お昼は南千住に移動して、うなぎの名店「尾花」さんへ。
開店時間に遅れたので店内は満席、お店前の3組目で待つことに。
店内のみなさんのうなぎが焼き上がる香りに燻されること30分強、ひとりふたりとお客さんが出ていらっしゃって、いざ僕も入店。
お座敷席なので入口で靴を脱ぎます。
よっこらせ。
奥の方の席へ。
年配のお客さんなど、座るのが困難な方は椅子を用意していただけているようでした。
尾花さんは都内のうなぎ店の中でも"高級"の部類で知られますが、原価が上がったら価格を上げる一方、原価が下がったら価格を下げてくださるという意味でとても良心的な値付け。
一時は、うな重が4500円、5500円でしたから少し下がっていますね。
せっかくなので飲み物のメニューも。
尾花さんは、うなぎの待ち時間が長いということと、サイドメニューもいいということを聞いていたのでメニューとにらめっこで吟味。
海外からのお客さんが机の上にお金を並べて勘定を始めたり、年配のお客さんの携帯がけたたましい着信音を鳴り響かせて大きめの声で通話し始めたり、赤ちゃんが泣き始めたり…
グルメな方が集まってきているというよりは、ハレの日の食事に使われているという雰囲気の店内でしたね。
お茶とタレが最初に登場。
何のタレかと言いますと…
う巻き(2400円)。
作り置きを疑いたくなるほどすぐに出て来ましたが、多分出来たてだったと思います。
細かく刻んだ蒲焼きを、ぶりっとした食感で出汁の効いた卵焼きで巻き込んであります。
2切れですが結構ボリュームがあります。
蒲焼きにあまり甘さがないので、全体にキリッとした味わい。
卵は出汁勝負で、それほど味が強くないのでタレは使わない方がいい気がしました。
卵自体は冷まして味を落ち着けるのもアリかと思いましたが、蒲焼きが冷めると脂の味わいが落ちる印象。
素直に温かいうちにいただいてしまうのが正解だと思います。
そのものの美味しさ、提供のテンポ、ボリューム。
そしてうな重への期待の高まりも合わせて、他人にも注文をオススメしたい1品でした。
ただひとつ気になるのは、なぜパセリなのかということ。
「まもなくうな重をお持ちします」。
お新香が出されますが、手を付けるのをグッと堪えてうな重を待ちます。
お新香はたくあんと白菜。
ここらは可もなく不可もなく無難な感じ。
注文から30分ちょっとで着重。
1時間近く待つものかと思っていたので、むしろ「早く」感じてしまいました。
はい、開重。
うな重(5300円)。
ごはんは少なめでお願いしています。
初訪問なので確かなことは言えませんが、ネットの写真などで拝見する限り数年前よりうなぎの目方は落ちているように思います。
幅は収まりきらず真ん中が山のように盛り上がって、尻尾は折り返してあるようなサイズ感のイメージがあるのですよね。
もうひとつイメージと違ったのは食感。
東京の特徴である蒸しを効かせた"ふわふわとろとろ"と表現されるイメージが強かったのですが、しっかり締まりのある身質でした。
写真でも多少伝わるかな?
皮目の焼きが浅いのも特徴と言っていいのかも。
香ばしさはあまり感じず、パリパリした食感もありません。
うなぎ自体の感想で言うと、脂の甘さと強い強いコクの深さを楽しむ仕上げ方という印象です。
タレは甘さを控えて醤油っ気の強さが前面に。
脂の強さともバランスよく、キリッとしたシャープな味わいです。
そして実は最も印象に残ったのは、ご飯の美味しさ。
お米自体にしっかり味がありそうなのと、ややドライめな炊き加減と、パーフェクトでした。
うな重が美味しいというのはもちろんですが、並んでいるときだったり、注文を選んでいるときであったり、料理を待つときであったり、食べている際中であったり。
老若男女みんなにこにこしているのが素敵なお店ですね。
お腹も脳も「いい食事したな」と思えるランチでした。
僕も人生の節目節目で利用できたらな、などと考えながらごちそうさまでした!