインパクトを放っていました。
デザートが一番完成されていたような気がしますが、逆に言うとコースの中では浮いている存在だったかもしれません。
食後のドリンクはコーヒーをチョイス。
エスプレッソ、ハーブティーの他カフェラテも選択肢にありました。
これはさすがのクオリティ。
甘みや酸味がしっかり感じられる、味の濃いどっしりしたコーヒーでした。
美味しいと噂に聞いていたお茶菓子。
フィナンシェとバジルのマカロン、チョコレートクランチ。
マカロン、チョコレートもミニサイズながらしっかりした作りでしたが、
このフィナンシェが絶品!
見えている表面はそこそこちゃんと焼いてありますが、その下はとろりととろけるような優しい火の入れ方。
ぷわわわあんとバターが優しく口全体に広がりました。
適当に奇を衒うわけでなく、ユーモアとセンスを感じさせながらちゃんと味、食感も美味しく作られていました。
現代スペイン料理にしては優等生すぎるとも言えるかもしれませんが、入門編のリーズナブルなランチということなのかもしれません。
サービス料と消費税が別で加算されるので払いは8197円、リーズナブルといえるかは微妙ですね(笑)。
ヴィッチーカタランはフレンチの脂の多い料理のリセットに適する水だそうですが、こちらの料理は野菜を基調としたさっぱりした料理が多く、料理自体にハーブやバジルのようなリセット装置が組み込まれていたので水でリセットをする必要がなかったのかも。
不運にも今回は相性が悪かっただけなのかもしれません。
考えられた料理をいただくのは楽しいですね。
また伺いたいです。