随分久しぶりになってしまいましたが、パリの空の下さんへ。
突発的に思い立ってお邪魔したのですけど、薄着で雨の中並ぶことになってしまいましたが、報われるだけの価値があるのがこちらのいいところ。
並び甲斐、並び甲斐。
チャバタ。
お店のサンドメニューで使われているので長らく大ファンなパンのひとつですが、チャバタのみで見かけたのは初めてでした。
曜日の関係でしょうか。
イタリア系のパンって水分が抜けてカラッとしたものが多い気がするのですけど、こちらのは水分が残ってもっちもち。
片側を持つと、もう片側が重みでしなるくらいにズッシリでしているのですよね。
パリの空の下さんのパンは小麦粉の味の良さのしっかり伝わってくる生地ばかりなのですけど、オリーブオイルを使うこちらはキリッとした旨みが際立ってまた別世界のような味わいが広がります。最高。
パンドミ。
こちらの定番も押さえられました。
チャバタと比べてミルキーな甘みが引き立ちます。
こちらのパンドミを食べると、他店のクラストは焦げているように感じられるようになるのですよねえ。
しめしめ、これでサンドイッチし放題だな。
栗のクレープ。
栗はフランス・アルデッシュ産。
たっぷりクリームが詰まって、かなりボリュームがあります。
クレープ生地自体にも栗の粉を使っているそうで、この色。
少し渋みっぽさ、ほんの香ばしさがあって、大人な味のイメージ。
小豆色のコンフィチュール。
こちらも渋みが効いてシャープな味わい、甘い香りはラム酒でしょうか。
この畳み方、クリームの層も加味して計算された抜群の噛み応えが心地よいです。
鼻から抜ける香りが最高でした。
タルトはこの時期のお店恒例であるりんご「こうとく」を使った2種類を選んでみました。
タルトタタンのこうとくバージョン。
通常バージョンの紅色のイメージが強いので、凄味のある黄色が鮮烈です。
りんごは半個分くらい入っていて、とろけそうな表面からザックリした食感も残した中心部の方までの、幅のある食感が絶妙な見事な火入れ。
バニラを香らせて、りんごの甘みを強調した仕上がりです。
タルト生地の、強すぎない香ばしさが全体を素朴な味にまとめます。
決して小さいわけではないのに、油断するとふた口くらいで食べてしまいそうな絶品タルトでした。
タルトこうとく。
ピスターシュのクリームとりんごの色合いの鮮やかなコントラストが印象的。
色からくる印象もあるのかもしれませんけど、パイナップルにも近い華やかな香り。
加熱してなおはっきりと確認できる蜜の入り。
りんごって蜜自体が甘いわけではないのですけど、蜜の部分の香りの効果によって甘みを強く感じるので、結果として蜜の多いりんごは甘いと感じられるのだそうです。
ただでさえ華やかな香りを放つりんごが、何段階にもランクを押し上げられたような芸術的なりんご使いでございました。
日本の果物は生で食べてナンボな考えで作られているものですが、加熱してナンボであるフランス菓子に見事に昇華された素晴らしい2品でした。
シュトーレン。
予約でほとんど売れていて店売りは少量しか出ないようなのですけど、この日はギリギリ1つ残っていて購入することができました。
ヒイラギかわいい。
シュトーレンは元々、クリスマス前の約4週間くらいの期間で少しずつ食べ進めるもので、日保ちさせるために砂糖が大量に使われるのですけど、パリの空の下さんでは日保ちより味重視で作られているそう。
他店のシュトーレンに比べるとひと回り大きい上に、見た目以上の重さがあります。
ドライフルーツ、ナッツが詰まった上に、粉は少量混ぜるのも気が引けるほどの価格の高級小麦粉100%なのだとか。
袋を開ける前から心が酔ってしまいそうな甘い香りが漂います。
ピンクのマジパンが印象的ですが、ドライフルーツ、ナッツひとつひとつがお酒の香りに飲み込まれることなく存在感を発揮。
燦然と輝きます。
オレンジピール、ドレンチェリー、あと恐らく洋梨と思われるモノあたりが印象的でした。
確かに日保ちを気にする必要はなさそうな、あっという間に食べ終わってしまう絶品シュトーレンでした。
前回初めていただいたときに「世界一美味しいもの」ってこれなんじゃないかと思った記憶があるのですけど、改めて確認できた幸せを今ここに感じながらごちそう様でした!