7月10日(水)、2019年は訪問頻度を上げようと思いつつ、今さら今年の初訪問になってしまいました。
築地の「鮨桂太」さんです。
凡ミスで大幅に遅刻してしまいましたが、変わらぬ笑顔で「お茶はあったかいのにしますか?冷たいのにしますか?」と聞いてくださった女将さんの言葉を聞き終わるが早いか応えるが早いかのテンポで汗を拭き拭き「冷たいの!」とお願いします。
ランチは5000円の軽めのコースに、10000円の握りだけのコース、そして夜と同じツマミから始まる17000円のコースがありますが、今回は10000円のコースに。
早速握りから始めていただきます。
まぐろ漬け。
夏のまぐろですが、酸味控えめで食べやすいタイプ。
まぐろ中とろ。
漬けで食べた赤身と通ずるところのある、酸味控えめ感。
見た目で分かるように、1貫の中に大きく味の振れ幅がありました。
小肌。
脂乗りがよくて、「新子の時期は美味しい」といわれるのが頷ける1貫。
桂太さんはシャリの酢が立っているという感想を聞くこともありますが、それと酢締めの酸の中にあってしっかり主張のある小肌の脂がいい味なのですよねえ。
時知らず。
かなり脂がありますが、後口は軽やか。
旨みの強い脂に、燻した藁の香りが乗ります。
みる貝。
食感はふにゃふにゃですが、香りは磯っぽさがしっかり。
シャリの酸が活きる味わいです。
鯵は肉厚。
シャリとの間に仕込んであるエシャロットと、脂と煮切りが合わさって、ちょっと中華っぽい、胡麻油っぽい味わいになるのが面白いのですよね。
平貝。
薄い切り付けで細かく包丁を入れてありますが、反発、強い歯ごたえ。
車海老。
しっかり火を通して味も食感も強め。
絶妙に浅い火入れのお店に魅力を感じていましたが、これくらい火を通しきってもいい味、食感を出せるのだなあと改めて実感できました。
星がれい。
これまた細かく包丁が入っています。
江戸前寿司ではド定番の白身ですが、個人的には実はあまり食べる機会がないかも。
無駄をそぎ落とした旨みを感じられるネタですねえ。
キンメ。
キンメ特有の脂の甘み、面積の広い皮目のおかげで旨みも堪能。
それにしても随分脂が強いな〜と思っていましたが、「月刊専門料理」で読んだところによると、ネタとシャリの間にあん肝を仕込んであるのだそうです。
アオリイカ。
ほんのり歯応えと、ほんのりネットリ。
細かく包丁を入れてあると、味がパッと入ってくる気がします。
すぐ甘み。
甘海老。
この価格帯のお店でいただくのは初めてかも。
甘海老で想像するものより、食感は軽く、味は濃く重く。
鰹。
支配的な味は脂の甘みですが、鰹らしい酸味のニュアンスと、炙った皮目の香ばしさが合わさって完全無欠感さえある味のバランス。
分かりやすく美味しいです。
麦いか。
麦の収穫時期に獲れるということで名付けられた、するめいかの若い個体。
するめいかというと火を入れると身がブッチブチにしまってしまいますが、麦いかはやわらかさが残るのですよねえ。
雲丹。
お寿司屋さんでは美味しい海苔も楽しみのひとつだったりしますねえ。
ここで海苔のお椀。
そしてラストスパート、というかウィニングランが始まります。
のどぐろ。
もう常温で融け始めそうなビジュアルをしていますが、口に入れるとあっという間。
とはいっても味わいが長く残るのがこのお魚の嬉しいところですね。
穴子。
比較的しっかり火が入っているということなのか、身の繊維質を強く感じる食感。
デザートさながらのふわとろに仕上げるお店も多いですが、桂太さんはしっかり魚感を感じます。
そして〆に玉子。
ギュッと目が詰まって、小振りながらズシッと重みのある玉子焼き。
スフレのようなお店があるのに対して、こちらはフランに近い感じかもしれません。
というわけで久々になってしまいましたが、握りのみのコースで桂太さんらしさを満喫できた気がします。
夏ということもあって、全体にさっぱりした印象がありましたが桂太さんの握りではこの感じの方が好みかもしれません。
と偉そうなことを言いつつ、寒くなるにつれ脂が乗り、味わいの濃くなるネタを今後とも楽しみにさせていただきたいと思います。
ごちそう様でした!