ランチは清澄白河の「il tram」さんへ。
午前中はちょっとだけ東京を離れたのでバタバタしましたが無事に間に合いました。
時間になって店内へ。
今月はお久しぶりにお会いするこちらの方をお誘いして。
テーブル席というのもこれまたお久しぶり。
最初にフォカッチャが登場。
今月もイタリア産小麦に国産ブレンドかな?
食べやすく、主張が少なく料理に合わせやすい味わいです。
1品目のズッパは、様々な茸のブロード コラトゥーラ すだち。
キノコの季節になったので定番のセロファン包み、そっと開きます。
そっと開いてもぶわっと香り。
「天然まいたけ、国産のキノコが5種、イタリアのポルチーニ」だそう。
国産キノコはしいたけ、しめじ、えのき、エリンギ、マッシュルームだったと思います。
しいたけ、まいたけとかポルチーニ辺りは香りがうるさくなったりしがちですが、どれもちゃんと主張しつつまとまったバランスがやっぱりいいですねえ。
ブッラータ 柿 カシューナッツ。
毎月の定番ですがたまには「ブッラータ」の説明も入れると、細かくカットしたモッツァレラと生クリームをモッツアレラで包んだフレッシュチーズ。
普通のモッツアレラチーズよりもクリーミーで濃厚な味わいが特徴。
柿の甘さはほんのり。
カシューナッツ、ディルも含めどれも穏やかな主張、優しい味です。
秋刀魚のインボルティーニ パプリカ オレガノ。
今年は厳しい中ですが秋刀魚をご用意いただけました。
パプリカのソースが秋色を演出。
皮目はカリッと身はじゅんわり。
パン粉やニンニクを炒めたものを巻き込んであって、油とともに香りが溢れてきます。
秋刀魚いい香り。
ソースは「アグロドルチェ」という甘酸っぱくパプリカを煮込んだもの。
味がしっかりしているのはもちろん、先ほどの淡い柿とは打って変わってパプリカの風味が鮮やか、力強いソースでした。
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ・ピカンテ。
このところシェフの茶目っ気がたっぷりのプレートに仕上げてくださいますが今回は…
「Buon compleanno "65"」
イタリア語で「誕生日おめでとう」のメッセージでした。
全然誕生日を知らないのに適当に祝ってみる、というシェフ渾身の持ちギャグ。
「65さん、そろそろ誕生日でしたよね」
「はい」
「…!!!」
本当に誕生日が近かったのでよく分からないまま普通に返事をしたら、ギャグの芽をひとつ摘んでしまっていました…
シェフとの間にひとつ"しこり"が残りましたが、とりあえず今は"チコリ"をいただきます…
ちなみによく間違われるのですけど、"65"歳ではないので!
il tram初訪問の方をお誘いすると、このチコリを召し上がっていただくのがひとつの大きな楽しみ。
食べたことのない味、複雑で深くて難しい味なので、反応が様々になるのですよね。
紫芋 ミニョネット ラビオリ。
ラビオリは中に鴨とくるみ、鴨の味が思いの外強かったです。
そして何といっても、色!
そして色に気を取られているとミニョネット(粗挽き胡椒)が結構パンチが強いので注意が必要かもしれません。
紫芋よりも鴨肉の方が主張があって、意外性がありました。
ひよこ豆 トリュフ タリアテッレ。
ひよこ豆のソースは、甘みを削ぎ落した質朴な味わい。
ショリショリした食感でポテトみたいな風味の"トリュフ"。
サマートリュフなのかと思って確認したら「サマートリュフと秋トリュフの間のグレートリュフ」というものなのだそうで。
トリュフにも色々あるのですねえ。
マンガリッツァ豚 パースニップ 玉葱。
数か月に1度登場するマンガリッツァ豚、今月は火入れを変えたそうで随分違ったビジュアルになっていらっしゃいます。
低温調理で負荷をかけずに火が入っているので、きめ細かいサシがきめ細かいまま残っている感じ。
いつものブリッブリの脂身とは違ってしっとりした口当たり。
サーロインステーキと中トロの違いに近いかもしれません。
パースニップという白ニンジンのピュレ、自家製のフライドオニオン。
見た感じマッシュポテトっぽいのですが、ちゃんとニンジンの香りがします。
上品で繊細な旨みですが、淡くなることなく芯の強い味わいでした。
未開だったマンガリッツァ豚の新たな1面を見たようで大変興味深い1皿でした、が。
個人的にはマンガリッツァに求めるポイントとはズレていたかな、という気も。
何はともあれ今月も随所に感動のあるコースでした。
いま振り返って鮮やかに思い出されるのは秋刀魚のロートロとそのソース、パスタのひよこ豆のソース辺り。
また安定の定番メニュー、新しいお料理との出会いを楽しみに伺いたいと思います。
ごちそうさまでした!