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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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白金台の「アルゴリズム」でシャラン鴨のロースト 血のソース、クエのポワレ エストラゴンのソース、モンブラン ココナッツと無花果、赤カマスと玉ねぎのコンフィ他、ノンアルドリンクペアリング。

築地から雨の中をてくてくと移動して白金台へ。
 
ランチは2回目の「アルゴリズム」さん。
確か前回も雨でした。
 
店内に入ってご挨拶します。
 
シェフ1人、サービスマン1人の体制ですが、サービスの方が同世代(というには僕はオジサン)なので、他のお店とはまた別の話しやすさがあるのですよね。
 
ぼーーっと、
 
バターナッツを眺めていると、
 
タブレット端末によるお店のコンセプト、この日のメニューがプレゼンされます。
 
相変わらず興味深いメニュー表記ですねえ。
 
前回のお食事中に伺っていたソフトドリンクのペアリング(5500円)を追加させていただきます。
 
「自信があります」
 
と豪語されていたのですよね。
 
最初のドリンクはオレゴンのぶどうを使ったぶどう酢の炭酸割り。
ぶどうはピノ・ノワールだそう。
 
ビネガーとぶどうと、しっかり香りますが、口に残る味わいは食前"酢"向きの軽さ。
 
花咲蟹 酸味 凝縮感。
 
スプーンで提供されるのでひと口でいただきます。
 
花咲蟹のほぐし身、トマトのコンフィ、散らしてあるのはオレンジミント。
 
ミントっぽさはなくオレンジの香りがするのが面白いです。
蟹身がキュキュッと。
 
コースの1品目らしく、爽やかさ、軽さに偏ったアンバランス感。
 
赤カマス 石川早生 オニオンコンフィ。
 
下から赤かますの肝のソース、石川早生の里芋、オニオンコンフィ、赤かます、仕上げにトリュフ。
 
トリュフはサマートリュフでしょうか。
ぽくぽく小気味よい食感。
 
里芋は素揚げか、グリルか、表面はカリッと中はトロッと仕上がって、青みも残る香り。
 
神奈川長井港からきたという大物の赤かます。
 
開いたら脂乗りといい何といい「モノがよかったから」ということで、肝をソースに使うことにしたそう。
かますの肝って初体験ですが、肝らしい味わいが濃厚でとてもいいですねえ。
 
次のドリンクは、杜仲茶白牡丹、バーベラ。
 
ハーブの香りと玉露みたいな旨み。
ハーブティーの一番出汁といったところ。
 
スペシャリテと合わせます。
 
雲丹 サヴァイヨン アールグレイ。
 
というわけでスペシャリテ。
 
生のキタムラサキウニの上にウニのサヴァイヨン、アールグレイのビスキュイをトッピング。
 
スペシャリテというので決まった盛り付けをされるのかと思いきや、ガラッと変えてきましたね。
 
味のまとまりのよさ。
 
互いの少し尖ったところを、マイルドに補完し合う関係性です。
 
パンはフランス産小麦を使った自家製だそうです。
 
塩気を控えて料理に合うようにされているように思います。
小麦粉の甘みが立って、国産小麦に近い香りに感じられました。
 
続いてのドリンクは、炭化したパプリカと煎茶。
1杯目から順番にスープに近くなってきているのをはっきりと感じます。
 
真っ黒に焦がして皮を剥いたパプリカを使っているそうで、強い甘みの他に苦みも。
そこが煎茶につながるきっかけを作ります。
 
どろっと濃厚。
 
鋭い牙 クミン ピペラード。
 
明石産1キロの大物ハモをフリットに。
 
熱々で肉厚のハモフリットに2種のピーマン。
初めて耳にする品種でしたが、赤がバナナピーマン、緑がロケットピーマンというそうでした。
バナナピーマンは甘み、ロケットピーマンは旨みと香りが印象的でした。
 
鋭い牙というのは一義的にはハモのことを指していると思われますが、このピーマンのカットの仕方は鋭い牙を意識されているような。
 
そしてピペラードは、バスク地方のピーマンなどの夏野菜を煮込んだ家庭料理で、生ハムを添えて提供されるそう。
 
サービスの方が、この「生ハム」を説明のたび口にされていたように思うのですけど、ハモをハムとかけてピーマンと合わせて「ピペラードの再構成」のような構成になっているように感じられました。
 
ピペラードにスパイスが効いているというご説明もありましたが、散らされた花ニラ(?)がクミンの代わり。
 
放たれる旨味 estragon 2週間熟成。
 
魚は佐島のクエで、これは1週間寝かせたところと説明があったと思います。
 
クエって高級魚なんでこんなに分厚く切ったら儲け出ないっすよ!と進言申し上げつかまつりたくなる贅沢な切り付け。
 
貫録のクエに、つるむらさきは少しネバネバを発揮して対抗。
 
迫力のある旨み、香ばしい皮目。
黙って食エというようなシンプルな焼きが、凄みを際立たせます。
 
下に敷かれたバターナッツはトロトロで甘々。
 
とろみのあるエストラゴンのソースは酸味を出して、さっぱりと。
 
合わせるドリンクはレモンの葉で香りを付けたしじみ汁。
ここまでくるともうスープ。
 
レモンの葉由来なのか苦味が出ているのがフックになっていて、単独で味わうようりも料理に引っかかる味わいになっています。
しじみは濃厚すぎて旨み強すぎるので、クエとちょっとぶつかりますね。
 
口にしようと顔を近付けると、しじみ汁とホットレモンが同時に寄ってくるイメージ。
 
これはレモンの葉なのだそう。
レモングラスではなく、レモンの葉。
 
葉っぱからしっかりレモンの香りって出るものなのですねえ。
 
おしぼりが出たら「肉料理」の合図。
 
「気合い入れて臨めよ!」と言われているようで、これいいですよね。
 
不変のalgorithme。
お肉料理は、他のメニュー名が凝っているだけに逆にこだわりを感じるこの名前。
 
シャラン鴨のローストに内臓のソース。
 
胸肉は、しっとり、さらにいうと「とろり」「ちゅるり」とも言うべきなまめかしい舌触り。
 
火入れは浅めだと思うのですけど、肉の旨みが感じられる味の濃い鴨です。
 
血や内臓のソース。
 
舌にざらりとくる土気のあるソース。
 
ガルニは落花生とゴボウ。
先日のスブリムさんでも落花生が乗っていましたが、はっきりした香りのある食材なので印象に残りますよね。
土っぽい風味のするゴボウは血のソースと合うイメージがあります。
 
腿は挽いてパートブリック包み焼きに。
クミンなんかスパイスを効かせて、細かくカットしたインゲンが入っていたと思います。
 
腿と胸と、それぞれ個性のある違った味わいですが、どことなくつながりのある感じがしますね。
 
ドリンクペアリング、最後は鴨と鳩のガラを使ったビスク。
僕のメインの鴨と、他のお客さんのメインだった鳩のガラを使っているのだそう。
 
これはスープを超えてソースと言いたい濃度。
こちらのノンアルペアリングは、アルコールペアリングに代替するものではなく単純にお料理に一層の深みを加えるというか、次元をひとつ増すような位置づけのようですね。
 
イメージしていたノンアルコールペアリングとは全くの別物だったので、まだどう受け止めたものかと思っておりますが、1度これを知ってしまうと、なければ別のコース料理のような印象になってしまいそうです。
 
注文してよかったです。
 
滋味深い wコンソメ 安堵感+旨味。
 
野菜のコンソメで、肉の脂とソースでベタついた口の中をさっぱり洗い流すというコンセプト。
この日は無花果の葉。
 
暖炉とか蝋燭とか、温もりのある香りがします。
 
落ち着きます。
 
秋の足音 ココナッツ texture。
アルゴリズムさん風のモンブラン。
 
秋の足音が聞こえるということは、ここ、現在地は夏であるという意味なのかどうでしょうか。
 
ココナッツのソルベ、メレンゲ、ビオレソリエス、マロンペーストという構成。
 
ココナッツのソルベはほわほわ、繊細な食感。
 
メレングはあえて栗の形かな?
 
ココナッツのソルベ、メレンゲ、黒イチジクのそれぞれはっきり個性の出た質感がtextureといったところでしょうか。
 
マロンペーストはお酒の効いたフランス栗かと。
ここまで食感に遊びを作りながら、あえてマロンペーストは絞らないという選択。
 
ちょっと捉えどころのないモンブランでしたが、それでも「モンブラン」だと感じる1品でした。
 
ドリンクはハーブティーでお願いしたところ、アミューズで使われていたオレンジミントで淹れてくださいました。
てっきりカモミールかレモングラス辺りかと思ってしまいました。
 
伏線回収、な感。
 
無花果のファーブルトン、ラズベリーのタルト。
 
メニュー名の出し方にせよ、ドリンクペアリングの構成にせよ、ヒントを出しておいて食べて伏線を回収していくようなワクワク感のあるコース作りなのですよねえ。
とても楽しめました。
 
また楽しませてください。
ごちそう様でした!

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