ランチは浅草のフレンチへ。
学生時代に1度伺っているお店なのですが、実に5年ぶりの再訪となってしまいました。
HOMMAGE(オマージュ)。
前回伺った際はミシュランの1つ星を獲得していたと思いますが、ミシュランガイド2018で2つ星に昇格されています。
すぐ裏手にカジュアル業態の「NOURA(ノウラ)」もオープンされて、ノリに乗っていらっしゃいますね。
ちなみに「オマージュノウラ」という意味のようです。
席に着くといきなり幻想的。
飾り皿とも言われるこのお皿は、最初に下げて使わないお店もありますが、こちらはどうなることやら。
まず、この日特別に仕入れのあった「厚岸のバフンウニ」をコース外で追加できるということで、どうするか確認されました。
ニッコニコで「いいウニが入りました」説明されたので、ニッコニコで注文。
ノンアルコールカクテルがあるということでお願いしたら、この日はゆずソーダ。
比較的甘さがあったので、食事前にいただく形にして正解でした。
ここからいきなり怒涛のアミューズ・ブーシュ。
蓋の上と、箱の中に1品ずつ。
ビーツとお米のチップの上に、ビーツとケッパーのタルタル、燻製クリーム。
タルタルは酸味と塩気が立つのを、ライスチップスが吸い取って、残るのは燻製の香り。
やはりライスチップスのしゅくっと萎む食感が印象的。
竹炭タルトの上にベルガモットでマリネした鰆。
ベルガモットの甘い香り。
爽やかさと魚の旨み、さらにパリッと乾いたタルトの食感で、"真逆"ではないもののビーツとは対比を感じます。
お米のチップの下、箱の底には米粒が敷き詰められる演出。
油断すると見落としますが、日本的なものを配する芸の細かさですね。
続いてはこの並び。
独特な置き方ですけど、どちらから食べても大丈夫なように配置されているようにも感じますね。
コンテのグジェール。
プチシューの中にコンテのクリーム。
クリーム状になったコンテは、どストレートな味わい。
上に乗ったコンテの一片も、あえてだと思いますが、常温に戻されていてシューとの一体感や良し。
シソのサブレでレバーペーストをサンド。
レバーペーストは独特の香りがなくて物足りなささえ感じますが、とにかくクリーミー。
上からセロリの泡、栗のムース、根セロリのムース。
まずセロリの泡がとてもセロリセロリしていて圧倒されます。
ムースにいくと、栗は甘く、根セロリは塩気。
香りも味の起伏も印象的でとても好きでした。
もっと食べたくなりますが、このボリュームにギュッと詰め込んだ感じが、コース料理の中でもアミューズの白眉。
ここからガス入りのお水をいただきます。
シンプルなグラスがまたいいですねえ。
こちらが追加したウニ。
名産地・厚岸のバフンウニにシャンパンとミネラルウォーターのジュレ、牡蠣のムース。
まず牡蠣のムース。
想像以上にスッキリしつつも、濃厚な牡蠣の風味に「これでは生ウニは負けてしまうな」という気持ちに。
ところが、ぷりっと食感の残るウニが現れると、その甘みがガバッと主役の座を奪って落ち着きました。
ミネラルウォーターのジュレとはなんぞ?とも思いましたが、不思議と水の味がするのですよねえ。
シャンパンの風味と上手いこと対比になっているからでしょうか。
とても面白い1品でした。
最初のお皿がここで焼くに立ちました。
バターではなくオリーブオイルなのが面白いですね。
キレのある辛みが、お店の料理のスマートなイメージに合う気がします。
フルーツトマト。
季節の人気メニューのひとつなのだそう。
下からフルーツトマトのタルタル、モッツァレラの泡、黒トリュフ、飴。
まずフルーツトマトのタルタルが突き抜ける甘さ。
続いて泡からしっかりモッツァレラの香りがあります。
色素を抜いたトマトジュース、パクチーのオイル。
はじめにひと口トマトジュースを口に含んで、少しタルタルを食べ進めながら口直しに飲むように説明がありました。
こちらは一転、鋭い旨みとやや塩気。
トマトソースなんかをイメージするとよさそうです。
バラバラに味わったり、合わせたり、演出も含めて面白くて、ただただ美味しくて最高でした。
6年前に食べた「フルーツトマト」と比べると、進化も感じられて、今後にも期待したくなってしまいます。
山口県萩の甘鯛 松笠焼き 鯖節と春菊のソース。
この日は3月8日ということで「鯖の日」だったのですけど、それを意識してか無意識か、鯖節が使われていて面白かったです。
仕上げに目の前で柚子皮が削られて、ぷんと香ります。
チャキチャキの鱗、やや膨張しながら、しっとりとける身。
寸分の隙もない火の入りでした。
鳥取県産いのしし、菊芋のソース。
写真で見ても分かるほどに脂がジャッキジャキ、弾けてジューシー。
身もバツンバツンの小気味よい食感です。
添えられるのは揚げた菊芋の皮に、フレッシュなりんご。
爽やかな甘い香り。
こちらは中に菊芋のピューレ。
ワンポイントにマイルド。
ここからさらにもうひと盛り上がりコースを盛り上げることで有名な甘味の部に。
おこし風ブランマンジェ。
お皿が出されて、説明をお聞きして、理解するまでに多少時間を要しました。
葛で包んで、つるんとろん。
白あんなんかにも近いですかねえ。
ぽっと弾けて消えるような淡い風味の甘み。
日本人にとってはおこしを連想させるところがありますが、海外の方からすると葛の食感だけでも目からウロコなのかもしれません。
メインのデザートはパフェスタイル。
随分背の高いグラスなので、同行者がいたら顔まで写ってしまいそうです。
ひとりぼっちでよかったな!
ブラッドオレンジのムース、フレッシュな果肉、バニラのアイス、カリカリに焼いたクレープ。
温度感、食感、酸味と甘みなど、多岐にわたりながらバランスのとれた1品。
最終盤なので、さっぱりいただける組み合わせでそこもまたセンスを感じます。
お茶菓子のフィナンシェは人形焼きの型で。
多分6個ずつ焼ける型なので、ひとりで訪問した僕にも6個提供するしかないのかと。
焼き上がりで出されるようで、凄まじくいい香りに包まれます。
人形焼き屋さんのように、香りに釣られてお店の前に行列ができそう。
楊枝で食べるのがかわいいですね。
食べきれない分は持ち帰りにしてくださるのも嬉しいところ。
カヌレと、浅草のかりんとう屋さん「小桜」さんのかりんとう。
人と来たら、夕方までお茶をしてしまいそうです。
もっと早く再訪して、頻繁に来ておくべきお店だったなというのが感想。
そもそも美味しさが完璧なのに、人形焼き風のお茶菓子や、サービスをする奥様の黒短髪メガネ和装と、浅草に構えるフレンチとして求められるであろう「日本的なもの」に見事に応える至れり尽くせり感。
前回のおぼろげな記憶と比べても、進化を感じる箇所があって、これからも目が離せないお店だなと思いました。
目を離さずにまたお邪魔したいと思います。
ごちそう様でした!