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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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清澄白河の「il tram」で2月のコース。

2月26日、月末近くなりましたが滑り込みでil tramさんへ、
 
今月はダメ元で意外な方をお誘いしてみたところ、願ったり叶ったりでご一緒いただけることに。
たびたび記事にも書いていますが、il tramさんは初訪問の方をお連れするのが楽しみのひとつなのですよ。
 
初めてのお客さんはまずお店の小ささに、それでいて狭苦しさがなくシックでセンスあふれる店内に驚かれることが多いのですよね。
 
この日もご多分に洩れず。
 
焦がし玉葱のズッパ 半熟卵 ペコリーノ・ロマーノ。
「新玉ねぎの瑞々しさをまったく活かさずに仕上げました!」とのことでした。
 
「半熟卵」とありますが、「温泉卵」の間違いなんじゃないかと思うのは毎月の恒例。
 
飴色玉ねぎの甘みが濃厚、旨みは控えめで残る風味が軽くさっぱりしているのは新玉ねぎらしさなのかも。
今月もどんどん進む、いくらでも食べられそうなズッパです。
 
おん・・・半熟卵を割って、変化を付けて後半戦。
 
先月の"インカのめざめのズッパ"では温玉のコクが効果てきめんで、ばっちりハマって感じられたのですけど、
今月はやっぱり"焦がし玉葱のズッパ"で完成されていたな、という印象。
 
ともあれ、毎度毎度素晴らしいスタートです。
 
フォカッチャ。
先月から仕入れを替えたという、イタリア産の小麦粉100%使用。
 
素朴で香ばしさが立つようになりました。
フルーティーなソースに合うかも。
 
ブッラータ トマトとバジル エディブルフラワー。
いつもなら壺メニューのこちらの1品は、この日デビューの新しい器で出していただけました。
 
ガラッと印象が変わります。
 
印象が違うのは器のせいだけではないそうで。
 
本来はこれよりふた回り大きなブッラータを、半個で1人前にして出しているそうですが、
この日は仕入先のミスで小さなサイズのものが来てしまったため、半分にするわけにいかずそのままの提供になったそう。
 
というわけで、いつもより食べ応えがあります。
 
ソースはトマトソース、と見せかけてトマトとバジルのソースとのこと。
フルーティーなトマトの甘みと、一体感バツグンのバジルの香り。
 
チーズのクリームと、ソース、それぞれだけでも完成されていながら、合わせると芸術的に噛み合います。
 
牡蠣のプレコット 発酵バターとコラトゥーラ。
宮城県産の牡蠣だそう。
 
昨シーズンは何度かいただいた記憶がありますが、ちょっと久しぶりになりますね。
 
バターが焦げない程度の低温でじっくりコンフィのように火を入れるそう。
生牡蠣のようにちゅるるんとなまめかしく唇をかすめる食感、それでいて火入れによって生牡蠣よりも強い磯の風味を引き出してあります。、
 
発酵バターも普通に火を入れて臭くなっている、使い方を間違えたお店も多いのですが、
香りよりコクが勝っているような深い味わいのあるソースとしてその魅力が存分に発揮されていました。
 
すごく美味しかったです。
バターにフォカッチャを漬け込むようにして、牡蠣の香りの移ったオイルを堪能しました。
 
真鯛のヴァポーレ 原木椎茸 ニョッキ 香草風味。
 
「しばらく平目が続いていたんですけど、今日から真鯛に戻ってしまって先月と同じでごめんなさい・・・」
とシェフに申し訳なさそうにされたので、
「いえいえ!美味しいですから!まだマダイけます!」
とドヤ顔で返しましたが、気付いてもらえなかったのか気付いたけど敢えてなのか、そのまま料理の説明に。
 
先月はなかった京都の大黒シメジ。
今月はまた特にキノコ然とした香りが勝ち誇るかのように漂っていました。
 
香りを探っていくとほのかに春菊も。
 
真鯛もよく脂の乗ったもので、こちらもさすがによく香ります。
白身の味自体は、淡泊で強い旨み。
 
ソースは確か"オレンジの白菜"とおっしゃっていたと思います。
香りの主張のはっきりした食材が入れ込んであったのでやや押され気味ではありましたが、特有の甘みもちゃんと感じられましたよ。
 
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ・ピカンテを添えて。
今月は定番のベルギー産チコリ。
 
ランチタイムですが、ディナーコースでお願いするのはこのチコリをいただけるからというのも大きいのですよ。
 
今回は先端付近がビターにキャラメリゼ風。
対照的に全体としてはフレッシュに瑞々しい仕上がりだったかと思います。
 
ゴルゴンゾーラのコンディションがややドライでイマイチだったのがもったいなく感じられましたが、
瑞々しいチコリと合わせればあまり気にせずいただけました。
 
パスタ・エ・ファジョーリ ボッタルガ パッパルデッレ。
ソースはズッパ同様、バターや生クリームを使わずに仕上げたという白インゲン豆のソース。
幅広パスタとカラスミを合わせます。
 
パッパルデッレはコシがなくなるまで火が入っていて、ちゅるんと軽めの食感。
でもちゃんと小麦の味があって、噛んでいると甘みが出ます。
 
たっぷりかかったカラスミが、全体にまろやかな印象なところへやんちゃなアクセント。
 
お豆のソースは、乳脂でなく濃厚にしてあるので、舌の上をホクホクと重みがありながらサラサラと流れる軽さ。
じゃがいもにも近いかもしれませんが、そこからでんぷん質のねっとりした感じを引き算した感じで、
甘みも少なく淡泊、お豆の香りがさわやかなのですよね。
 
いつもいつも美味しいソースなのは間違いありませんが、今回のは特に気に入ってしまいました。
またいただけるチャンスがあるといいな♪
 
ブルガリア産鴨のロースト 椎茸のソース 蓮根チップス。
 
il tramさんらしいシックな色合いでセンス抜群なメインの1皿の登場に、高揚感と寂寥感と。
 
月初めに発表されたメニューでは"サルシッチャ"となっていましたが、2週目くらいから鴨に変更したそう。
 
なんでも「毎日肉を焼いていないと手応えがなかった」のだとか。
厚めでハードな仕上がりの蓮根チップスに隠れたメインのご紹介はもう少し後に回しまして、まずはソース・・・
 
椎茸のピュレ。
il tramさんではキノコの登場頻度はかなり高いのですけど、椎茸が主役のソースというのは初めてだったかも。
 
恐らくポルチーニなんかの"いかにも"な香りも補填されていて、想像したよりずっと食べやすいソースでした。
椎茸にしては押しのやさしい香りでしたね。
 
メインの鴨はこちら。
深みのあるロゼ色、胸肉ということでしたがそれにしても未だかつてないくらい引き締まった筋肉質な食感です。
 
力いっぱい噛みしめるとギュギュギューッと絞り出したように肉汁が溢れ出して、またその味の濃いこと。
味というか旨みというか、野趣あふれる雄々しいインパクトを放つ鴨でした。
 
ソースに関しては正直、最初に味見で食べた以降は鴨の肉汁に霞んでしまったと言ってもいいくらい。
 
鴨というと結構脂が強くて、料理全体を覆うような印象の残り方をするイメージでしたが、
この鴨はご覧の通り脂がしっかり付いているものの、食べた感じはまったく残らないスーッと消える軽さでした。
 
脂が濃くないものの、やっぱり味が相当強いので塩もしっかりめになっていたかも。
でも嫌な気になり方はせず、無心でワシワシ噛みしめていただいてしまいました。
 
エストラゴンも鮮烈な香り、これくらいでないと鴨の前に爪痕ひとつ残すことができなさそうなくらいでしたからね。
 
今月も全料理に光るところ満載で、幸せな時間を過ごすことができました。
いつも通り穏やかで優しいところがたくさんありましたが、今月はパワーを感じるエネルギッシュなポイントが目立っていたように思います。
 
また次月は既にお相手が決まっているので、そちらも今から楽しみです!
ごちそうさまでした♪

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