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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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新富町の「鮨はしもと」でおまかせコース⑤。

この日の夜は新富町の鮨はしもとさんへ。
初訪問時以来久しぶりに1人で予約を取ってみました。


時間になって暖簾が掛けられます。

暖簾の色は来るたび違うようにも思いますが季節ごとなのでしょうか。
今回は紺。


オープンから1年以上が経ちましたが、まるで昨日オープンしたかのように清潔感の保たれた白木のカウンター。
逆に「味」がいつ出てくるのか心配になるほどです。


お茶が用意されて、お料理のスタートです。


菜の花のおひたし
香りがいいですねえ、出汁と青菜と。


季節の素材をシンプルな調理で。
お寿司を食べにきたな!ひいては日本を味わいにきたな!という充実感をくすぐられます。
このちょっと物足りない量が俄然食べ手の意欲をくすぐるのですよね。


澄んだ赤の醤油、うっすらと紅の差した塩、味わいを表したようにやわらかな印象の薄緑色をしたわさび。
これらが揃ったらツマミスタートの合図です。


青森のひらめ、塩か醤油で。
口に入れてから味が出始めるまでの滞空時間が長いので、その間をどう過ごすかが塩と醤油にかかっています。

個人的には塩だと少し強すぎて、ようやく味が出るころに舌が塩に負けている感じ。
醤油だとなだらかな曲線を描くように味、香りがつながって足し算以上の余韻が残るように思いました。

エンガワは脂がとてもいい味で、1番分かりやすくひらめを味わえました。


北寄貝。
貝の火入れはやっぱり抜群の仕上がり。
この裏のワタの付いていた面のほろろな食感がたまらないのですよ。

これはちょっと塩、ちょっとわさび辺りがいいかと思っていましたが、醤油もなかなか。


蝦夷鮑の肝ソース。
はしもとさんは肝ソース系が結構レギュラーに近い頻度で出る気がしますねえ。

そしてレギュラーの座に着いているだけあって、結構な率でホームランを放つのですよ。
・・・と頭は完全に肝ソースに意識が行っていたのですけど、


鮑が美味い!すごく良い食感!
例えるならトリッパ、とろみと歯応えのバラエティに富んだ幅のある食感が口の中でお祭り騒ぎです。
そして貝の中では気品のある磯の香り、海のトリッパですねえ。

もちろん肝ソースは存在感のある苦みを轟かせます。
酸いも甘いも全てを見てきたような深い味。

絶品の鮑で絶品のソースを拭い取るように綺麗さっぱり・・・いやいやグッと堪えまして、


一旦下げた残りのソースの上に、シャリとスミイカを乗せて再登場。
店内歓声が上がります。


ソースとシャリだけだと味が強くなってしまいそうなところへ、スミイカが入るとマイルドになっていいですねえ。
この辺りはご主人のセンスが光りますね。
イカしてます、スミに置けませんね、イカしてるなあ。


あん肝、たくあん、干し柿
都寿司さんでも出される甘く炊いたあん肝、そのアレンジで刻んだたくあんと干し柿を合わせて和えてあります。

これはデザートですね。
香り、甘み、旨み、爆発的に美味しかったです。
コースの1番最後にご主人に頼んでおかわりしているお客さんもいらっしゃいましたよ。


子持ちやりいか。
わりとしっかりめに弾力を感じます。

卵のぷちぷちと胡麻のぷちぷち。
ツメが甘いのは好みが分かれるかもしれません。
僕はもう少し甘くない方がいいかな。


焼き物は太刀魚。
太刀魚は焼いたときの脂の香りが抜群ですよね。
もうロースターに入っているときからそれと分かってメロメロでした。


強めの塩気ですが、その角が気にならない脂乗り。

「うちは全体に味は濃いめなんですよ、その方がみなさんお酒も進みますし」と話すご主人の目には商売っ気も冗談の色もなく、至って真面目。
美味しいものを食べて美味しいお酒を飲んで、そこに懸けるご主人の純粋無垢な表情が印象的でした。


ガリは握り開始の合図。
ガリガリ食べるからガリ。握って作るから握り、江戸っ子の発想って分かりやすいですね(笑)。


天草の小肌。
スタートはいつものここから。

2日目というこちら、小振りだったそうですが結構脂を感じます。
旨みしっかり。


出水の春子鯛昆布締め。
やっぱり塩がしっかりしてあるのですけど、その角が立たない旨みの深さ。
絶妙な仕事です。

そして小さな魚でこの厚みのある食感もまた素晴らしいですね。


この日はいいまぐろを入れて「しまった」という表現をするほどいいヤツだったようです。
ちょっと珍しい下田で上がった大物339kg。

酸味を漂わせながらも旨みに沈んでいく味わい。
そして最後するりと融けます。
これはすごくいい!運としか言いようがありませんが、いい日に予約しました。


外房の鰆、お店定番の藁で燻した鰆です。
ちゅるりと艶めかしい舌触りの身にざらりと香ばしい皮目、口に残るミルキーな脂。
非の打ち所がない1貫です。


この日はお茶の交換が少なめだったように思いますけど、たまたまでしょうか?
いつもは多すぎるくらいなのですけど、この日はちょっと口寂しいタイミングもありました。


赤貝。
海藻の味が濃く感じられましたけど、海藻を食べるんでしたっけ?


いつもは「背トロ」という脂の穏やかな部位を使われるのですけど「よかったので思わず買ってしまった」という腹身。
5日目くらいと仰っていたかと。


熟成を感じますね。
脂がよく馴染んでいますが、決してだれることのないしっかりとした食感。
「脂が乗っていればいい」という感想にはしたくないのですけど、何コレ脂チョー味濃い!

はしもとさんらしさには欠けるのですけど、やっぱり美味しいまぐろは美味しいなあと痛感しました。


鯵は淡路島なのだそう。
産地は変わっても網にはこだわっているようです。
脂が控えめだからこそ感じられる旨み。


車海老。
この日はやや火入れが浅め、これはこれで美味しいですね。


函館のムラサキウニ
これは正直それほどよくなかった気が(^^;)
まぐろがよかった分をここで調整ということで。


ここでコースは残すところ穴子と玉子のみ。
というわけで追加を確認されまして・・・、


銚子の鯖。
見た目の印象よりは浅い〆で、とろんとした舌触り。
鯖のシャープな香りがシャリと絶妙にマッチ。
なんかかっこいい味。

印象に残ったネタをリピート・・・もちろんお願いするのは、


赤身!興奮、躍動感が伝わるように若干手ブレ気味に撮影しています(嘘)。
この日のまぐろは本当によかったのですよ。
味、食感がどちらも秀でて力強い。


赤身とはいえ密に脂が行き渡っていて、融ける、融けた脂に味が乗って広がる、香りになって抜けてよすがが残る。

欲を言えば、はしもとさん独特の薄く広い切り立てでなく、もう少し厚みがあるのもいただいてみたかったかな。

毎日1貫食べたいまぐろでした。


トロもお願いしたところ「さっきと少し違う部位を」とのことで、はがし。
蛇腹の筋を避けて切り立てたものだそう。


想像よりはゆっくり融け出す脂の、味の濃いこと。
甘みはもちろん、まぐろの香りを存分に抱え込んだ脂なのです。

本音か謙遜か分かりませんでしたが、
「どんなにいい仕事をしても、いいまぐろには敵いません」
と笑ったご主人。
そんなことないですよ!と応じたかったのですけど、まぐろ2貫をおかわりした手前・・・(^^;)
色々試してご主人の進む道を模索していただきたいですね。

追加はここまでにして、コースの残りを。


脂や水分が少なそうに見えるのですけど、とろりととろけます。
「ほどける」という感覚もありますが基本的には「とろける」感覚。


しじみのお椀。
初めていただいたときよりはしっかり味が入るようになったように思います。

ちょっと乳系の甘さを感じるお出汁です。


最後に玉子。
カシュッと素朴に乾いた焼き目とスッと軽いスフレ。

久しぶりに1人で訪問してみて感じたのは、初訪問のときに比べてご主人のペース・空気が確立されているなあということ。
8人貸し切りのときはご主人も引いて構えてくださっていたのだと思うのですけど、今回は結構ご主人の頭の中、腹の内を感じながらいただくことができたように思います。

やっぱり魅力は増すばかりだなあ。
予約が取れなくなってきたのが辛いところですが、それも当然としか言えない極上のお店です。
また絶対伺います!

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