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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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豊洲の「高はし」でおまかせコース(キンキ煮付け、ひらめ・ぶり刺身、ほうれん草おひたし、ほたてさっと煮、牡蠣の味噌汁仕立て)。

豊洲からおまかせコース1本の営業に変わった高はしさんへ。
 
火曜は9000円、土曜は10000円という強気な値段設定は、常連さんはおろか、言い出っぺの3代目本人でさえ少し不安になるほどのもの。
 
築地が閉場し、豊洲が開場し、ぼんやり近付いてくる新生・高はしのことを考えたら、
「もしや、沈みゆく泥船なのでは…」
と。
 
そんな心配は、シャッターが開くまでの話。
 
「俺はやりたいようにやってみたいんだよ。そりゃあ食べてもらわない分にはピンとこないよ、誰もやったことのないことをやるんだから」
 
そう。
 
黒船、来襲。
 
というわけで、高はしさんが築地で心機一転のオープン。
ガラッと営業スタイルを変え、3代目の頭の中だけでイメージされてきた新しい業態での営業がこの日から始まりました。
 
黒が基調、どころかほぼ全て黒い店内。
カウンターも真っ黒でした。
 
揃いの制服も新調して、かっこよかったです。
 
べったら漬け。
営業初日、それも3回転営業の1回転目という正真正銘のスタートとあって、お店も客の側もそわそわ。
 
張りのあるべったらをばりぼり音を立てて食べるのも何だか憚られて、誰が最初に食べるのかせめぎ合いになっていたように思います。
 
コカコーラ。
 
ソフトドリンクメニューが出来ていたので、頼んでみました。
料理の邪魔をするのではないかと少し不安もありましたが、全く気になりませんでした。
 
コーラを飲むの自体いつ以来か覚えていないほど久しぶりでしたが、イメージよりも甘さがすっきりしていました。
瓶コーラって味が違うんだっけ?と調べてみたら、都市伝説的にそのようなことは言われているものの実際中身には違いがないようですね。
でも都市伝説も言いたくなるのが分かる気がしました。
 
ちなみに容器は、3代目がこだわって選んだセラミックのタンブラー。
 
冷たい飲み物を最後まで冷たく保つ機能があるのだとか。
 
山形県庄内野菜・御立葉ほうれん草おひたし。
何を隠そう「御立葉=ごりっぱ」と名付けられただけあって、ご立派なほうれん草。
 
肉厚で青々としています。
 
ほうれん草自体の味が濃いのに加えて、少し茹でを浅めにしたそうで味や食物繊維がしっかり残っていました。
 
苦みとかエグみがある味わいが、舌に浸みて残ります。
 
帆立さっと煮。
築地時代にも同名のメニューがありましたが、そちらは前日仕込みで深めに火を入れていたそう。
 
豊洲ではその名の通り、目の前で"さっと"ほんの少しだけ火を入れるだけになったそうです。
 
確かに甘みメインの味わいになまめかしい質感。
そこへ火の入った表面から、想像より骨太な旨み。
 
「これがやりたかったんだよ!」
と3代目。
 
この日のメインで登場するキンキが登場。
 
ここから煮始めて、最後に登場する時程です。
 
宮城県産天然ひらめ。
ちょっと赤みが出ています。
 
厚さ以上の厚みを感じるもっちりした食感、旨みはやわらかくて甘みにも近い印象。
 
北海道羅臼産天然ぶり。
脂の印象が前に出すぎず、角が立ってザクッと小気味良い食感が鮮烈。
 
香りのいいぶりでした。
 
北海道網走産 釣りきんき煮付。
 
「仲卸も分かってるからさ、良いのを持ってきてくれたよ!」
 
築地で何度もいただいて、毎回感動させられましたが、誇張なくナンバーワンといえる個体。
 
皮目下に、たるんたるんの脂。
 
肝はぷりゅりゅと可愛げのある弾力に、フォアグラのような濃さ。
 
写真でも分かる、迫力の大きさです。
 
煮上がりすぐなので、身にまでは煮汁が浸透しておらず、中は純白。
 
甲殻類系の香りがはっきりする、力強い強い旨みでした。
 
〆のお味噌汁。
築地時代とはっきり変えたことのひとつは、お味噌汁の味噌。
 
発酵系の甘みを感じる香り、塩味もまろやかに。
 
三陸広田湾産牡蠣の味噌汁仕立て。
きのこやネギも入って、築地時代の「かき豆腐」から豆腐を抜いたような仕様。
 
牡蠣は大粒が2つ。
立ち上る湯気に乗った香りからして爆発的でした。
 
デザートは皮まで食べられる国産レモンの三温糖漬け。
 
いやはや。
 
正直、築地の高はしさんで十分美味しいと感じていた身としては、豊洲での大きな方向転換がピンとこないところがあったのですよね。
3代目がやりたいとおっしゃるならもちろん応援はするつもりでしたが、どういうことなのだろうと。
 
それがこの豊洲の店舗を見て、そしてこの日食事をいただいて。
特に帆立さっと煮をいただいて、3度目の
「これがやりたかったんだよ!」
という言葉を聞いて、腑に落ちたと申しますか、3代目のこれまでの忸怩たる思いの一端に触れたような気がいたしました。
 
とはいえ、繰り返しになりますがこれは初日の最初の営業。
ここからどう変化、進化されていくのか楽しみに通わせていただきたいと思います。
 
ごちそう様でした!

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