お昼は人におすすめいただいたオシャレな中華へ。
やってきたのは表参道。
場所柄からしてオシャレです。
南青山エッセンス。
ワインと薬膳中華の店と銘打って、旨味調味料や化学調味料を使わずに食材の味を活かして、「身体と心を癒すこだわりの中国料理」を提供しているそう。
例のワインを飲むお店を選んでいるときに、教えていただいたお店だったのですよね。
食事の方に興味が出たので、ランチでやってきました。
定食ランチもあるようでしたが、せっかくなのでお店のイズムを堪能できそうなコースを注文してみました。
二十四節気ごとにメニューを替えるようで、この日は「秋分」。
サービスプレートの青があざやか。
客層は、ママさんの女子会っぽいみなさんもいらっしゃいましたが、飛び込みで定食ランチを食べるおひとり様や若いカップルが半分くらいだったかもしれません。
おひとりは有名人の方だったように思いますが、気付かなかったことにしておきます。
というわけで今回はワインではなくガス入りのお水をいただきます。
ワインもおすすめのようなのですけどねえ。
すみいか、いちじく、チコリ、パプリカのソース。
黄色と白が青いお皿に映えます。
味付けを抑えて、ほぼ食材ままのような味わい。
いちじくは甘さがそんなになくて、要素としては香り。
チコリははっきり苦み。
パプリカもストレートな味わいで、それぞれ素材の主張はしっかりとつかみ取ることができます。
ビジュアル的なセンスや、味付けの方向性など、お店の姿勢を一発で教えてくれるような挨拶代わりに見事な1品目でした。
前菜盛り合わせ。
1口ずつで4種類。
少量すぎて何だかよく分からない…ということにならないように、1品ずつ趣向を凝らしてあるのが見て取れます。
天草大王 ピータンのタルタル。
天草大王は銘柄鶏で、コラーゲン質のぶりぶりした食感が印象的な部位。
ピータンみの強いタルタル。
これはひと口食べて「面白い!」と膝を打ちたくなるアイディアですねえ。
ヤシオマスの腐乳ソース。
クセがなさすぎてこざっぱりしたマスに、ウォッシュチーズのように強く旨みの出たソースの組み合わせ。
とても印象に残ります。
子ドジョウの香り揚げ 玉ねぎ塩添え。
紹興酒で泳がせて酔っぱらったドジョウを揚げたもの。
香ばしさの中に少し甘い香りがあります。
牛スネの赤酢煮込み。
ギシッと肉繊維の詰まったスネ肉に、特徴的なクセのある赤酢。
海老の香り揚げ 茄子のピリ辛豆鼓あんかけ。
いわゆる"中華"っぽい料理を挟みます。
「ピリ辛」は結構しっかり辛め。
茄子は見事な油通しで、小さなカットながらだれることなく甘さが引き出されていました。
ところで「海老」は…と思っていると、
下に大きめのエビがドンと隠れていました。
クリスピーな衣が付いて、香ばしさと、それに浸み込むあん。
素材、調理法のいいところを最大限に引き出しているなあと思ったメニューでした。
薬膳スープ。
白瓜、ジャガイモ、たまねぎ、きくらげ、ハト麦、陳皮、龍眼、スペアリブ。
煮崩したジャガイモやハト麦の効果か、全体に若干とろみがついていて、自然な甘みを感じます。
お肉の旨みも丸みを帯びた味わいの一環に落とし込んであって、食材のやわらかな食感もあいまった終始やさしさで包まれるスープでした。
足利マール牛の低温ロースト。
桑の実と黒酢のソースと腐乳のソース。
季節野菜のオリーブの葉炒め、レモンのヌーベ。
じっくり時間をかけてあざやかなピンクに焼き上げた国産牛。
ガシガシ歯応えの強い赤身と、周縁に脂身も備えた肉々しい部位でした。
お皿を飾る要素もそれぞれ味の主張がハッキリ。
「オリーブの葉炒め」というのが、苦みがしっかり出ていて面白かったです。
レモンの「ヌーベ」というのは、地獄先生ではなくて"泡"のソースのことのようですね。
そういう言い方は初めて聞いた気がしました。
デザートは、熊本産梨のアイスクリーム。
マーライコー添え、棗のソース、葛の葉風味。
マーライコーというのは中国の伝統菓子の蒸しパンですね。
乳脂強めのアイスに梨の果肉。
独特の甘酸っぱさのある棗のソースとともに、マーライコーに絡めていただきます。
葛の葉の粉末。
ちょっとお茶っぽいというか、青み、苦みのある味わいが加わった気もしますが、名前や見た目のインパクトほどは味覚の上では存在感がなかったように思います。
全体的に印象に残ったのは、食材の切り方が総じて小さめであるということ。
薬膳中華の何か意味があるのか、単に女性にやさしいということなのか分かりませんが、小さくカットしても食感や味わいが損なわれていなくて、工夫が凝らされた料理、調理なのだろうなあと感じました。
品目がとても多く、それぞれの素材をストレートに感じることができたので、終始楽しく料理を堪能できました。
ごちそう様でした!