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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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清澄白河の「il tram」で5月のコース。

というわけでランチにやってきたのは清澄白河のil tramさん。
 
時間に余裕を持って築地を出発したので、散歩日和のポカポカ陽気の中をのんびり歩いてお店までやってまいりました。
 
時間になって店内へ。
 
おや、木の匙がスタメン入りしていますね。
変わらぬ景色なだけに際立って見えます。
 
春人参とアーモンドのズッパ ミルク クミン。
まずは太陽のように燦燦ときらめくズッパでスタート。
 
徳島県産の人参だとか。
 
先月のナツメグに続いて、今月はクミンの香り。
 
強く香るのに、単純にカレーっぽくなっていないのがさすが。
ミルクの乳脂が入っているからなのでしょうかね。
 
とても甘い人参にミルクが合わさって、クミンもやさしい香り。
 
コースのスタートとして、じわりじわりと五臓六腑を目覚めさせる穏やかな1杯でした。
 
自家製フォカッチャ。
 
おかわり自由ですが、食べ過ぎ注意。
後半でソースの始末に加速するのが恒例なので、前半は抑え気味にいきましょう。
 
ブッラータ アボカド 菊 ディル。
今月から新たな器に。
 
先月までは通称"壺"、閉じた提供でしたが、打って変わって「これでもか」というほど開いたプレゼンテーションになりましたね。
 
そして面白いのが、器は開いたのにブッラータは見えなくなっていますね。
 
器を彩る複数の色味のうち、ところどころ入る緑とアボカドの色を合わせてあるのでしょうか。
ピンクペッパーのアクセントを持ってくるあたりもさすがです。
 
レモンの酸味を加えて、ちょっとヨーグルトのような。
豆乳やオリーブオイルの香りも入って、複雑といえば複雑、かといって突出した鋭い風味があるわけではなくマイルドな味わい。
 
ピュレがクリーミーなので、ブッラータは塩気が立ちますね。
今回も印象はブファラよりバッカに近いイメージ。
 
すぐりのような赤い実が入っていたので、何だろうと口に入れてみると・・・トマト?想像と実際の味の差にちょっと混乱しましたが、シェフに確認すると「マイクロトマト」というトマトなのだそう。
この辺の驚きを与える遊び心もいいですね。
 
グリーンアスパラガスの温製 ペコリーノ・ロマーノ 半熟卵 ボッタルガ。
 
佐賀、長野ときて今月は北海道産のアスパラだそう。
3か月続いてきたこちらの料理も今月でシーズンラスト、サヨナラ、アスパラ。
 
まずとてもいい香り。
アスパラは個性の強い香りがあるとは思っていましたが、こんなにも魅力的な香りなのだと知ったのはil tramさんでした。
 
食べた感覚だと、3か月の中でもっともみずみずしい。
反対に言うとちょっと水っぽいとすら感じるほどの水分量でした。
 
旨みはやや控えめで、甘みがあってジューシーなアスパラでした。
 
香ばしくて旨みの強いアスパラだと、ソースと攻撃的に絡み合う相乗効果を堪能できましたが、
今回の甘いアスパラだと重なり合う、補い合う補完的な美味しさでした。
 
また来シーズンを楽しみに待ちましょう。
 
鮮魚のヴァポーレ 新ジャガイモ 法蓮草のニョッキ。
 
アスパラとのお別れでさみしくなった気持ちを切り替えて・・・と思いましたが、フィルム蒸しのお料理もしばしお休みになるのだそう。
5月のil tramさんは、ちょっと遅れての別れの季節ですか。
 
今月のニョッキは緑色、草餅を意識されたとか(笑)。
 
定番はジャガイモのニョッキですが、今月はソースが新ジャガイモだったので変化を付けたそうです。
 
水分の多いカマスは少し干して。
ギュッと締まった身は、青魚寄りの酸味を含んだ旨みがキューッと浸み出て来ます。
 
大黒しめじは季節関係なく、よく開けた香り。
 
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ・ピカンテを添えて。
今月はオランダ産のチコリ。
 
深みには欠けるものの、さっぱりとした葉物らしい香りのするチコリ。
 
毎月楽しみな1皿ですが、欲を言えば別産地を同時に、とか同じ産地でも個体差のあるものを同時に食べ比べてみたいですね(笑)。
 
シャンピニオンのラグーとそのスライス パッパルデッレ。
 
個人的に結構好きなのですが、パッパルデッレの登場は結構久しぶりだったでしょうか。
 
ペースト状のキノコのソースにフレッシュマッシュルームのスライス。
 
もちろん共通項はあるのでしょうけど、ソースとフレッシュとで印象はガラッと変わりますね。
 
パスタ自体の味わいも強くて、キノコの香りをまといながらしっかりと味の軸を整えていました。
 
また秋冬のキノコでも試してみたい1皿でした。
 
続いて木箱入りでこんなカトラリーが登場。
なんでもお店に2人前しかない秘蔵っ子なのだとか。
 
スウェーデンのゲンセというブランドだそう。
個人的には、初めて聞いたと思います。
 
こちらの武器を両手にいただくのは・・・
 
スペイン産鴨胸肉のロースト マンゴー風味のオイスターソース。
鮮烈な1皿。
 
赤いのは辛くなかったのでパプリカかと思います。
この手のスパイスって日本のメーカーの商品名が適当なので分かりにくいですよね。
僕の認識はチリペッパー(唐辛子粉末)が総称で、
辛くない唐辛子(パプリカ)を使ったものがパプリカパウダー、
辛い唐辛子(カイエンヌ)を使ったものがカイエンペッパー、
だと思っているのですが、詳しい方がいらっしゃったら教えてください。
 
結構下味がしっかり。
 
皮目にバキッとゲンセを入れて、ワッシワッシと肉を切り裂きます。
ロゼ色がまた完璧カモ。
 
鴨特有の強い歯応えながら、しっとりと崩れるような食感。
そして身の濃厚な旨みにはっきりとした脂の香り。
 
そのままで十分味は満足できるものでしたが、添えられているのが「マンゴー風味のオイスターソース」と言われたら試さずにはいられません。
 
というわけでポトリ、ポトリと垂らしまして・・・
 
画になる画になる。
 
表面に揚がってこないで底の方でうごめきような牡蠣の旨みと、分かりやすいフルーティーな甘みが、
上下から鴨と塩胡椒のストレートな味わいを挟み込むようなイメージ。
 
一見味がガラリと変わるようですが、最後に残るのはやはり鴨の味で「この味がいいな」と思わせてくれました。
 
というわけで5月もどの料理も息つく間もなく堪能させていただきました。
今月はお別れの月でしたが、また来月は出会いの月になることを楽しみに待ちたいと思います。
 
ごちそうさまでした!

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