この日国立にやってきたのは、以前は国分寺にあった「洋菓子舗 茂右衛門」さんの新店舗に行くためでした。
新店舗とはいっても、2019年の春に移転されているので随分遅ればせながらになってしまいました。

というわけで堂々の新店舗。
駅でいうと国立から行っても立川から行っても、まあまあ距離のある立地。
それでも相変わらずの人気が伺えるショーケースの閑散具合でしたが、残っているものから気になったものをチョイスしました。

洋梨のタルト。
洋梨のコンポートとアーモンドクリームを乗せたザクザクのパイ生地。

洋梨のコンポートは角が立って、少し芯を感じる食感が絶妙でした。
香りもよし。
しなだれかかるように倒れ込むビジュアルも魅力を感じます。

メリハリのついた3パターンの食感のコントラスト。
どのひと口も食感を楽しんでいただける仕様になっています。

「ザクザク」の表現が過剰でない、見事なクリスピー仕上げでした。
口の中の水分を吸い集めながら、バターの香りが勢いを増します。

フランボワズィエ。
ショーケースからは消えていましたが、少し待てば用意できるとのことでお願いしました。

フワンボワーズのムース、ジュレ、エピスメランジェ(5種のスパイス)のビスキュイ。
フランボワーズとスパイスと、方向の違うキラッとした風味が交錯。

ベタッとした質感が残らない軽い口当たりで、力強い風味がガツンと効いているのが「茂右衛門」さんのムース。
馴染みよいビスキュイの食感もよきバランス。

あんことくろみつ。
定番商品ですが久しぶりにいただきたくてこちらも。
練りあんのムース、十勝あずきの鹿の子、黒蜜のショコラブラン、ホワイトチョコレートのジュレ、ココナッツのダクワーズ。

ぽくぽくと粒の角の立った鹿の子に、アクセントになる特徴的な甘みのホワイトチョコレートのジュレ。
食感でいうと、ベースのココナッツのダクワーズはしゃりしゃりとファイバーが入っていそうで、練りあんのムースには粒あんの皮。

上の白い層が黒蜜のショコラブランで、キリッと鋭い甘み。
練りあんのムースは、和要素と見せかけてギラギラのラム酒が効いています。
何度いただいてもハッとさせられるスペシャリテなのでした。

ロワイヤル。
シンプルなアーモンドケーキにお酒が強めに香るドライフルーツ。

表面の生地はちょっと月餅さえ思わせるしっかり感。
どしっとしたアーモンドケーキを、さらに頑丈に固めます。

表面近くに並んでいる程度のドライフルーツですけど、洋酒の香りは見事に全体を通底する要素になって味わいを凌駕します。
そんなにはっきりは見えていないのですけど、オレンジピールがいい味を出しているのですよね。

背中の面積の広いガワが最高。
というわけで2年近くぶりの訪問でしたが、こうしてフランス菓子をがっつりいただくの自体久しぶりだったこともあって、味わいと食感の豊かさに雷が落ちたような衝撃を受けました。
やっぱりもっと頻繁に伺わなくてはな、と思いながら、ごちそう様でした!