lockandgo65

美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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麻布十番の「薮原十区」であぶらぼうず。

この日はどこか大学で勉強していたらついつい13時を回ってしまいまして。
最近パンばかり食べている気がしてご飯を食べておきたかったので、どこかいいところはあったかと考えて思い出したのはこちら。
 

薮原十区。
田町というよりは麻布十番に近い場所にありますが、どちらにしても駅からはかなり離れた立地。
住宅地の中に、看板も出さずひっそりとした佇まいです。
カーテンも閉めきってあるのですが営業中です。
外からご主人と目が合ったのでアイコンタクトで、いいですか?と確認して入店。
ドアを押しても引いても開かないので困っていたら、ご主人がジェスチャーでスライド式だと教えてくださいました。
色んな意味で入るまでがハードルが高いです。
 
焼き魚を筆頭に、食にただならぬこだわりをもつお店です。
先日のお祝い会の会場として、焼き魚っ子の僕のためにまっつんさんがリストに挙げてくれていたお店の一つです。
 
店内は綺麗でシンプルな内装、広々としているわりに席数は絞っているのでかなり開放感があります。
カウンターに案内されご主人が口頭でメニューを説明してくださいます。
「1500円と2000円の定食しかありませんが大丈夫ですか?」とのこと。
その辺は予習済みです。
値段の違いは魚の種類の違いのみ、この日は1500円が鰆、2000円はあぶらぼうずとのことでした。
 
「魚の種類が少ない日に来ちゃいましたね。」とご主人。
僕に同情するというより、お店の魅力を見せきれないのが残念でならないといった風でした。
 

カウンターの一番入り口側、焼きを一番間近で見られる席でした。
ご主人に許可を撮って撮影しましたが、快く応じてくださいましたよ。
 

ご夫婦?で切り盛りされています。
マスクで顔のほとんど見えない職人風のご主人ですが、結構若そうです。
お二人ともジーパンだったのも印象的でしたw
 
最初に出されるこのお茶がまずとても美味しい。
甘みは控えめながら渋みが完全に旨みになっているようなお茶でした。
頻繁に奥さんが注ぎなおしてくれます。
 

10分ほどで到着。
ご飯は少なめでお願いしました。
 

あぶらぼうず。
聞いたことはありますが食べるのは初めてでした。
「銀ダラに似たお魚です。」とのこと。
とろとろに脂の乗った感じは確かに近いですが、こちらの方がやや身質がしっかりしていた印象です。
 
やや味噌は甘みが足りないようにも感じましたが、火入れは素晴らしい。
表面はパサつくことなく脂が滲み出してきていながら中心までとろとろに、しかししっかりと熱いです。
 
美味しい美味しい。
思わずにこにこです。
 

「ご飯のおかずに持って来いでしょう。」と自慢げなご主人。
マスク越しですが、ご主人もきっとにんまり笑っておられるのでしょう。
 

ご飯は「決して高いお米を使っているわけではないんですよ。」とのことでしたが、こちらも丁寧にこだわって炊かれていそう。
お米の味は濃くないですが、やや柔らかめの一粒一粒がつやっつや輝いています。
 

煮物、ひじきは共通して味付けが薄め。
というより、味が薄い、でも美味い。
出汁がしっかりしています。
 
煮物は味付けは薄口醤油だけではないかというシンプルな味。
一品一品素材の味が分かるほど薄味ですが物足りなさはありません。
特に出汁をたっぷり吸った肉厚の油揚げが絶品でした。
 
ひじきは味付けは甘めですが、こちらも薄味。
柔らかく炊かれています。
 
お新香ももっと欲しくなりました。
 

提供する直前に一人分ずつ行平鍋で加熱しなおしていたお味噌汁。
キャベツ、たまねぎ、しめじ、えのき、大根・・・、と具沢山。
 

ご飯茶碗より大きな丼のような器での提供です。
こちらも具材は柔らかめ。
具材からも出汁が出て、甘い優しい味の味噌汁になっています。
汁と具材が溶け合うようなお味噌汁です。
 
何より特筆すべきは、ご主人。
カウンター越しにとにかく食へのこだわりを語るのがお好きのようで、色々なお話を聞けましたよ。
最初は食べるのに集中させてくれ、と言いたくなるくらいでしたがw
聞いているうちにどんどん引き込まれて思わず箸を置きましたw
お若いのに幅広い知識をお持ちで、ご主人のお話を聞くために通いたくなりましたよー。
マスクをしているのも料理をしながらたくさんお客さんと話したいからなのかもしれませんね。
 
食ってそれぞれ好みがありますから「これが正解」というのもありませんが、ご主人の美学は僕にはかなりはまりました。
写真を見てもお分かりかもしれませんが、見方によってはシンプルなただの定食なのでこの値段は高いと感じられる方も多いかもしれませんけどねー。
好みは分かれるかもしれませんが、とてもいいお店だと感じました。
 
ちなみに食べ終えてお会計をしようと立ち上がりかけたら「今お茶をお出ししますね。」と引き止められましたw
食後にまたあの美味しいお茶を一杯。
幸せです。
 
そんな風に一人一人のお客さんを大事に、ゆっくりと食事の時間を作り上げているので、値段もこのくらいにしないとやっていけないのでしょうね。
 
すいません、このお店の魅力は語りきれません。
ご主人にも申し訳ないですw
また行きます。

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