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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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清澄白河の「il tram」で11月のコース(北海道産サロマ豚のロースト、牡蠣のタリオリーニ、地鶏と焦がし玉ねぎのラビオリ他)。

お昼は11月のil tramさんへ。
 
今回のシェフは連休期間だったので「クリーニングがお休みで、間に合わなかった」とのことで、撮影用に用意しているというカッコイイ黒いコックコートでした。
 
「もうちょっとカッコイイ理由を考えましょうよ」
ということで、"連休SPバージョン"というスタンスにすることに。
 
5周年記念で作ったものとは違う、ロゴ入りの新しいグラスが出て来ました。
 
「これもちょっとカッコよくない理由なんですけど、、、」
 
はい。
 
「僕が割りすぎてしまって」
 
…はい。
 
とはいえ、ケガの功名とでもいいますか、スタイリッシュでこのグラスもいいですねえ。
 
1品目の今月のズッパはマッシュルームに、パルミジャーノのクロッカンテ。
 
どろりと重みのあるスープですが、il tramさんはクリームやバターは使われないので、マッシュルームの食物繊維由来のとろみですね。
 
ほんのり甘くやさしい味わいのところへ、パルミジャーノの気高い旨みが複雑に絡み合った苦みが差し込みます。
 
やさしさと鋭さと。
 
フォカッチャをつまみつつ。
 
軽い前菜にブッラータ。
 
少し酸味があって、さっぱりした味わいのブッラータはカリフォルニア産のもの。
 
砕いたくるみの食感、コク、ディルの香り。
 
それぞれが異質な方向に主張しますが、ブッラータの中のクリームが穏やかにまとめ上げます。
 
今月のソースは金時人参。
 
甘みがありつつ、どこか素朴な土気のある風味です。
 
続いての魚料理の前に、ハーブが登場。
 
個人的にこういう「料理の完成を客に委ねる」タイプの演出をするよりは、プロがベストの状態に仕上げて提供してほしいと思ってしまうタチなのですが、il tramさんのこれに関してはアリな気がするのですよね。
 
というのも。
 
まずフィルムを自分で開いて、立ち上る湯気で顔全体が包まれるように香りを堪能できる演出があるのですよね。
 
事前にシェフが開いてハーブを盛り付けてから提供、ですと、この香りは満喫できないのです。
 
真鯛、大黒しめじ、ニョッキに、今月のソースはポワロー。
 
ポワローは西洋ネギとも呼ばれますが、日本のネギと違って、加熱しても甘みはそれほど出ず、旨み推し。
魚の旨みとの重なり方がシャープで、大人な味わいの一皿でした。
 
チコリの1時間ロースト。
 
何やらカード付きですね。
 
話題のチコリくん。
 
最近は話題になってしまったせいか、普通に提供すると「チコリくんじゃない!」と残念がられることもあるのだとか。
 
こんなにかわいいですから仕方ないですね!
 
ちなみにカードの内容はこんな感じ。
 
「よこちこり 生態:野球が得枝。ポジションはピッチャー。サイドスローである。」
 
シェフとしては「特技」の漢字を間違えたのが痛恨だったようですが、そんな細かいこと気にしなくていいくらいふざけていらっしゃって楽しかったです。
 
よこちこりはトリュフの香りだけを残してどこかへ行きました。
 
また会う日まで!
 
ショートパスタは定番のラビオリ。
中には地鶏、ソースは焦がし玉ねぎ。
 
先ほどのカードは、お皿が下げられるときに念のためいただいておいて、何となく"取引先の名刺"のような位置に置くことに。
 
炒めて香りを付けたパン粉を散らしてあります。
 
このパン粉が香ばしさと、さらには朴訥な口当たりを産んで面白いですねえ。
 
続いてはロングパスタ。
 
なぜかシェフからもう1枚カードを渡されて、並べ順を指導されます。
 
手打ちのパスタはタリオリーニで、ソースは牡蠣。
 
トリュフをモリモリと散らして、トップにはアマランサス。
 
トリュフは香りというより食感。
芋系にも似た、ぽくぽくした食感です。
 
細平麺ながら、もっちりコシの強いタリオリーニに、強めに食い気味で磯の香りを放つソースが抜群でした。
 
渋みもある鮮やかな色合いが印象的なアマランサス。
先日伺ったsioさんでも使われていました。
 
種子がスーパーフードとしても注目を集めているようで、今後どんどんメジャーになってくる食材かもしれませんね。
 
メインのお肉は、今回は北海道産のサロマ豚という初めて聞く品種の豚でした。
 
添えられているのはハマナスのジャム。
こちらで甘みを加えていただきます。
 
鮮やかなピンクに、目の詰まり方が細やかで見るからに質の良さそうなお肉です。
 
実際食べると、柔らかくて、脂の味わいが濃厚。
 
ソースの甘さを加えても飲まれない、肉自体に主張の強さがあります。
 
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身はちょっと香りが弱いので、燻製をかけたという点と、表面を強めに焼いた点、これらのシェフの選択に非常に説得力を感じました。
 
優劣を付けるならマンガリッツァ豚の方が上は上なのですけど、たまにこうして違う豚を食べさせていただけると、新たな豚の魅力を知ることができますし、マンガリッツァ豚の素晴らしさを改めて感じてまた来月も来なければという気にさせられます。
 
サロマ豚、大変興味深く、美味しくいただけました。
ごちそう様でした!

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