お昼はお誘いいただいて、久しぶりのラチュレさんへ。
いつもひとりで行くのでカウンター席にしか座ったことがありませんでしたが、この日は初めてのテーブル席でした。
ちょっと秋の装い。
全て手作りで用意されているそうです。
鹿の血のブーダンノワールのエクレア。
ブーダンノワールを使ったアミューズは定番ですが、今回はエクレア状で登場しました。
香ばしい記事に、旨みの強いブーダンノワール、上にはチョコレート掛け。
下には鹿の毛が敷いてあります。
エクレアの美味しい食べ方といえば、ということで、チョコレートの面を下側にして口に放り込みます。
甘さが抑えられて、キュッと後味の締まる感じがいいですね。
自家製パン。
バターナイフが小鳥型でかわいいです。
冷たいとうもろこしのスープとコーンのブリオッシュ。
スープは強いコーンの甘みと、バターリッチな仕上がりと。
「僕の大好きなコンビニのコーンマヨパンです」
とシェフが出してくださった前菜。
パンはブリオッシュ、マヨもフレンチソース的ですから、フランス料理に馴染みいいものだなあと思いつつ、驚くほどドストレートにコーンマヨパンでした。
金華サバと黒イチジク、茄子。
「金華サバ」と言われて、歓声が上がります。
ビネガーでマリネした鯖に、黒イチジク。
ここに茄子を組み合わせるのは意外性があります。
仕上げにテーブルの上で、液体窒素で凍らせたバターミルクを散らしてくださいます。
融けてコクのあるソースに。
酢締めっぽい仕上がりの鯖は、一見浮いてしまいそうな味わいなのですけど、バターミルクが見事に決まっていたように感じました。
鴨パテアンクルート。
定番のパテアンクルートですが、今回は鴨尽くし。
鴨のフォアグラに、ゼリーは鴨のコンソメ。
このコンソメが驚くほどに旨みが強いのですよね。
添えてあるのはグリーンレモンのピュレ、プルーン、クコの実のピクルス。
一つ一つ花が添えてある洒落っ気。
グリーンレモンの香りが爽やかで印象的でした。
単品でいただいても、添えられたジャムやピクルスと合わせてもキラリと光る魅力のあるパテアンクルートでした。
みしみし力強い食感が鮮烈。
続いて魚料理。
深めの器に、磯の香りのスープ。
緑はクレソンオイル。
ウスバハギのポワレ。
身がとても綺麗な白色をしています。
ラチュレさんはジビエが注目されがちですけど、魚料理もいつも秀逸なのですよね。
水分が抜けつつ、ふっくらした火入れで、脂乗りもしっかり。
スープの中には銀杏も隠れていて、食感も風味も楽しい1皿でした。
エゾジカのロースト 赤ワインのソース。
鹿は内ももと外ももの2種盛り。
大人っぽい風味の赤ワインのソースに、甘酸っぱい赤すぐりの果実味。
外ももは、がしっとした赤身肉らしい赤身肉。
内ももは、こちらも赤身ながら、繊維質が細かくてソフトな歯あたりでした。
どちらもとても味が濃いです。
お野菜も、素材自体の味が濃いもの。
ぶどうのサバラン。
ラチュレさんといえばパティシエールさんの作るテーマ性のはっきりしたデセールも大きな魅力のひとつでしたが、その方が独立されたと伺っていたのですよね。
というわけで、今回はデセールも楽しみにしていました。
ぶどうのソルベ、ラムレーズンのアイス。
ラムレーズンも香りが立っていますが、ぶどうのソルベが華やかすぎて食い気味に美味しかったです。
生地に染みたお酒は、量の問題というよりは質の問題なのか、キーーンとかなり強め。
それぞれのパートの主張が立っている上に、お酒はかなりインパクトの強い使い方で、印象に残るデセールでした。
今後も楽しみです。
食後はハーブティーをいただきます。
小菓子はフィナンシェ。
ジビエの脂を使っていることが多かったと思いますが、この日は特に説明がなかったので普通にバターだったのかもしれません。
ジビエはもちろん、他のすべてのお皿で楽しませいただきました。
とはいえこれからジビエの季節まっ盛りになってきますので、またその辺りも楽しみにして伺えたらと思います。
ごちそう様でした!