lockandgo65

美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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三田の「コートドール」で蝦夷鹿のロースト、季節野菜のエチュベ、アンチョビのトースト。

美味しいものばかり食べる日々を過ごしていると、

 

「だんだん感動も薄まってこない?」

 

と聞かれることがあるんですよね。もう相当美味しいものを食べても驚きはないでしょ、と。

 

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先日、漫才コンビのアンタッチャブルさんが10年ぶりに漫才を披露して話題になっていましたが、「面白かった」というのと同じくらい「泣けた」という感想を見かけました。

 

僕もボロボロ涙がこぼれてきたクチで。

 

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声高に言うほどではないんですけど、子どもの頃はとてもお笑いが好きで。

 

爆笑オンエアバトルくらいからハマったのですけど、ちょうどその後にネタ番組全盛期みたいな時代がきたんです。

ビデオに録ってはテープが擦り切れるくらい繰り返し観て、ネタを覚えて友だちと練習したり、ときには自分で台本を書いて下級生の教室で披露したこともありました。

お恥ずかしい限りなんですけど。

 

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アンタッチャブルさんの漫才の何が泣けたって、あの頃観たネタだったからなんですよね。

 

そして「10年ぶりに観た」あの頃のネタとはいっても、待ち望んできた身としては、「10年間繰り返し観てきた」擦りに擦ったあの頃のネタなわけです。

 

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彼らの漫才って、大枠のストーリーや流れだけ決まっていて、要所のいくつかのボケ以外は結構多くの時間がアドリブで占められています。

 

そのスタイルがそのまま始まって、10年ぶりでも色褪せずアドリブがバンバンハマっていて泣けて、要所要所のお決まりボケは手慣れたもので「ああ…覚えてるんだ」と泣けて。

 

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復帰に10年かかった背景には、スキャンダルで評判を落としてしまった柴田さんに対して、その後一人で地位を築き上げたザキヤマさんがすぐに復帰を呼びかけなかったみたいなこともあるみたいで。

 

以前、柴田さんがテレビ番組で語ったところでは、ザキヤマさんは、

「俺が手を差し伸べてるみたいでキャラに合わない」「お前の実力でなんとか俺のとこまで来てくんない?」

と言っていたようなのですよね。

 

この日、正式にゲストとして呼ばれて爆笑をかっさらい続けて"実力を見せつけた"柴田さんの前に、ザキヤマさんが現れるという演出。

 

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若手時代からプライベートでもザキヤマさんと恋人のように仲がいいことで有名な先輩・有田さんが「アンタッチャブルさんの漫才です」と呼びかけて、誰よりも嬉しそうに大笑いしている。

 

あの番組はこれまでも同様の流れで「ザキヤマさんです!」と呼ばれて全然違う人が出てきて、柴田さんとぎこちなく漫才をする、というのを執拗に繰り返してきていたところで、お決まりパターンをフリに使うという周到さ。

 

考えれば考えるほど、言い尽くせないほど痺れる要素だらけだったんですよね。

 

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季節野菜のエチュベ。

野菜の蒸し煮をピクルスのような味に仕立てたもの。

 

この名店を代表するメニューとしては、一見割と地味だということにお気づきいただけるでしょうか。

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でも実はこのお料理、出来上がるまでの経緯がシェフの自伝の中で描かれている逸品なのです。

 

フランス修業から日本に戻ったシェフは、日本の野菜では力強い向こうの野菜の味を出せないことに頭を抱えたのだとか。

それでもどうにか日本のお客さんにあの味を、あの感動を味わってほしいと試行錯誤した結果たどり着いたのは「味付けを濃くすること」ではなく、酸味を強くすることだったのだそう。

 

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先ほどさらっと「ピクルスのような味」と書いたのですけど、レモンをガツンと効かせたこの味わいは、ストーリーを知っていることによってゾクッと鳥肌が立ち、そこにアコーディオンが鳴り、エッフェル塔のそびえるパリが立ち上がってくるような感動が生まれる引き金になるのです。

 

「この酸味か…!」「オリーブオイルの香り…力強い野菜の味…」

 

子どもの頃育った街を訪れて、当時と変わらない箇所を確認しながら歩き回るみたいな、懐かしさと喜びみたいなものがあるのですよね。

 

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こういう話をすると「情報を食べている」とか「ただ目の前のものを食べて『美味しい』って言えないの?」という誹りは免れないところで。

 

そりゃね、「よく分かんないけどこれ美味しい~!」と目の前でやられたら羨ましくなるときもありますよ。

上司の行きつけの店で、フライドポテトと唐揚げを「ウマいっすねこれ!」とバクバク食べ続ける同期みたいになりたいと歯ぎしりした夜もあります。

 

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でも僕は間違いなく、美味しいものを食べて未だにいつもいつも感動するし、何も知らなければ経験できない激しい感情の揺さぶられ方をしていると思っています。

 

ほんと美味しいなこの鹿。

 

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冒頭の質問への答えはいつだって、「感動してる!」。

知れば知るほど感動するし、知ってるからこそ驚いてしまう。

 

繰り返しになりますが、「知らないまま感動している人」を羨みながら。

もう戻れないことは分かっているのでただただ前に進むしかないのです。

 

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鹿肉と赤ワイン、という一見ありがちな組み合わせのこの写真も、もしかしたら見る人の持つ情報量によっては見え方も違ってくるのかも。

 

僕はこの写真を見ると、少し感情的になって、色んなことを言いたくなってしまう、という。

そういう記事でした!以上!

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