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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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代官山の「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」で鰆の低温ロースト、鹿肉のロースト他。

この日のランチは代官山。
1か月以上前から予約していたのですよね。


ル・ジュー・ドゥ・ラシエット。
ミシュラン1つ星を獲得するフレンチレストランです。
田町のminobiと同じオーグードゥジュール系列のお店ですね。

ずっと行きたいと思いつつ後回しにしてしまっていましたが、高橋シェフが今年度いっぱいでお店を去られるというギリギリのタイミングでの訪問となりました。


店名は「お皿の上で遊ぶ」ということを意味しているそうです。
作る側の楽しもうという意識を感じますし、こちらもわくわくしますね。

昼は4600円(7皿)、10000円(11~12皿)の2種類。
金額は税込、サービス料別です。
今回は7皿のコースを。


まずは定番のアヴァン・アミューズ
何度も写真で画は拝見して活字の説明は目にしてきましたが、どうしても想像の付かなかった一品。
真鯛のマリネを米の泡で包んだもの。

魚、米、ビネガーというとお寿司をイメージしていそう、意外性がありつつ味自体は違和感がありません。
後から香るライム、「良い仕事」してますね。


わかさぎとゴボウのフリット

最初はゴボウの土っぽい甘みが広がって、続いてわかさぎの苦みや旨み。
全身を味わう小さめの魚は、その苦みや渋みに生命力を感じますね。

ゴボウは無理に食べきる必要はないそうです。


出てきた瞬間、稚鮎!と勘違いしてしまいましたが、隣のテーブルでも「稚鮎だ!」と盛り上がっていらっしゃいました(笑)。
動きのあるゴボウの中を泳いでいますから、流れのある「川」を想像させるのもある気がしますね。

ちなみに最初に運ばれてきた際、わかさぎが1尾落ちてしまい「活きがよかったみたいですね」というフォローが入りました(笑)。


バターは2種、無塩のものと岩塩を乗せたもの。
パンはまだ出ず、バターは先に出して適温まで置く演出でしょうか。


続いてのお皿は新玉ねぎとヤリイカ
写真泣かせの一皿ですね。

新玉ねぎのピューレの上に新玉ねぎとヤリイカのグリル、一番上には乾燥させた新玉ねぎ。

十和田バラ焼きの玉ねぎだったり、イカ焼きのイカだったり。
B級も演じられるそれぞれの焼きの香ばしさが個性を発揮しますが、同時に引き出された甘さで上品にまとまっています。


お皿を下げられたところでバゲットが登場。
確かお店のすぐ向かいにあるパン屋さん「代官山ファミーユ」さんのパンを使っているのだったと思います。

やや塩気がしっかりめ。
外パリ中モチの王道バゲットです。


このお皿は意表を突かれました。
きのこのアイス、グリーンピース、アスパラガス、空豆、そしてポーチドエッグを包んだクレープにグリーンピースときのこの泡のソースを合わせてあります。


空豆の味がよかったのは印象に残りましたが、ちょっとごちゃごちゃしすぎていたかな?
それほど強い味がないところへポーチドエッグを割ってしまうと、見た目も味もカオスな状態になってしまいました。


魚料理は鰆の低温ロースト。
こちらは何となくいただきたいと思っていた料理にドンピシャ。


被せてあるのは白バルサミコのシートだそう。
イメージしたより融けるのに時間を要して、その分鰆にしっかりと融けこんでいくようでした。



菜の花、うど、タラの芽といった春野菜。
この辺りは下処理が丁寧すぎるのか、味も食感も弱々しくて個人的にはいまいち。

春野菜ってギラギラした感じがないと物足りなく感じてしまうのですよねえ。


対して上に乗った木の芽やシソの花は力強さを感じました。
こごみもまずまず。

低温ローストは「生」ともまた違ったもっちりとした食感が魅力的。
旨みの面では焼物に劣るのが難点ですが、こちらはちゃんと皮目に香ばしさを出した上に、パン粉、バター、ガーリックでシンプルに味にコクと広がりを与えてありました。
それらの味わいの中で、バルサミコがシートであることもひとつ独特の存在感を放つ要因になっていたと思います。


肉料理は鹿肉のロースト。
ソースは赤ワインのソースとビーツのソース、付け合わせにはスイスチャードという葉野菜と手前にはジュニパーベリーという胡椒のようなスパイス。


旨み、食感ともに力強さはないもののやさしい魅力があります。
食感は「弱い」といってもいいほどですけど、しっとりした身がほどけるにしたがって芯のある味わいが舌に乗ってきます。


ビーツのソースは張りのある甘さ。

赤ワインのソースはやや塩気が足りなくて頼りなくも感じましたが、深みがありますね。


スイスチャードはお初にお目にかかる野菜だと思います。
ほうれん草にも近いですけど、やや葉厚は薄め。
味わいには野性を感じます。


デザートは筒状の飴の中にイチゴ、マスカルポーネのムース、ハイビスカスのジュレ、マルジョレーヌ(焼菓子)、ミントの香りもあったかな?
仕上げにヨーグルトのアイス、炭酸の泡、ライムの皮。


やや淡い赤、桜色を意識しているかな?
炭酸がしゅわしゅわ、ほのかで心地よいです。


イチゴとマスカルポーネは鉄板の組み合わせ。
まったりと舌に残るムース、美味しいです。

ハイビスカスやミント、ライムの香りで爽やかな印象に。


飴を崩していただくと、クレープに次いでごちゃごちゃした一皿に(笑)。

重すぎず、甘さを控えすぎず。
いいデザートでした。


食後のドリンクはコーヒー、紅茶、カモミールレモングラスからカモミールティーをチョイス。
穏やかに終えましょう。


と、小菓子も手抜かりありませんでしたね。

ジヴァララクテのクリームのプチシューとトンカ豆のブラマンジェにカフェオレ風味の泡を乗せて。
塩気やスパイシーさがあってキュッと締まった〆となりました。

目に美しく、ゆったりと、楽しい時間を過ごすことができました。
幸せでした。

ここから少し長いです。
作りこまれたコース料理ですからちゃんと読み解いてみたいのですけど、僕にはなかなか・・・^^;
一応考えてみたのは以下のような感じ。

定番の鯛のマリネを抜きにして考えると、物語の始まりはわかさぎということになるでしょうか。
わかさぎとゴボウ、これは完全に冬の組み合わせ。
新玉ねぎとヤリイカの真っ白な一皿は雪のイメージ、ドライオニオンは氷の結晶を彷彿とさせます。

同時に、-(マイナス)とも言えるほど地味な色合いからスタートして、±(プラスマイナス)0とも言うべき純白に一歩進んでいます。

次の皿はごちゃごちゃしていましたが、コンセプトに気付くと案外シンプル。
春の息吹なんですね。
木の子、グリーンピース・空豆(種)、卵と生命の芽生えとでも言いましょうか。
ポーチドエッグを割ることによって「誕生」を感じさせる一皿でした。

そして魚料理は分かりやすく魚偏に春で鰆。
春の緑に囲まれて、木の芽、そして小さな花。
温かな春の訪れを思わせます。
バルサミコのシートも木漏れ日のようですね。
「春サミコ」もシャレになっていると思うのは僕の勇み足でしょうか。

ただ次の肉料理が解せないのですよね・・・。
色合い的には見事にプラス、プラス、プラスで絶頂まで華やかに持っていくことに成功しているとは思いますが、この皿が「春」を表現しているとは到底思えないのです。
逆にジビエの冬、鹿肉(=もみじ)の秋、スイスチャードや全体に見て取れるクリスマスカラーとしての冬、と秋冬を感じさせてすらいるような。

そう考えるとデザートで再び春に戻ると同時に、ハイビスカスで夏も感じさせているのかも。

旅立ちの春を迎えるシェフにとって、いいことばかりでなくこれから様々な困難がありましょうがそれを乗り越えた先に明るい未来が待っていると。
最後に四季を一周してみせたのかもしれません。

やっぱりフレンチは面白いですねえ。
プリフィクスで自分で選ぶのも楽しいですけど、こうしてシェフの作り出す世界にどっぷり浸かってみるのは比にならない幸福感がありました。

できれば食事中に読み解けるとよかったのですけど、さすがに知識の乏しい僕には初訪問のお店でそこまでの余裕はありませんでした。
こういうお店に通って、シェフと「会話」できるようになりたいですね。
ただ今回の場合シェフに付いていけばいいのかこのお店に通えばいいのか・・・(苦笑)。

いや両方か( ̄▽ ̄)(笑) 

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