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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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表参道の「ラチュレ」で季節のおまかせランチコース(鹿の血のマカロン、鹿のサラミと松の実のケイクサレ、鹿・猪・熊のテリーヌ、鰆のポワレ、牛ホホ肉の赤ワイン煮込み他)。

渋谷にあったdecoのシェフが独立されたということでずっと気になっていたお店へ。
 
場所は渋谷と表参道の間、青学の脇の通り沿いの地下。
 
ランチは2000円強のカジュアルなコースもありますが、シェフの真骨頂であるジビエの一端を垣間見ることができるのは4800円のコースから。
シェフ自ら獲った獣肉を使われる、正真正銘ジビエにこだわったお店です。
 
ラチュレ。
オープンは16年8月。
 
階段を降りるとすっかりシックで大人っぽい雰囲気に。
少し重い扉を開いて店内へ。
 
カウンター内の厨房はすべて丸見えなので見応えがあります。
 
やっぱりここはジビエをいただきたいので4800円のコースでお願いしました。
 
まずは鹿の血を使ったマカロン。
 
マカロン生地は卵白の代わりに鹿の血を使用。
 
「卵白の代わりに鹿の血」ってピンときませんでしたが、何でも泡立てるのに重要なアルギニン酸が共通しているため代用できるのだとか。
 
中のクリームは鹿の血のブーダンノワール。
 
容器に敷いてあるのは鹿の毛。
鹿しか使っていないとまでは言わないものの、鹿の尽くしか!と言いたくなりますね。
 
マカロンは甘みがあって、野趣あふれるたくましい旨みと相性良し。
 
続いて、鹿のサラミと松の実のケークサレ。
 
まず見た目が楽しい、続く説明が楽しい、口に入れるまでの盛り上がりに抜かりなし。
 
サラミと松の実を混ぜ込んだ塩味のケイク生地で栗の蜂蜜のクリームチーズをサンド。
 
それぞれひと口ながら主張のある味わいなのがいいですね。
 
 
「松の実なので松ぼっくりです」
とのことでした。
 
このタイミングでパン。
 
隣の小鳥さんの尾がバターナイフになっています。
 
鹿、猪、熊のテリーヌ。
 
フォアグラも入ってマイルドになっているとはいえ、赤身が詰まってギシギシした食感にこれまた旨みの強さが魅惑的。

さらに驚いたのが、ジビエの骨を使ったというコンソメのゼリー。
 
テリーヌ全体を食ってしまう"出汁深さ"でした。
 
添えてあるのはほおずき、長芋のピクルス、プルーン赤ワイン煮。
 
細部の隅々にまでこだわっていらっしゃって、説明を聞くのも味わうのも気が抜けません!
一旦シンプルなサラダで気を落ち着けましょう……
 
と思いきや、これはこれで"たんぽぽ"のサラダなのだそう。
ここでも気が抜けません。
 
たんぽぽは結構しっかり苦味があって、らしい味わい。
 
マカロン、テリーヌあたりは予習してネットで見ていましたが、味にメリハリがあってとても楽しめました。
 
ネタに走らずお料理として完成された仕上がりだったと思います。
 
魚料理は鰆のポワレ。
フランス産ムール貝とサフランのソース、添えてあるのはチンゲン菜だったと思います。
 
チンゲン菜というと貝類と合うイメージがありますよねえ。
 
皮目はかなりしっかり火が入っているように見えましたが、中は驚くほどにレア。
ここは日本人の好みにハマりそうなイメージです。
 
僕はこれすごく好きですねえ。
 
貝の旨みとサフランの爽やかな香り、緑のは浅葱のように見えましたが未確認です。
 
ジビエにばかり興味がいっていましたが、魚の火入れやソースがかなり好みのものでした。
 
続いて肉料理を前に登場したナイフ、これがかなーりズッシリくる重み。
 
写真ではよく見えないかもしれませんが、刃の付け根近くに「LATURE」のロゴが入っています。
 
牛ホホ肉の赤ワイン煮込み。
3時間かけて煮込んであるそう。
 
負荷がかからないようにじっくり火を入れたようで、中に驚くほど脂が残っています。
かと思うとナイフにくっついてお皿が持ち上がってしまうくらいソースも濃厚、こちらにも脂が相当浸み渡っていそう。
 
ナイフの切れ味を試したかったのですけど、ナイフが要らないくらいに柔らかくほぐれる仕上がり。
 
ねっとり糸を引くようなコラーゲン質は、マグロカマにありそうな食感、味わいも少し近いものを感じました。
 
ボリューム的にはほどほどでしたが、重さを感じる1皿でした。
 
デザートは洋梨のグラタン。
周りは和栗のペーストに京都の白味噌のソルベ。
 
季節感と少し意外性、デザートまで一貫していらっしゃいますね。
 
ローストした洋梨にクレームパティシエールを乗せてもうひと焼き。
 
焼いたことで甘みが抜けた洋梨は、特有の香りは残しつつ酸味を感じさせる新しい風味。
そこへクリームでまた別の方向性の甘みを添加してあります。
 
洋梨が中心に見えて、どちらかというと乳酸系の味わいにまとまるのが面白いです。
 
和栗のペーストと白味噌のソルベ。
 
白味噌のソルベはしっかり塩気が効いていて鮮烈な存在感を放っていました。
ソルベとそれ以外が対立構造になっているといっても過言ではないほど。
 
食後のドリンクは選択肢なくコーヒーが出てきて、写真はお茶菓子のフィナンシェ。
こちらはバターの代わりに雉(キジ)の脂を使っているそう。
 
バターと違うのは感じましたが、何も言われなかったら鶏系とは到底思い至らなかったと思います。
 
どのお皿にも言えることですが、驚きがありつつ突飛すぎるわけでもない。
食材の良さを出して美味しさをまっすぐに追求した料理の数々でした。
 
スタッフみなさんがユーティリティープレイヤーといいますか、縦横無尽、オールマイティーに動き回っていらっしゃって、見ているだけでも楽しい時間を過ごせそうでした。
 
お店のHPを見ると2018年から値上げすると書いてありますが、それでもまだまだ安いですね。
また伺いたいと思います。

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