フレグランス、アロマ、フレーバー。
いずれも"香り"を示す表現ですが、コーヒーの世界の限りにおいてはフレグランスは焙煎した豆の香り、アロマは抽出したコーヒーから漂う香り、フレーバーは口にしたときに鼻に抜ける香りを指すのだといいます。
さらには近年「スペシャリティコーヒー」として、産地特性を強調した豆が増えたことで、テロワールというもともとはワイン界隈の用語まで使われるようになっているとか。
ダンアロマ。
やってきたのは都立大学のコーヒー専門店。
先代のご主人が考案した低温抽出が特徴で、こだわりを持って丁寧に、時間をかけて1杯ずつご用意くださいます。
店内はカウンターのみ、抽出の際のお湯の温度だけでなく照明も随分落とした設定で、ジャズのかかったバーみたいな内装、調度品、空気感。
ずらっと並んだアンプやレコードプレーヤーがレトロでマニアックな感じ。
中国雲南省 思芽(シモン)(デミタス)(700円)。
中国の豆ってちょっと記憶になかったので、面白くて飛びついてみました。
ライト・ストロングと選択肢がありますが、心に決めてあったのでデミタスで。
デミタスにしてはサラッと軽やかな口当たりですが、油断すると口腔内の上側にカッと凝縮した酸味がきます。
素人知識で言わせていただくと、低温抽出の特徴は、苦み・渋み・雑味が出にくい、時間がかかるといったところだと思います。
確かに苦み周辺のザラついた味わいはなく、シャープな酸味を力強くまとめて野太さを表現しているような、そんな抽出でした。
店名のDun Aroma(ダンアロマ)は「褐色のアロマ」といったような意味合いでしょうか。
コーヒー豆については、昔から「ブラジル」とか「ケニア」とか産地自体は意識されていたはずですよね。
それが最近になってようやく「テロワール」という表現が使われるようになったと聞くと、結局味を決めるのは抽出次第という感覚だったということなのではないでしょうか。
もちろんこちらのお店も各種産地の、多様な豆をご用意していらっしゃいましたが、冠するのは「アロマ」。
こだわりの抽出で、独特の味わいを見せてくれるお店でした。
また伺います。