久しぶりに虎ノ門の「珈琲草枕」さんへ。
しばらく前からこちらのデミタスをいただきたいと思いつつ、日曜祝日定休ということもあってなかなかタイミングがなかったのですよね。
味のある字体の看板。
知らずに通りかかるとコーヒー店には見えない渋みのある緑色の暖簾がかかっているのですけど、佇まいとは裏腹にいつも荒くはためいているイメージがあるのは、ビル風かタイミングの問題か。
デミタス。
豆は「深煎」と表記があったので、このメニュー用にブレンドされているように思いますが、20gで60ccの抽出とのこと。
かつてバーテンダーをしていた店主さんは、近所にあった名店「大坊珈琲店」さんに毎日のように通い詰めていたそうで、お店のメニューにも少なくない影響が感じられます。
とはいっても「デミタス」と独立したメニューがあるのは「大坊」さんとの明確な違いのひとつです。
「大坊」さんは、豆の量とお湯の量のバリエーションで1番~5番というメニューが用意されていて、デミタスに当たるのは4番(25g50cc)だったのですよね。
とろみの強い舌触りと、甘みをしっかり引き出したまろやかな1杯。
力強くも、とげとげしさは皆無の素晴らしいデミタスでした。
重いけどやわらかい。
「大坊」さんで修業した方に、「おすすめの店を聞かれたら、草枕さんを教えることにしている」と言われたことがあったのですけど、その理由が「店主さんの物腰がやわらかいから」だったのですよね。
かつて大坊さん本人も、おすすめの店として「草枕」さんを挙げていたと聞いたことがあります。
そんなわけで今回は初めてカウンター席に座ってみました。
ずらりと並んだ文庫本は店主さんの人となりが見えるようで、ついつい背表紙をひと通りチェックしてしまいます。
大体「やっぱりこんな感じだろうな」と思う並びなのですけど、ときどき「こういうの好きなのか!」というのもあって面白かったです。
せっかくなのでもう1杯、牛乳珈琲もいただきます。
要するにカフェオレのことですが、何だか素朴な響きのメニュー名です。
丁寧に、じっくり鍋を見つめながら温めたミルクを注いでいらっしゃいました。
かなり牛乳の甘みが立った飲み口で、店主さんの謙虚さが表現されたようなコーヒーの風味はかなり慎ましいバランス感。
自家製ケーキのチョコレートを合わせるのがよさそうだったなと、次回以降の宿題を胸に秘めました。
というわけで、かなり久しぶりの訪問になってしまいましたが、改めてお店や店主さんの素晴らしさを感じることができました。
大満足でごちそう様でした!