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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

築地を中心に食べ歩いています。よく食べ、よく歩きます。

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水天宮前の「蛎殻町すぎた」でおまかせコース③。

4月30日(日)、ずいぶん長いこと楽しみにしていた水天宮前のすぎたさんへ。
待ちに待った訪問ということで、例によって早く着きすぎてしまって周辺をふらふら徘徊。
 
時間になった頃合いにちょうどお腹も空いて、満を持して店内へ。
 
清潔感のある店内に、お香のかほり。
背筋がピンと伸びますね。
 
ご主人が1組ごとにご挨拶してくださいます。
今回もよろしくお願いします―!
 
心が洗われそうな白木のカウンターにうっとりしていると、
 
サッと手際よくおしぼり。
 
アッという間にカウンターが埋まり。
 
お茶をいただいて、お料理が始まります。
 
うるいのおひたし。
季節のお野菜から。
 
繊細なお出汁に、淡い味付け。
繊維質と、火を通してちょっととろみの出る独特の食感を楽しみます。
 
醤油が2皿と、生姜、わさび。
 
片方は生姜醤油にして使うよう指示されます。
 
アオリイカ、アオヤギ。
イカとカイ、アオアオです。
 
白身と貝が出るパターンが多いと思いますが、ちょっとイレギュラーかな?
 
アオリイカは表裏から細かく斜めに、横から見るとV字になるように包丁が入れられています。
 
これが凄まじいとろけ方。
そもそも寝かせてネットリ舌に絡みつくようなイカにこれだけ包丁を入れたら・・・もう、あってないようなもの。
強烈な旨みだけ舌に残してスッと消えます。
 
舌に融け込んでくるような感覚。
 
アオヤギはなかなか大判。
爽快な歯切れで爽快な香り。
 
アオヤギにしてはクセのない甘みと旨みのバランスのいい味で、小柱はさらに力強さの出た味わい。
 
タコのやわらか煮。
桜煮とも呼ばれますが、理由を聞かずとも分かるほんのり桜色。
 
すぎたさんの桜煮はずーーっと食べたいと思っていた念願の1品だったのですよね。
 
まったく火入れによるストレスが感じられないゆるやかで、流れるような周縁のコラーゲン質。
"温室育ち"な火入れですが、吸収できるものは全て吸収した優等生。
 
結構好きで挑戦する料理なのですが、根詰めて取り組んでも似ても似つかない仕上がりになってしまうのですよね・・・。
「すべてのタコはすぎ田さんにやわらかく煮てもらいなさい!」と言いなくなるタコ界も騒然、超絶の1品でした。
 
続いて木の葉が目の前にハラリと舞い降りまして。
 
茶わん蒸しが着地。
 
「"このわた"の茶わん蒸しです。」
 
このわた?
 
想像だにしなかった食材の登場に、「小肌の大きいの」とか「角野卓造じゃねえよ」とかに逡巡してしまいましたが、
ナマコのわたの塩辛という珍味に無事行き着いて、却ってびっくりしました。
 
思ったほどはクセがなくて、食べやすい味。
むしろ、合わせて入っていた長芋と梅肉の組み合わせが面白くて、そちらが印象に残りました。
 
酸の効いた茶わん蒸しって珍しいような。
夏場に食べたら元気が出そうですね。
 
ここからツマミメニューがさらに加速。
 
ほたるいか味噌漬け。
中にたっぷりミソ、外からしっかり味噌。
 
さらに意外に印象に残るのは、乾き物のスルメを彷彿とさせるような身の味の濃さ。
それと、ピロピロ舌に当たるゲソのカワイイ食感。
 
あん肝。
お酒がふわりと香るような甘い味付け。
ねろーんととろけて濃厚なあん肝との塩梅が肝。
 
マナガツオ幽庵焼き。
キュウリの胡麻和えが添えられています。
 
お皿といい、金色(こんじき)の皮目といい、何だかめでたい1皿ですね。
 
「幽庵焼き」とのことでしたが、あまり柚香は感じられなかったような。
甘さと香ばしさの組み合わさり方でいうと、西京焼きに近いような仕上がり。
 
パキッとクリスピーに焼き上がった皮目、引き締まった中からじんわり脂のにじむ身。
 
力強い味わい、筋肉質な食感のマナガツオと、さっぱりしたキュウリの組み合わせが抜群。
 
胡麻和えとしては味付けを押さえてあったと思うのですけど、キュウリ自体の甘みと胡麻の風味がマナガツオをぶち上げるくらいに引き立てていました。
 
ガリが出てきて、ここから握りへ。
 
「お腹の方はどうですか?握りに行きますか?もう少しツマミますか?」
いつも丁寧に確認してくださいますが、毎回素直に握りに移行していただいています。
 
1度くらいツマミ延長にも挑戦してみるのもいいかもしれませんねえ。
 
ゴリゴリしたお湯呑が多いと思いますが、こちらは薄手の上品なつくりでした。
 
ちょっと持つのに困るくらい熱かったので、いつものゴリゴリ系のありがたみが肌身に浸みて感じられました。
 
小肌。
大ぶり、肉厚でしっかり〆てありましたが、脂も強め。
 
力強い小肌でした。
 
愛媛・八幡浜のいさき。
 
ねっとり舌に付いてサックリした歯切れは、若いイカにも近い食感。
脂も強いです。
 
淡路の真鯛。
 
白身らしい旨みが強く、ミルキーな脂が絶品。
 
ただその印象をかき消してしまうほどに皮目が噛めば噛むほど旨み旨み旨み・・・
 
有名な明石の鯛は「鳴門海峡を渡って美味くなる」という説もありますから、淡路の鯛も質は同等といっていいのかも。
 
勝浦の鰆。
定番の藁焼きで、この日はいつにも増して香りが強かったように感じました。
 
スモーキーな上に、旨みが変質してチーズのような味わいになるのですよね。
面白美味いです。
 
縞海老。
ぷちっと弾ける歯応え、ねとっと口どけ。
 
縞海老って「甘みよりも旨み」なイメージでしたが、これは甘みが勝っていたと思います。
 
シャリとの相性の良さは、際立って印象に残るほどでした。
 
伊豆下田の中トロ。
すっきり融ける脂は、重みはないものの口に長く余韻の残るもの。
 
とても美味しかったです。
 
生モノを食べ続けるので熱々のお茶をマメに変えるのはお寿司屋さんの定石。
でもどれもいつまでも残しておきたいくらい「良い味」。
お茶で流してしまうのがもったいなく感じられてきます。
 
でも次を万全の態勢でいただくために泣く泣くズズッとね!
 
島根・浜田の鯵。
脂の強い旬の時期は「どんちっち鯵」というブランドで知られるエリアの鯵ですが、まだこの時期は違うそうです。
 
でもすぎ田さんでいただく鯵としては緩い食感で脂が強く感じられました。
 
金目。
強い脂、強い脂だからこそバッキバキに香ばしい皮目。
クリーミーな甘みに辛子がワンポイントにツーン。
 
車海老。
サイズ感、食感、甘み、香り。
すぎ田さんの車海老はいつも何一つ欠けることのない完全無欠な火入れです。
 
大きな車海老をひと口に頬張ると口の中を目いっぱい広く使って食べることになるわけで、そうすると海老の香りが鼻から勢いよく抜けていくのですよねえ。
 
ウニは北海道・吉岡のキタムラサキウニ。
ざっくりいうと「北海道のムラサキウニ」という感じですかね。
 
赤ウニと呼ばれるバフンウニに対して、こちらは白ウニ。
色合いも味わいもどちらかというと淡泊ですね。
 
ここへきて独特なお湯呑が登場。
 
コースはあと穴子で終了ですが、今回は追加を2貫お願いしました。
 
子持ちやりいか。
最近訪問された方からお噂を聞いていて気になっていたネタだったのですよ。
 
煮いかと聞いてイメージする食感とはまったく別物。
表面の色からして、しっかり火が入っているのは分かるのですが艶めかしいというかレアっぽいというか。
でもちゃんと味は出ているのですよね。
 
コースに入っていなかったので、赤身漬けも。
 
随分あっさりした印象。
漬けも浅めだったと思いますが、なるほどこれはコースに入らなかったのは「あえて」なのかな?という感じ。
 
穴子。
ツメと塩と選べますが、塩でお願いしました。
 
ふんわり空気の入った、スフレチックな仕上がり。
その空気に"かぼす"の香りが入って、頭の中はあまりの幸福感にもはや"カオス"といったところでしょうか。
 
〆は恒例、鶴のお椀で。
 
蓋を開けると・・・
 
アサリ、大粒。
 
出汁は"アッサリ"ではなくしっかり。
 
玉子はデザート。
 
これをいただいているときに他の方が干瓢巻きを召し上がっていて、それがあまりにも美味しそうで。
この日ご一緒していただいた方が、
「あれ半分食べない?」と仰るので、
いただきます!とお答えしたら、
「頼んで」
とのことでしたので・・・
 
もひとつデザート、干瓢巻き。
意外に塩ッ気が強めの干瓢で、わさびももう少し欲しかったかな。
 
でも海苔とシャリ、干瓢の香りのバランスが秀逸。
これをいただいて以来、ふっと何気ない瞬間に海苔の香りがよぎって「巻物を食べたい」欲がずっと続いているのですよね。
 
いやいや、今回も極上の品の数々、ご主人の美しい所作、緊張感がありながら温かいホスピタリティー。
僕みたいなペーペーの若造にはもったいないほどの素晴らしい時間を過ごすことができました。
 
またぜひ次回があれば、と願うばかりでございます。

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