前回と同じくこの方も一緒です。
ふふふ、こんな両手に花の大事な1席に選んでいただけるとは僕も捨てたもんじゃないなあと喜び勇んでおりましたが、今回誘う相手はあみだくじで決定したそう。
誰に選ばれたかって、神に選ばれたということですね。
聞くところによると150万人の候補のあみだくじで選ばれたそう。
映画版ハリーポッターの主役のオーディションが1000人ほどだったことと比較してもかなり狭き門ですね。
冗談はさておき。
リアル「両手に花」の席順で着席しましたが、カウンター越しにご主人とご挨拶するともう気分は花より団子でございます( ̄▽ ̄)
こまめに替えてくださるお茶。
この湯呑みもいちいち魅力的です。
初めに供される枝豆をぽりぽりいただきながら待ちましていざスタート。
まずは平目と北寄。
これは前回と同じラインナップ。
長万部の北寄貝。
かなりの大きさ、肉厚。
ワタの付いている面だけ軽くゆがくのは前回と同じく。
生より心地よい艶めかしさで、甘い部分に特化したような磯の味です。
東京湾の平目。
モノがいいのか仕事が上手なのか・・・こんなに味がはっきりしているなんて・・・!
ちょっと絶句ものです。
白身の繊細さの面影はなお残しつつ、力強いのです。
えんがわも追加で添えてくださりました。
そんなにえんがわにいいイメージはなかったので、脂のくどさなんかを紛らわそうと珍しく醤油を使ったのですけど・・・これもただ、ただ旨みの極み。
塩気が相まって、どこかチーズのような。
のっけからすごいです。
前回と同じスタートに見えて、前回と比較することすら忘れていただきました。
根室の秋刀魚。
「ねむろ」と「めぐろ」を聞き間違えやすいので注意が必要です(?)。
優しさと柔らかさを感じる刃先。
「この刀は人を斬るためではなく、人を守るためにある」そんな感じ?(笑)
今年の秋刀魚は脂が薄いのですけど、生でいただく分にはバランスが良く感じられると思います。
旬の秋刀魚としてはもっと脂が乗っていないと物足りないという声もありそうですが、とろんと柔らかな身が舌に触れ、香りが鼻から抜けるときに脂が邪魔しないので秋刀魚を満喫しやすいと思いますよ(^^)
合い間合い間の会話も盛り上がりつつ、次の品が出てくると一転して集中。
新いかは「高校生くらい」とのご主人の説明がありました。
個人的に、今年は新いかにツイていませんでしたねえ。
成体にはない柔らかさの中にも少し歯応えの強さ・・・なるほど、反発するお年頃ということでしょうか(笑)。
あん肝と筋子。
お酒がお好きな方はこのビジュアルだけでお酒が進むのではないでしょうか。
みなさんからお噂を伺って気になっていた1品。
甘く煮てあるのがちょっと珍しいです。
思ったよりわさびを感じなかったのが不思議でした。
筋子は粘りが強くねっとり。
こんな風になるんだ・・・と驚くような食感。
ちなみにお隣でハプニングがありましたが、結局最終的に恥ずかしい思いをしたのは僕でした(苦笑)。
金目鯛の焼き浸し。
焼き物は楽しみにしていたのですけど、想像の斜め上をきました。
斜めではありますが、間違いなく想像の「上」。
まずは香り、品のいいこと。
焼きの香ばしさと、見た目に想像できなかった脂乗り。
甘い脂が塩気のキリリと立った出汁に融け出して、コクのあるスープに。
ここで握りに入るかもう少しツマミを続けるか確認されましたが、握りをお願いしました。
静岡は舞阪の小肌。
しっかりと酢〆めしてありますが、後味の甘みと酸味のベースに脂の味がどっしりあるのを感じることができます。
普段は天草のを使うことが多いそうですので、こういうところのをいただけるのは貴重ですね。
八幡浜の甘鯛。
柔らかくもグリッと歯応えのある食感。
大物を寝かせたけど、張りの強さが残った感じです。
歯応えがあってまろやかな味わいもよかったので、これはツマミでもいただいてみたかったなあ。
こうして見返すと、この日は少し前の台風の影響もあってか初めていただく産地のネタが多くてとても勉強になったなあ。
都寿司さんの握りをいただくときってどこか哀愁を感じるというか、確実に近づいてきている「終わり」を意識してしまうのですよね。
9月末に一旦こちらのお店を閉めて、10月の終わりに名前を変えて再オープンするということで、ここでいただくのは多分この日が最後。
名残惜しくカウンターに触れたりして。
気仙沼の鰹。
藁焼きということだったと思いますが、それとはっきり分かるというよりは香りを整える程度。
すごいビジュアル。
作り物って精度が上がるにつれて自然のものに近付きますけど、自然のものは美しさを極めると作り物のように精巧になりますよね。
昨年は初鰹はよかったものの「戻って」こないという寂しすぎるシーズンでしたが、今年はちゃんと帰ってきました♪
大間の本鮪、これは漬け。
さっぱりさわやかな香りの赤身を軽く漬けにしてあるのかな?
夏らしいとても軽い味わい。
こちらは小トロ。
赤身漬けと印象は近いのですけど、後半に脂が広がるかどうかでガラッと印象が変わります。
今回は小トロの方が好みでした。
さあもう終盤です。
赤身の魚が3つ続きましたが・・・次は?
鯵は佐世保だったかどうか(^_^;)
ちゅるんとろん、血合いがいいですねえ。
脂乗りよりも、このやわい弾力とやわい味が都寿司さんならではかと。
この日は「これはSさんの分!」と追加でもうひと海老いただくつもりでしたが、ちょっとこれは弱い気がしておかわりは回避しました(^_^;)
あくまでも都寿司さん基準なので、頬が緩む美味しさではあるのですけど。
弾力、甘み、肉汁どれをとってもまだ上がありそうな気がしました。
函館の鰤。
漬けにしたという鰤は薄めのカットで2枚、皮目は炙ってあります。
ちょっと繊維質を感じる舌触りは生の鰤とは思えない感じ。
サシが行き渡っているように見えますが、脂はあまり感じません。
でも実際は脂乗りがいいのでしょうか、皮目はパリパリで香ばしく、これだけで塩焼きを鮮明に想起させます。
美味しい!
唐津の赤うに。
このツヤ、煌めき。
濃い、深い、強い甘み。
口の中に散らばるシャリの一粒一粒にうにが絡んでいて、離れ離れになっても心は一つな感じ(?)。
「あとは穴子と玉子でコースはお終いですが、何か追加でお召し上がりになりますか?」
まだ出ていないネタを教えていただきました、この日はあまり迷いませんでした。
「あまり」ね(笑)。
真鯛は甘鯛に続き八幡浜。
こちらも弾力・・・と見せかけてフェイク。
ねっとり融けるイカにも近いような、口どけ。
甘い脂がたっぷり濃厚なのですよね。
心なしか肉厚に感じられてそれもよかったです。
金目鯛は銚子。
やっぱりこれも・・・♪
こちらの金目の炙りは苦みが出るほどに香ばしく仕上げます。
鼻先にスッと辛子の香り、これは身の味も炙りの薫香も邪魔しません。
さあ、ついに〆に入ります。
ふうっとため息をついて、お茶をごくり。
ふわふわで舌に触る小骨と身の繊維が心地よいです。
塩かツメか選べるので、塩で。
甘みのある身、甘みがより引き立ちます。
続いてお椀。
ここまでくると、開けるのさえ寂しいです。
鶴は1000年。
長く生きるとはいえ999歳の鶴は終わりを迎えますからね。
何事にも終わりはあるということで。
あさりは愛知だそうです。
いちいち産地を聞いていたので、ここはご主人が先回りして教えてくださいました(笑)。
あさりの出汁と味噌が6:4か、もうちょっとあさりが勝っているくらい。
あさりのお吸い物に味噌で風味付けしたような。
玉子はデザート。
都寿司さんでいただくのは間違いなくこれで最後でしょうね。
僕は2度しかいただく機会はありませんでしたが、事前にみなさんからこの上ない評判を聞き続けていながら、それでなお身震いする感動を2度ともに経験することができました。
次店舗も期待値は高まるばかりですが、それもなお超えてくるのかもしれません。
いや、超えてくるのでしょうね。
そして、前回に続き今回もお誘いいただいたまいたーんさん。
この御恩、卵を何パック献上すればお返しできるのでしょう(´・ω・`)
本当にありがとうございました。
そろそろ自分で予約する努力もしなければなあ。