宇ち多゙さんを出たら、Jさんたちとお別れして僕は世田谷へ。
先週に引き続きCD屋さん巡りをしましたが、やはりお目当てはみつからず。
諦めて17時過ぎにパリの空の下へ。
霧雨で湿った空気の中でしたので本を読むこともままならず、ただただ待ちました。
前から6番目でしたので少し油断していましたが、品物によっては売り切れそうになるのでびっくりしました。
でもやっぱりこの時間なら「選べます」ねえ。
豚タンパストラミのサンド(700円)。
豚タンを香辛料で調味して燻製にしたもののよう。
キュッと歯に反発するようでいてパツンと小気味よく切れます。
タンらしい味もあり。
タンと、マヨ系のソースやヴィエノワの「乳」っぽさとの組み合わせはあまりイメージにはありませんでしたが、タンの個性を抑えることなく力強さを増していたように思います。
いちご煮のキッシュ(950円)。
僕もこの半年くらいでようやく「いちご煮」の存在を知ったクチですが、苺を煮てあるわけではないのでご安心‽ください。
いちご煮とは、八戸の伝統料理であるウニとアワビの吸い物。
確か刻んだ大葉をたっぷりかけていただいた記憶があります。
たくさんのウニ、そしてアワビかツブ貝で代用か。
実際そういうパターンもあるようですね。
以前いちご煮をいただいた際も感じましたが、結構塩分が多め。
海水を思わせるようなミネラルと甘みを孕んだアパレイユの中でウニが、ツブ貝が踊るように活きてきます。
そしてこのアパレイユはねっとりとしていましたね、これ結構好みです。
続いて以下はこの週の目玉のフランスのフルーツ。
クエッチェのペイザンヌ(750円)。
まずはクエッチェ。
ペイザンヌ自体、パリの空の下のものは初めていただきます。
デニッシュ生地にたっぷりのクエッチェとコンフィチュール。
周りサクサクはもちろんいいのですけど、底面の厚みのある部分が他のデニッシュにはない感じでこれまたたまらんです。
フルーツの味を表現するのは難しいですけど、あえて言うならプルーン系ではありますが甘酸っぱさがより強い感じ。
ぷっちゅりと厚みのある皮もいいですね。
クエッチェのタルト(ピスターシュ)(750円)。
上にはすみれの香りのコンフィチュール。
ピスターシュは見た目ほど派手でなく。
相性のいいフルーツと合わせたときの味の収まりの良さは唯一無二ですね。
すみれの香りの話はまたこの下で。
クエッチェとすみれのションソン(750円)。
がっしりしたパイ生地から洩れ出づるすみれ。
すみれが香ります。
洩れ出づる。
基本はクエッチェのコンフィチュールにすみれの香りを付けているようですが、もうすみれが感覚を支配します。
味は嗅覚で決まると聞いたりしますが、こういうことなのでしょうねえ。
逆に言うと「食べる」という行為は香りを堪能するための究極の形だったりして。
こちらのシェフは花の香りが得意なイメージがありますが(フランスではこれが一般的なのかもしれませんが)、すみれの香りは特によかったです。
花の香り、すみれの香り。
忘れているなあという気持ちと、蘇ってくるくらいには身体に残っているのだなあという気持ちと。
ミラベルのタルト(750円)。
フルーツが変わりまして、こちらはミラベル。
形はよく似ているのですけど、こちらは皮が黄金色。
甘さと酸の幅が広くてイメージとしては梅に近い感じ。
ミラベルにちょっとだけクセがある分、アーモンドのまったりと奥行きのある味わいが主張を強めていた気がします。
アナナスのシュトルーデル(750円)。
ハンガリーの伝統菓子で、りんごを使ったアプフェルシュトゥルーデルなんかが有名ですが、パリの空の下ではパイナップルを使ってアレンジ。
なんでも、震災の影響でりんごの流通がストップした際に代用として試行錯誤して作られたものなのだとか。
パイン、レーズン、フルーツの中でも爽やかで濃厚な甘みが詰まっています。
薄い生地でくるんでありますが「薄い生地」というには「分厚い」感じで、ずっしりと重いです。
甘い香りがありますがこれがひなげしの香りなのでしょうか。
パインも強く香るので、上手く嗅ぎ分けられず。
というかひなげしの香りをよく分かっていない自分を呪いました。
「ひなげし」と聞いても思い出すのはアグネス・チャンさんくらいで・・・。
もっともっと勉強しなきゃ。
ナポリテーヌ(750円)。
この日はタヒチ産のバニラを増量仕様。
目に見えて・・・、
目に見えてバニラが多いです。
そしてバニラだけでなく甘みや旨みもしっかり腰が据わっていて、全てが何にも負けていない味わいなのですよねえ。
全てが勝者の貫録のクレームパティシエールです。
よもぎのヴィエノワ(350円)。
八戸産のよもぎを使用。
いつもはプレーンとショコラとくるみと3種類あったりするヴィエノワですが、この日はよもぎ1本勝負。
バター由来なのか塩気があるので、よもぎの香りの中から甘み要素が浮かび上がります。
これいいですねえ。
パンオセレアル(650円)。
最近ハマっている「魚の塩焼きサンド」用に。
パンドミやチャバタも悩みましたが、それらはサンドメニューでいただいたことがありますから今まで食べたことのないこちらに。
スライスしたところ。
ひねりのない表現ですが、甘く香ばしい香り。
こちらも八戸産の雑穀入り。
この日はクエッチェ、ミラベルといったフルーツと八戸産食材が売りな気がしたのでその辺は上手く網羅できましたね。
セレアルのちょっと気になったところは、底面のクラストがかなり分厚いこと。
よく噛めば味がよく出て美味しいのですけど、ちょっと洗練の足りない感じ。
あえてやっていらっしゃるのだとしたら面白いですけど。
まだ冷蔵庫に残っているので、心して味わおうと思います。
平日休みでもないとこんな並び方はできないのが残念でなりません。
とりあえず、この日出せる力は出し尽くしたと思います。
また伺います。