この日の夜は新富町の鮨はしもとさんへ。
10月4日以来なので2か月近く空いたことになります。
暖簾が変わりました。
白地に藍の涼し気なものから冬場は暖色系に。
味がありますね。
なぜかここのところ連続で入って左手の席に当たっています。
こちら側は握りが出る順は後半組なのですけど、ご主人の手元を見やすいので個人的当たり席だと思っています。
もちろんご希望があれば変わりますので仰ってください(^_^;)
毎回の楽しみのひとつ、お湯呑。
飲み切らなくてもマメに熱々のものに替えてくださるのですけど、ファッションショーのように次々と出てくる湯呑みが多彩なのですよ。
それもゴツゴツした好みのタイプのが多いのはご主人の修行元である都寿司(現・すぎ田)さんと共通。
まず先付のきぬかつぎ。
石川小芋さんでしょうか。
皮の側から指で摘まんですぼめて押し出すようにすると、スルリとお芋が飛び出してきます。
ひとつは上手くいきましたが、もうひとつは皮がくっついていたので失敗して普通に剥きました(^_^;)
塩気がお芋の甘みを引き出す他、胡麻の香ばしさも意外性があって面白かったです。
これはもしや・・・?
「肝醤油です!」
きました!出ました!カワハギの肝醤油!
みんな大好き、大はしゃぎです。
ということでまずはカワハギ。
大抵スタートの白身は2枚で出てきますが、こちらは魚種によるのか3枚付け。
表面積が格段に増えるので、肝醤油をより絡めることができてありがたいです。
こうして・・・いただくとっと・・・
緩めにトロリと滑らかクリーミーな肝醤油がむしろ主役、身の食感はアクセント、じわじわ滲み出る旨みで味の変化を楽しみます。
続いてすみいか。
結構熟成系でネットリして甘みと旨みが出ているいかでしたが、これも肝醤油でいただいたので何といってもその美味しさが( ̄▽ ̄)
ここで泣く泣く肝醤油の小皿とお別れして塩とわさびが出されます。
ちびっと味見すると、わさびがまた甘くて美味しいなあ。
ほたて。
北海道の天然ほたては繊維質がしっかり感じさせながらほぐれます。
塩で甘みを、わさびで旨みを引き出しつついただきます。
香箱蟹はたっぷりのほぐし身に卵を和えてあります。
一見シンプルな1品なのですけど。
卵が全体に回っているというだけで、常にぷちぷち食感が入って凄まじく美味しいのです。
これは目から鱗でした。
メカジキのローストスモークと牡蠣の味噌漬け。
手の込んだ系の盛り合わせ、これは説明を聞いただけでテンションがうなぎ上りです。
牡蠣の味噌漬けはネトッと、チーズとか豆腐の味噌漬けに近いような発酵食っぽい融け方をします。
で、味噌の味がしっかり浸み渡りつつ牡蠣の香りがガツンと効いています。
酒蒸しした牡蠣を1週間ほど漬けていると仰っていたような。
中の緑のプランクトン(?)の部分が小さかったように思いますが、切る箇所のもんだいでしょうか。
メカジキのローストスモーク。
以前他の方の記事で拝見して以来恋い焦がれた1品です。
チャーシューの作り方なのだとか。
見た目も言われなかったら間違えてしまいそう。
食べてみても、やっぱりチャーシューの味もします(笑)。
ちょっと魚の味と、薫香が鼻を抜けて、もっと食べないと混乱する味でした。
これも準定番くらいの頻度で登場する茶わん蒸し。
毎回季節のものを使っていて楽しみですが、今回は白子の茶わん蒸しだそう。
ふるふるの茶わん蒸しの中にあっては、白子はどちらかというと食感が強い食材に感じられます。
上にポン酢がかかっていて白子ポン酢風にいただきますが、これは正直茶わん蒸しには合わないかな(^_^;)
ここでお茶を替えていただきます。
寸胴な感じがいいですねえ、たまらんですねえ。
焼き物はエボ鯛。
今のところ4度の訪問のうち3回がエボ鯛でした。
ご主人の好みの魚なのでしょうか。
とはいっても結構変化もある気がします。
今回は塩気がキツすぎず、いつにも増してふっくらしていたかと。
カリッと焼けた皮目もよかったです。
ガリが登場。
いよいよ握りに入ります。
まずは小肌でスタート。
肉厚な身から高貴な酢〆の香りと、酸味の裏に味わいのしっかりした脂。
ほろりとほぐれるシャリも噛むたび旨みが追いかけてきます。
鹿児島・出水の春子鯛。
昆布締めにして水分の抜けた身はふよふよとやわらかな口当たり。
昆布の旨みが鯛の旨みの中に上手く紛れて、より強い旨みに感じさせます。
藁で燻した鰆。
印象にしっかり残る藁の香りと、脂の甘みとそれに負けないこの魚独特の旨み。
どの要素も強く、それぞれがバランスよく主張します。
鯖は宮城。
あまり聞いたことのない産地かと思いましたが「金華さば」なんかはそっちの方なのですね。
こちらの光物らしくしっかり〆てありますが、脂がしっかり残ります。
ここで湯呑みが替わります。
あら、珍しく1杯目と同じかな?
中トロ。
小トロが出ることが多いイメージでしたが、しっかり脂が乗っていたので伺ったらこれは中トロだったようです。
こうして写真でよく見るとかなり密にサシが走っていたのですねえ。
くどさは全くなかったですし、とても質の良い脂だったと思います。
はまぐり。
仕上げのツメがない理由は「ツメを塗ったらツメの味になっちゃう」というシンプルなもの。
はまぐりをゆがいた出汁を漬け汁に使って旨みを上乗せしているのだそう。
余談ですが、はまぐりって寿司店では「煮はま」と一般的に呼ばれますが、実際は「煮る」ではなく「漬け込む」仕事をするネタなのだそうです。
車海老。
レギュラーネタですが、今回がこれまでの中で頭ひとつ抜けてよかったように思います。
透明感のある食感。
一辺に全員分は茹でることができないようで4人前ずつ出てくるのですけど、聞いた話を勘案すると今回は第1群と第2群で違いがあったよう。
最後にご一緒いただいた方の記事のリンクを貼るので、参加者のみなさんは誰の記事を見比べればいいかお分かりかと思いますが、そうでない方はどれがどうか想像しながらご覧ください(^^)
佐島の鰤だったかな?漬けです。
今回は部位もよかったのか後に残るまでしっかり脂の乗ったものでした。
炙った皮目も香ばしく、この薄いカットだとシャリとの馴染みも数段良くなりますねえ。
ウニ。
これと穴子でコースは終了ですが、やはり今回も追加を。
湯呑みは・・・形は煮ていますが紋様は異なったものですね。
よかったよかった(?)。
赤身漬け。
この日はタイミングよく赤身が2種類あるとのことでしたが、より味の深そうなこちらを。
思ったよりはあっさりした味わいでしたが、この1枚の中に様々な要素を含んだマグロでした。
鰹にも近いような感じかな。
柵の状態のときなんかほぼローストビーフに見えましたよ(笑)。
白アマダイ。
ご主人大絶賛のモノの良さ。
熟成を楽しみにする語り口からご主人のネタへの期待がはっきりと感じられたほど。
どこに触れても脂が融け出してくるような脂の孕み方で、噛んでいるといつまでも色んなところから脂が滲み出してきました。
いわゆるグジと呼ばれる赤アマダイとは違って甘みは控えめで旨み推しの脂だったように思います。
ご主人はもう4,5日は熟成させたそうでした。
穴子で握りはお終い。
今回も皮目が上側、見た目はいまいちになりますが、とろんと舌触りが良くなります。
今回はツメなしで。
穴子の「白身」の旨みをより明らかに感じることができます。
1回目と2回目の訪問時は「模索中」という感じの振れ幅でしたが、次第に固まってきたように思います。
バランスの取れた穏やかな味。
デザートの玉子。
今回は一部半生っぽいところの残る仕上がり。
そうなると本当にデザートのようですよ。
ただ今回は海老の味も結構はっきりしたように思います。
今回は1回目の感動をちょっと超えるくらいよかった気がします。
ツマミから握りまで、ハイライトをちょっと選ぶことができないくらい光るところの多いコースでした。
大満足でごちそうさまでした。
どんどん人気が出て早くも予約が困難になってまいりましたが、また次回もよろしくお願いします。
この日ご主人とハイレベルなやり取りを繰り広げていらっしゃったつきじろうさんの記事はこちら。
綿密に記事に反映されているのはもちろんのこと、今後ご自身の手料理にも活かされるのでしょうねえ。
そしてこの日コース外に用意されているネタを一通り聞いて、一通り召し上がったそうさんの記事はこちら。
僕はお寿司屋さんに行くときは「悔いの残らない食い」をできるように頭フル回転で挑みますが、これが出来れば悩み解決ですね( ̄▽ ̄)