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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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浅草の「Nabeno-Ism(ナベノイズム)」でショートランチコース。

この日はしっかり美味しいフランス料理をいただきたくなって、お昼は浅草の人気店を予約してありました。

 

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ナベノイズム。

事前に把握できていませんでしたが、お店の前に3周年の花が並んでいました。

 

ロブションで総料理長を務めたシェフが、50歳になる直前に満を持してオープン。

駒形の交差点から裏の通りに入った、隅田川沿いにお店はあります。

 

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案内された席はなんと3階。

立地の条件もあってか、確かにあまり土地は広くないのかもしれず、上に広げるという発想が面白いですね。

 

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サービスプレートは、シェフのおうちの家紋なのだそう。

お店の個性が出るところではありますが、こちらは器にも相当な力がかかっていそうなのが既に想像できます。

 

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隅田川沿いの窓側はカウンター席になっています。

 

この日は特別空の青い日だったこともありますが、スカイツリーも間近に見えてかなり見晴らしのいいロケーションと見受けられました。

 

サービスの方が「ようやく、夏ですね」と空をバックに落ち着いた調子で語り始めてメニューの説明をしてくださいました。

素敵。

 

通常メニューは1万円ですが、今回はショートランチコース(7500円)でお願いしました。

 

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すごすぎて、運ばれてきた瞬間に思わずにやにやしてしまいました。

 

1品ずつかなり丁寧にお料理を説明してくださいます。

 

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プロヴァンス風ガスパチョ カフェフランセ仕立て ペルノー酒の香るレモングラスのエキューム、近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーブのマリネ、リヨン伝統ソーセージ ロゼットで巻いたプラム。

 

という説明書きが書かれていましたが、読み疲れるので1品ずつ。

メニュー表が本当に丁寧でしたねえ。

 

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おこしの上にバターとアンチョビ。

おこしの甘みと香ばしさ、アンチョビの塩気にバターが合わさって、塩キャラメルとかに近い甘じょっぱく濃厚な味わい。

 

浅草のおこしのお店「大心堂」さんのものを使っているそうです。

 

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最中の皮にサワークリーム、カラスミ、塩昆布。

和風のカナッペのようなイメージ。

 

最中は浅草の専門店「種亀」さんのもの。

 

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ソーセージで巻いたプラム、オリーブのマリネ。

 

リヨンの伝統的なソーセージはロゼットを使用。

これだけストレートに美味しい系だったと思います。

 

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ガスパチョは、フルーツトマトを使っていても甘みより酸味と旨みの立つ味。

 

泡立っているからか、ちょっとミルキーで、レモングラスがいい香りでした。

 

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バターとオリーブオイル。

 

パンはシンプルなバゲット。

 

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"両国江戸蕎麦ほそ川"の蕎麦粉をソースエミュルッショネの技法で炊き上げたそばがき、奥井海生堂蔵囲2年昆布ジュレと塩ウニ、ウォッカクリーム、山葵をあしらって。

 

続いての前菜も、お皿の圧が続きます。

 

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パッと見では何か分かりにくいのですけど、蕎麦がき風とのこと。

両国の名店から蕎麦粉を分けてもらって、バターを練り込んで作るそうで、ふわふわのとろとろ。

 

手前の匙には「ウォッカクリーム」。

サワークリームにウォッカを垂らしたものとかで、口に入れるとウォッカがカッとくるかなり強い味。

 

f:id:lockandgo65:20190831031348j:plain蕎麦がきの上には昆布だしのジュレと、ウニ。

金箔の下には生わさび。

 

独特でピンときにくい味なのですけど、やさしい蕎麦の香りをベースにしながら、印象的な味がパッパッと配置されていて楽しめました。

 

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和歌山の清流からの鮎を米粉焼きと4年熟成パテ シャルトリューズを香らせて、スイカとコンコンブルのルーロー ミント風味と 江戸伝統野菜馬込半白胡瓜と水茄子のマリネ、冷たいソースオゼイユを添えて。

 

 

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さりげなくお箸が添えられてくるスタイル。

 

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鮎は香ばしく焼かれた米粉焼き。


下には内臓のソース。

鮎は肝のほろ苦さも大きな魅力のひとつですからねえ。

旨みの強いソースに酸味も。

 

 

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絞って添えられたパテは、開店当初から継ぎ足しているそう。

鰻のタレ方式ということだったので、これからずっと続けていくのだと考えると4年目に入ったところというのはまだまだ若いのかも。

 

それでも十分深くて複雑な味です。

 

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さらに鮎と相性のいい瓜系野菜が色々。

西瓜、胡瓜、花丸胡瓜、江戸東京野菜馬込半白きゅうり。


スイカがミント風味で意外性がありました。

 

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和牛ほほ肉を柔らかくブレゼ バスク地方郷土料理ピペラードのイメージで 生ハムのエッセンスと赤ピーマンの香るソース,プティサラダ バスケーズ(生ハム、オッソイラティー、チェリー、エスプレット)。

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メインはナイフのいらないふわふわ牛ほほの煮込み。

 

生ハムとパプリカが全開のソースが、夏っぽくもあってとてもいい。

サルティンボッカを食べているような生ハム感。

 

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生ハムやバスク地方のチーズ「オッソイラティ」と散らしたサラダ。

 

風味食感ともに鮮烈。

 

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茄子のフリット。

素朴な衣と、ジューシーな茄子の甘み。

 

和要素をあちこちに散りばめたお皿の連続から一転、メインはバスク地方感満載でしたね。

 

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デュオ・ド・ドゥーフロマージュ&ポワブル パルメザンチーズを滑らかなクリームチーズとカカオバリー社ルビーチョコレートのガトーにのせ、黒胡椒、ピンクペッパーの香りをアクセントに。 

 

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デセールは一見地味ながら、2種類のチーズケーキ。

 

それぞれ甘さよりチーズの味が立つキレのある仕上がり。

 

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右手前のソルベはライチ。

 

爽やかでキュンとくる酸味。

 

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チーズケーキは、マスカルポーネのレアチーズと、パルメザンのベイクド。

 

さらにルビーチョコレートのムースが詰まっていました。

ルビーチョコレートって、見た目がどうしてもカシスとかフランボワーズを連想させるので甘酸っぱいイメージを持たれるらしくて使い方が難しいようですが、そのためか分かりませんが、こちらはフランボワーズのピュレを添えてその系統の味を補っていました。

 

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食後にはコーヒーを。

南千住の名店「バッハ」さんのものだそう。

 

f:id:lockandgo65:20190831031037j:plainミニャルディーズ。

大沢屋煎りたてきな粉を使ったカヌレ、バッハのコーヒーを使った生キャラメル、胡麻と七味のマカロン。

 

遊び心系の食材の効かせ方が、ガツンと振り切っていて気持ちいいです。

非常に面白い。

 

少しのんびりした後お会計を済ませると「屋上も見て行かれますか?」と提案されたので、乗っかってみると…、

 

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あーなるほど!これはいい!ちょっと暑かったですけど。

 

お店の立地をデメリットも逆手にとって、最大限活かしていらっしゃるのがさすがですねえ。

 

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スカイツリーもしっかり。

ディナーならライトアップされた姿などはさぞ見ものではないかと。

 

ひととおり写真も撮って階段を降りると、「暑くなかったですか?」と確認されました。

 

シェフがテーブルを回っては「楽しんでいただけていますか?」、食後に見送りに出てきては「楽しんでいただけましたか?」と聞いていらっしゃるのが印象的でした。

 

先日知り合いに「5000円とか1万円出したら、美味しいのは当たり前じゃない?」と聞かれたのが胸につっかえたような気持ちが続いていたのですよね。

その点こちらのシェフは、長きにわたる料理人歴と職歴に裏打ちされて「美味しい」は当然という貫録。

勝負どころは「楽しんでもらうこと」という意気込みがひしひしと伝わってくるコース料理だと感じました。

力が入っているのに、緊張感とか堅苦しさにならない感じが、とても計算し尽くされたエンターテインメントだなあと思います。

 

またお邪魔します。

ごちそう様でした! 

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