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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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四ツ谷の「すし匠」でおまかせ。

1月27日(水)、この日はお誘いいただいてお寿司の名店へ。
場所は電車や徒歩でよく通過する四ツ谷ですけど、降り立ったのは記憶にないくらい。
それも夜とあって、珍しすぎてちょっと苦戦しましたが無事に落ち合ってお店へ。

お店の場所はざっくりしか把握していませんでしたが、駅からすぐ近かったので迷わずに到着。


すし匠。
看板に「はな家与兵衛」を掲げるこの自信、あるいは自らを奮い立たせるプレッシャーにしているのかもしれません。

多くの食通を唸らせ、ある企画で「寿司職人がプライベートで行きたい寿司店」のNO.1に選ばれるなどプロの注目も集め、独立したお弟子さんたちは次々とミシュランの星を獲得・・・と順風満帆。
意気揚々、威風堂々と順風満帆の航海を続ける・・・のかと思いきや、お店を引っ張ってきた親方の中澤さんは2015年いっぱいでお店を離れ、なんと海を渡りハワイへ!
常連さんやお弟子さんは寂しいことでしょうが、そういう「ロマンのある男」が人を惹きつけるのかもしれませんねえ。


というわけでこの日はまだ誕生から1か月と経たない新生すし匠さんということになるわけですね。
半年ほどは、3年前に独立して青山にお店を構えている高橋進吾さんが仕切られるそうです。
威勢の良さと絶やさない笑顔、常に店内全体にアンテナを張った細やかな心配りで「空気」の作り方はさすがのひと言でした。

常連の奥様をして「立派になったわねえ」と言わしめていらっしゃいました(笑)。


海ぶどうとわかめ。
お寿司の口直しといえばもちろんガリが定番ですが、実は結構ガリって味が濃いですからね。
実際的にはこのくらいさっぱりしたものの方がよかったりして。

このスタートから感じ取れる、「囚われ」すぎないでいいと思った方に進む信条、心意気。
初めて来てまだ入店15分くらいの僕ですが、ハワイ行きは親方らしい選択だったのだろうなあとしみじみ感じたりしました。


はまぐり。
大きさのあるはまぐりは色艶もよく仕上がっています。
スタートは穏やかに。

わさびの甘さに期待が俄然高まります。

ちなみにこちらのお店、お皿もいちいち素敵なのでその辺りも注意してご覧ください。


青森のひらめと江戸前の真鯛。
ひらめは表面が特有のしこしこした感じで、ほのかな香り。
真鯛はわりと歯応えがあって、脂が少ない分旨みで魅せるかと思いきやこちらも穏やかな味わい。


こやりいかの印籠。
シャリを詰めたやりいか煮。
酢が香るので、煮いかのイメージからするとかなりさっぱりとした後味。
いかは肉厚でもっちりした弾力が印象的でした。


さよりを塩で〆て生姜醤油で。
さよりは大きなサイズの、いわゆる「かんぬき」。
ところてんをも思わせる清涼感のあるビジュアル、見た目通り満足感の大きなもっちりとした弾力と光物系の独特の香り。

ここまで随分穏やかな感じが続きましたから、生姜醤油と合わせてちょっと空気の変わり始まるのを感じる1皿でした。

何となく料理と同系色のお皿を選ぶ傾向があるような。
1皿ごとに世界観がある感じ。


湯呑みは基本これだったと思います。
シンプル。
シンプルに貫録。


あおりいか。
いきなりの握りがスタート。

そこそこしっかり寝かせたところへこれだけ包丁を入れてあるので、舌触りは空気のようにふわふわ。
個人的に寝かせたいかは舌に絡みつくようなねっとりした食感が好みではありますが、これはちょっと食べたことのない感じで面白かったです。


長崎壱岐のまぐろ、赤身漬け。
爽やかな香り。
漬けではありますが、まぐろらしい、赤身らしい、鉄分を感じる中でもさっぱりした側面の味が引き出されていました。

この2貫くらいで既に気になったのですけど、握りが軽いのか置かれてからネタが生きているかのようにゆっくりと動いて見えます。
好みによるとは思いますが、僕は少し待って落ち着いてからいただくようにしました。


佐島のたこ。
驚くほどにやわらかい仕上がり、ではないものの噛んでいる実感のある弾力とそこから滲み出る味の広がりの豊かさ。
これは後から後から自体を飲み込めないほどの味わい。


味付けはしていないそうで、たこの味。
たこを煮た出汁がたこに戻って、言うなればたこ味のたこが出来上がっています。

たこの味でこんなに膨らむとは。
個人的にはわさびの青い甘みを合わせるちょっと想像しにくい組み合わせが上手くはまっていて好きでした。

ちなみにご覧の通り、握りに行ったり再びツマミに戻ったりするのがすし匠さんのスタイルです。


酢〆の鯵。
ガリや胡瓜を巻いているのだったかと思います。


しっかりめに〆てあって、脂の乗った鯵のみずみずしさとはまた違った側面で勝負。
そもそも釣り鯵ではないのかもしれません。
これはちょっと僕にはまだ難しかったです。


金目昆布〆。
海ぶどうとわかめの写真に写り込んでいますけど、目の前に皮目の鮮やかな金目があったのでこの握りのビジュアルにはちょっと虚を突かれました。

皮目がないと金目だと判別できない気がします(^^;)


こちらのお店はネタによってシャリを使い分けるそうで、ここで赤酢のシャリが登場。

食感が緩めで第一印象は味わいも薄め、シャリの味に負けているなあと感じます。
でも噛んでいるうち金目の味と昆布の香りがじわじわと、シャリも甘みが増していくので食べ始めとは全く違った印象に変化するようでとても面白かったです。


車海老はやや小さめの巻き。
肉厚でぷりっと。
味に伸びがない気はしますが、いい味です。


京都舞鶴の鯖。
不作の年と言われる鯖、やっぱり仕入れに苦心しているのかなと邪推してしまう産地ですかねえ( ̄▽ ̄)

「青」魚が際立つお皿ですね。
このチョイス好きです。


背側は身の味とさっぱりとした後口、脂が少ないのでかなり軽い感じになっています。
対して腹側はほどよく脂も入って、こちらの方が味に幅が出来て好みの感じ。

脂が全てではありませんけど、この時期の鯖にはやっぱり期待してしまうのですよね。


ほっき炙り。
線と色がとてもきれいですねえ。


添えられた七味は、貝の繊細な甘みを彩る7種類のハーブとスパイスといった感じ。
香りがいいですねえ(^^)


表面だけキュッと締まって、あとはふっくらと。
絶妙な火入れで甘みもしっかり引き出されていました。


さわら昆布〆。
これも皮目を引いてあったかな?

つるんとろんと、赤ちゃんの肌のような食感。
さごちに近いような身のやわらかさ、若さ。
下卑たところのない上品な口どけの脂、後に残る昆布の香り。
ここでも赤酢のシャリと熟成した魚の味の交錯が楽しめます。


北海道にしん。
こちらももともとやわらかそうな身に細かく包丁が入っているので、かなり軽い食感に仕上がっています。


個人的に生のにしんは初めていただく気がしますが、とても香りがいいですね。
脂がなくても香りの良さで満足できる上品で骨のあるいい味だなあと思いました。
ちょっと食感が緩いのはもったいない気もしますけど。


目光。
ここで焼き物、それも目光の焼き物とはちょっと珍しいですね。

赤いのは新潟の辛味調味料かんずり


一夜干しくらいの感じ。
皮目は薄くパリッと、身は締まりとふくら感。

香りが何かに似ていたのですけど、最後まで分からず・・・。
焼き魚とは遠い何かだったような気がするのですよね。


べったら漬け。
大根の麹漬け、意外にあまり食べたことがないのですけど、これすごく美味しかったです。
おかわりしたかったほど。


白子醤油漬け。
生の白子を醤油漬けに、ボイルよりも生々しい食感で比較的さらりとした味わい。
コクが浅いのでポン酢の爽やかさは必要なく、醤油の香り良さが立つのがいいですね。
僕そもそも白子には醤油が好みな気がしていたのですよねえ。

出汁に粘りがあるのは何ででしょう?


鰤漬け。
少しずつ鰤も出始めてきているとのこと。


鰤は3枚付け。
薄いスライスでシャリに馴染むのはもちろん、空気を抱えている分香りの広がりが良いように思います。

漬けに負けない脂もほどよい乗り。
変化球のようで、バランスのいい1貫でした。


なんでしょうこの色合い、ガーリーとでも言えばよろしいでしょうか。
およそ自然のものとは思えない雰囲気。


ちょっとハートマーク風。
食感は緩めで、甘みはそこそこ。


のどぐろ。
とても上品。
「出汁が美味しいですよ」と提供されました。


皮下の脂、身の隅々にまで渡っています。
澄んだ出汁と脂、言ってみれば「水と脂」ですが違和感なく馴染んでいます。
柚子香も上品さに拍車をかけます。

ご主人に目配せしてから出汁を飲み干しました( ̄▽ ̄)


ヒレ下。
赤身と近い酸味のところからさらりとした脂の甘み。


すき身、たくあん、ネギ、上に胡麻。
お店のスペシャリテ、通称「おはぎ」。


ベースはまぐろの酸味と脂の甘み、そこへたくあんの甘み、ネギの香り。
その日のまぐろによってガラッと印象が変わりそうですね。

胡麻も印象的に顔を出します。
おはぎっぽさが増します(笑)。


あん肝、間引いたすいかの奈良漬と。
調べると意外にもともとある組み合わせのようですが、個人的には初めていただきます。
パッと思い出したのはこちらのフォアグラのソテー ペリグーソース

逆に、味の強い奈良漬に脂の濃厚なあん肝を加えて角を取っていると見れば、フレンチのソースの作り方にも近いのかもなんて思ったり。


奈良漬もあん肝も薄めですが、味はかなり強く濃いですねえ。
右と左に引き合って拮抗しているのとは違って、いびつな形で均整が取れている感じ。
あん肝といい、フォアグラといいなかなか気軽に試せないですけど、近いところでジャムにバターを合わせたりしようかな(^^;)

なんにせよ絶妙な組み合わせでした。
奈良漬を細かく刻んで盛り付ければご飯ものとしてもイケそうかも。


先ほどのぼたん海老の頭を香ばしく焼いて。

想像していたより熱々でした。
殻の香ばしさとビックリする量のミソ。
握りはさほど印象に残らなかったのですけど、これを食べるためにでもぼたん海老はいただいておきたいところ。

ここから追加分。
まだ出ていないものが結構あるのでかなーり迷いましたが、少しずつお願いしていきます。


真鯛。
ツマミでもいただいた真鯛を握りで。
こちらも包丁が細かく入っています。


包丁の影響でかなりやわな食感。
旨みはゆっくりゆっくり後から追いかけてくる感じ。

この日はこの「弱い食感」と「後からくる旨み」という感想が多かったですねえ。


お椀はしじみ。
黒塗りの椀に白濁したしじみ汁。


これは旨い!
甘酒にも近い誘惑的な甘い香りに、旨みの強い後口。
ちょっととろみを感じるような舌触り。

ちょっとネギを散らしてみたかったなあ(^^)


さわら昆布〆。
美味しかった握りのリピートもお願いしました。

きめ細かい肌艶、帆立のようにさえ見えます。


金目皮目炙り。
先ほど不思議だった金目の皮は「金目の皮炙り」の握りとして用意されていました。
身も多めに削いであります。


皮目は軽くパリッとする程度で、脂が浸み始めている感じ。
食感や香ばしさに走りすぎず、脂と身の味を抜群に引き出してあります。

脂超美味い。


玉子は2種類。
ひとくちずついただきました。
お気遣いありがとうございます。


干し鮑。
すごい干し鮑の味。
ふるっとやわらかに巻いてあります。


芝海老とぐじ。
ぐじはあまり分かりませんでしたが、甲殻類がかなり強く効いています。
こちらの食感はみちっと詰まった感じ。

どちらも面白かったものの、美味しいというのとは違うかな?
玉子の味も感じにくかったので、お隣の玉子の星から来た方はどう召し上がられたのか気になります。

デザートは断る体で構えていたのですけど、あれよあれよと乗せられて・・・


塩アイス。
穏やかで雑味のないミルクアイスにじわっと塩気。


お隣は黒胡麻アイスということで、図らずも「ごま塩」に(笑)。

いやいや、幸せな時間でした。
まず印象としては、品数が多い(笑)。
写真で振り返ってまた改めて多いなあと感じました。

ツマミはそれほど味が強くなく、ひとくちずつ。
お酒が進んじゃう、というよりはお酒と引き立て合う「味」を集中して吟味するイメージかな。
握りはシャリが強めで、ネタはとにかくがっつり熟成してあります。
最初はシャリが勝ってネタの味が遠いのですけど、咀嚼するごと魚の旨みが盛り返してくる、その繰り返しでした。
分かっちゃいても、毎回「ん?・・・ん・・・んん!」と順を踏んで楽しみました。

あれがよかった、これがよかった、というよりも全体を通してとにかく幸せに満ちていたなあという感じ。
コース全体を見返しても、正直起承転結だったりストーリー性みたいなものがちょっと感じられないのですけど、まあ細かいこと抜きにして寿司にまみれた幸せな時間でした。
やっぱりお寿司屋さんは何度か通って覚えられてからが本編でしょうから、こちらももう何度か、お金を貯めて伺いたいところです。

お誘いいただきありがとうございました!
また色々行きましょうー♪

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