3月2日(土)、春の魚が出始めた高はしさんへ。
席に着いたら選択肢の用意されていたメインのお魚を決定します。
昨年10月のオープン以来、おまかせコース1本でやってきているわけですが、少しずつ形式に変化も出始めていますね。
べったら漬け。
物販エリアの吉岡屋さんの商品なのだそうです。
皮付きでバリボリ強い歯応え。
後半まで口直し用にペースを守っていただきます。
やりいか煮。
子持ちで、ゲソも詰めてありますね。
ぱっつぱつに締まった身と、ぷちぷち小気味良い食感の卵。
究極の肉じゃが。
新じゃがと新人参を素揚げして使っているそう。
味付けはオーソドックスなしっかり醤油系なので、新物野菜の淡い香りは飛んでいるかも。
素揚げもしてしまっていますしね。
じゃがいも、人参は素揚げしてから炊いているので煮崩れ気味。
対して、後乗せのグリーンピースは唯一気を吐きます。
牛肉は脂が抜けてギュッと締まった食感。
新じゃが、新人参を使った割には、こってりした味付けで、油っぽい仕上がりになっていたのが意外でしたねえ。
平目刺身と昆布締め。
カウンターの向こうから「奥が昆布締め、手前が刺身」と説明されていたのですけど、"向こうから見て"ということだったようで、こちらから見ると逆でした。
昆布締めは塩気がしっかり付けてあって、旨みは香りに近い風合いに感じますね。
続いて、この順でいただいてしまうと、刺身の方は随分淡白に感じるというか、旨みがほぼ感じられなかったように思います。
説明が逆だったのもそうなのですけど、食べる順を考えて、客から見て手前に刺身、奥に昆布締めにするべきだったのではないかなあという気がいたしました。
個人的な感想なのですけど。
念のため補足しておくと、後から確認したら他のみなさんも違和感を感じていらっしゃったそうなので、僕のだけ間違って出されたわけではなさそうでした。
本まぐろ(中坊)、赤貝。
続いてもお刺身。
まだこのバラバラに出されるシステムは法則性をよく理解できていないのですが、何か事情があるのですかねえ。
閖上の赤貝。
やや薄手かと思いましたが、ぷりっと弾けます。
香りはさわやかですね。
「中坊」というのは大きさによって区別する本まぐろの呼び名で、20キロ以下のメジは有名ですが、その次の20~30キロに当たるサイズのことです。
3代目は「脂が薄い」とおっしゃっていましたが、ベストよりやや薄いという程度。
ざらつきながらも舌にまとわりつく濃密な食感と、はっきりした旨みが感じられて、良いマグロでした。
赤貝の肝。
物足りないほどにクセがなくて、あっという間に食べ終えてしまいました。
貝の肝というより、魚の肝なんかにイメージは近かったかも。
この日のメインは桜ます塩焼き。
500円プラスでカマの部位にしていただいています。
築地時代に比べたら随分火入れが浅くなったように見受けられます。
身の鮮やかな桜色がよく映えていいですね。
焼き固められた表面を割ると、むわっと立ち上る湯気が完全に桜ます。
ホクホクしつつ爽やかな水っぽさと、案外しっかり乗った脂がほどよいバランスで、「桜ますを食べているなあ」と感じられる味わいです。
春の香りだな。
お椀は平目の魚汁。
高はしさんのお椀は比較的塩気が強め。
ギラギラした塩気で、旨みを底上げするような感じで、合わせ技な魅力になっています。
あまおうの和風コンポート。
出汁や日本酒を使って炊いているそうです。
というわけで、今回も色々いただけました。
この翌週くらいから予約が埋まりにくくなったりして、大きくメニュー構成を見直されたりしているようですね。
次に伺うときにどうなっているか、今から楽しみでもあります。