早いもので2024年も大みそかです。
その年初訪問したお店の中で印象に残ったところをまとめて紹介している、誰も待っていない恒例企画の時間です。ここまで定型文。
今年は環境の変化と自身の甘えでブログの更新がままならなくなってしまったのですが、食べ歩き的なことは昨年までと変わらないくらいのペースで続けていたので、年末恒例企画だけはしれっと恥ずかしながら戻ってまいった次第です。
今年は大きなイベントとしてはモロッコ旅行がありましたが、日常的にはコーヒーを飲み、カレーを食べることの多い1年でした。
候補を絞りに絞ったつもりですが、例によってまあまあな数になってしまったので、前置きはこれくらいにして早速始めます。
花梨と小虎@三鷹台
季節の食材や様々な調味料を組み合わせて、中華料理をベースに食欲をそそる自由な発想の料理をいただけるカウンターのみのお店です。
写真は秋刀魚と豆豉の炒飯。
9種盛りでいただく冷菜盛り合わせも含め、どのお料理もひと口食べるごとに心が動くような感動があります。
内装や食器もどれも素敵で、このお店で過ごすことを予定に入れるだけで日々が華やぐような存在になりました。
渡辺料理店@門前仲町
「銀座レカン」さんの料理長が、「もっと気軽にフレンチを食べていただきたい」という思いから門前仲町で開いたビストロ。
写真は牛フィレ肉のパイ包み焼き ウェリントン。
ビストロにしてはゴリゴリのクラシック寄りのお料理でありつつ、洒落た食材使いは今どきのビストロっぽさもあって、個人的には好みにドンピシャ。
ずっと行きたいと思っていて、今回はお誘いいただいて初訪問できてコース料理をいただきましたが、次は夜に伺ってアラカルトで好きなものを選んで食べるのも楽しそうだなと目論んでいます。
Japanese Spice Curry WACCA@八丁堀
もともとイタリアンの料理人だったというシェフが、出汁を取り入れるなど独創的な手法で次々と生み出す新たなカレーを提供するお店。
写真はネオグリーンカレー。
例えばこのグリーンカレーはココナッツミルクを使っていないそうで、普通に考えたらあっさりしてどこか物足りない質感になりそうなものですが、様々な食材の出汁(=旨み)の濃さで補って余りあるコクの深さに仕上がっていました。
店主さんのXのアカウントからの投稿は、調理オタクっぷりが垣間見えて大変勉強になると思ってずっと拝見していたのですが、やっぱり百聞は一食に如かずとでも言いますか、ちょっと果てしないボリュームの情報量が詰まった1皿でした。
また色々食べに行きたいです。
大江カレー@高円寺
今年惜しまれながら閉店した「curry草枕」さん出身の店主さんのカレー店。「エチオピア」さんで働かれた期間もあるようです。
写真は鶏肉のカレー(大山鶏)、野菜のカレー(南瓜、ミニトマト、ひよこ豆)。
以前から写真でお見かけしては、今の時代に随分シンプルな盛り付け方だなとは思っていましたが、店主さんのXの投稿をさかのぼっていたらご自身の好きなロック音楽になぞらえて「カレーのビジュアルにおける8ビートはこの形ではないかと思った」と書かれていてカッコいい!と思いすぐさま伺ってしまった次第。
抜けのいいスパイスの力強いインパクト、具材の食感や風味と、とても痛快で爽快なカレーでした。
次は魚介も食べたい。
西荻タンドール5lab@西荻窪
麻布十番にあった「肉とスパイス JINDARI」さんで腕を振るったシェフが独立開業したお店。「スパイス居酒屋」と銘打って、カレーやインド料理をベースにしたオリジナリティ溢れるおつまみなど豊富なメニューをいただけるお店です。
写真は人気メニューのgo流サーグ。
なるほどこれは名物になるのも分かる、食べたことのない濃さ、密度のサグカレーです。
カレーやシチューを煮込んだ鍋の縁にこべりついたソースとか、すき焼きで最後まで残ってカピカピに煮詰まった野菜とか、個人的に結構好きで下品にもこそぎとって食べるのを楽しみにしていたりするのですが、そういう"狙ってできたわけではないけど依存性の高い魅力を感じる何か"を、狙って作ったみたいな料理でした。
どのお料理も美味しくて、1人で行くとあれもこれも食べたくなってしまってひーひー言っています。
骨付鳥 一鶴@香川・高松
言わずと知れた香川の名店。
写真はおやどり。
地元の方曰く、「香川のご当地料理として骨付鳥があるのではなく、一鶴の料理。他にも骨付鳥を出すお店はあるが、あくまでも一鶴の後追いなので、結局一鶴が1番美味い。観光客に人気のお店ではあるけど、地元の人も美味いから行く」とのこと。
メインの骨付鳥はおやどりとひなどりの2種類あってどちらも美味しいですが、ここでしか食べられない逸品という意味ではダントツで歯応えゴリゴリで旨みが剛健なおやどりがおすすめ。かなりパンチの利いたシーズニングも特徴ではありますが、鶏の旨みのパンチがすごかったです。
MINORI GELATO@香川・小豆島
小豆島の草壁港のすぐ近くにある、小豆島さんの果物や野菜を使うジェラート屋さん。
写真は醤トマトソルベ、しょうゆクランブル、いちじくソルベ。
このトマトソルベが絶品なのは少し突き抜けていましたが、他のフレーバーも、塩気も上手く取り入れつつ個性的な食材を食べやすい味に上手に仕立てていらっしゃいました。
また行きたい。
terra mia cafe@モロッコ・マラケシュ
旧フランス領で、フランスの食文化の影響を強く受けるモロッコ。パン文化もフランスとはまた異なった独自の発展を遂げていて面白かったですが、こちらはかなりストレートなフランス菓子を食べられるカフェでした。
写真はサントノーレ。
サービスの方もとても素敵で、思わず連日伺ってしまいました。
ラ・ブティック・ピエール・エルメ・パリ@モロッコ・マラケシュ
最高級ホテル「ラ・マムーニア」の中にある、アフリカ大陸唯一の「ピエール・エルメ」の店舗。セキュリティの関係なのか、ホテルの入口で一眼レフカメラを没収されました(退門時に返却)。
写真はCorne de Gazelle Individuel。
モロッコの伝統菓子「ガゼルの角」をモチーフに、ムースやプラリネのアーモンドの風味を主体としつつ、さらなるモロッコらしいアクセントとしてオレンジを加えたもの。
洒落の利いたアイディアと、個性の強い形、しみじみといい味。魅力の詰まった1品でした。
LE VRAI TRADITIONNEL@モロッコ・マラケシュ
道すがらマラケシュ名物の壺煮込みタンジーヤを食べたくて、美味しそうなところを検索して入ったお店。写真がそのタンジーヤ。
そんなに期待の高まる店内ではなかったし、飲み物のオーダーを忘れられたこともあり、サービスも抜けていたのですけど、ラムのタンジーヤを食べてびっくり。はちゃめちゃに美味しいです。
マラケシュにはハマスという大衆浴場があり、その炊く火のそばに壺を置いて低温で数時間かけてお肉を煮込むのだそう。サフラン、クミンの他に味の決め手は塩レモン。塩そのものは入れないそうです。
料理のことを質問したら、若いシェフが出てきてすごく熱心に説明してくださって勉強になりました。
Parfait tokidoki@山梨・韮崎
元デザイナーのご夫婦が営む、山梨の美味しいフルーツをスパイスなど意外な組み合わせで楽しませてくださるパフェ専門店。
写真は栗と水晶文旦のパフェ。
見た目は栗のインパクトが強いですが、食べ進めると後半は水晶文旦やレモンといった柑橘のビターで爽やかな甘みがむしろ中心的な役割を果たしていました。
この前に伺った際は桃とパクチー という、これまた斬新な組み合わせで楽しかったです。
TORAYA GINZA@銀座
泣く子も黙る虎屋のカフェ業態。
注文を受けてから目の前のカウンターで生地を焼いてもらえるという焼きたてのどら焼きが人気メニューのようですが、今回は季節メニューを。
写真はTORAYA GINZAだけの期間限定メニュー、渋皮栗のかき氷。
栗のクリーム、渋皮栗と蜜漬栗を削りかけたかき氷。中には和栗のアンペーストご仕込まれています。1杯3000円するのでなかなか何杯も食べられたものではありませんが、それも納得できてしまう贅沢な栗使いのかき氷でした。
POPHOT@学芸大学
都内No.1の呼び声も高いクレープ屋さん。週末は毎日行列が延びているようです。
写真はCitron pressé(レモン)。
バターとレモン果汁がビタビタに染みて、生地はぐずぐずになっているかと思いきや、モッチモチのコシある弾力が残っていて驚きました。塩味と酸味のエッジが利いているところも好感。他のメニューが楽しみになります。
店内ルールが厳しめという評も目にしていましたが、個人的にはそれを感じるタイミングが一瞬もなく、むしろ気持ちのいい接客でいい時間を過ごさせていただきました。
Tokyo Juice@明治神宮前
今年は流行もあったようですが、アサイーボウルも何軒かで食べた中で1番印象に残ったのがこちらのお店です。
写真はパワーボウル。
アサイーというと、身体にいいけど特に美味しくはないものというイメージでしたが、最近のは蜂蜜がたっぷりかかっているなど感覚的に「美味しい」と感じるものが多かったように思います。その中でもこちらは、メニューによってアサイーのペーストに混ぜ込むものを替えて味の印象がガラッと変わっていてとても興味深くいただきました。
solo@駒沢大学
駅から離れた雑居ビルの2階に突如現れる、端正で美しい空間のカフェ。
写真はタルトタタンとロイヤルミルクティー。
店主さんのワンオペのお店なのだと思うのですけど、手作りの魅力的なフード、デザートが提供されています。
シンプルで美しいフランス食器の上に小さくて濃厚なお菓子が載ってくるビジュアル、風味にキレのある味の仕上げ方もとても好みで、これからも通うのが楽しみです。
Chilling Coffee&Bake@旗の台
パティスリーやベーカリー、フランスでの修業経験もあるというお兄さんと、バリスタの弟さんで営まれているというカフェ。
写真は桃のスープと杏仁。
店内席はそんなに多くなく、コーヒースタンドとベイクショップみたいな雰囲気のお店なのですけど、ズシッと重みのあるフランス食器を使われていて、さらにそのお皿と一体になるようなデザート作りに感動してしまいました。
どのデザートを食べても美味しそうなので、また季節メニューを狙ってチルしに行きたいです。
Café Les Gourmandises@幡ヶ谷
田園調布から移転してきた、フランスの街角を感じるカフェ。
写真はかき揚げ蕎麦サンド ふきのとうソース。
自家製パンとちょっとしたビストロ料理を挟んだようなサンドイッチが秀逸で、デザートは日本ではあまり見かけない郷土菓子を含め個性の立ったラインナップでいて食べやすさの安定感は抜群。
他店とのコラボなどイベントも頻繁に実施されていて、来年も注目したいお店です。
Difinitive. Panama Coffee studio@高円寺
パナマのトップロットのコーヒーを味わうことのできる唯一無二なお店。
初めてコーヒーを飲んだときより「飲んだことのないものを飲んだ」という感覚になった気さえする、これまでのコーヒーの概念をフルスイングのホームランでかっ飛ばされるような体験をしました。
ネルドリップ自家焙煎深煎り信者ではありますが、こういったコーヒーも飲まないと自分のコーヒー観が狭小なものになるなと危機感を抱いて、今年はトップクォリティの浅煎りコーヒーを提供するお店にも通わせていただきました。
こちらのお店には1度しか伺えていませんが、自分に自信がないから二の足を踏んでいるだけのことで、吉祥寺に出した2店舗目を含めまたトップクォリティの雫を堪能しにまた勇気を出して参りたいと思います。日本のコーヒー業界の台風の目のような存在だと思います。
海苔子珈琲@神奈川・弘明寺
「猿楽珈琲」さんが閉業されて、同じ場所でスタートしたお店。
写真は二十四番地珈琲とプリン。
秘密の隠れ家のような暗がりの店内で、どっしり重い深煎りコーヒーをいただくことができます。この空間をこのスタイルで踏襲してくださった店主さんには感謝感謝です。デミタスもキレがあってとても美味しかった。
珈琲観々@井の頭公園
大阪にあった「星霜珈琲店」さんが名前を変えてこの地で再スタート。
写真はイエメン・バニーマタルとベイクド・チーズケーキ。
モカを中心に豊富な豆のラインナップで、それぞれ2パターンの濃さでの提供。シンプルなお菓子も素敵で、渋く、深いコーヒーの世界を見せてくださるお店だと思っています。深煎りのお店のイメージでしたが、意外と浅めの焙煎の豆もありそうだったので、幅は結構広いのかも。
想像の雨@上石神井
店名の美しさに、ジャケ買いよろしく訪問を決めましたが、渋みのあるブルーの扉といい、「晴耕雨読」を表現した藁のオブジェといい、名前負けどころか超えてくる美しいお店でした。
写真はブレンド(モーム)、コーヒーゼリー。
ブレンドの名前は作家から取っていて、卓上には店主さんの積読のような本が雑然と置かれ、コーヒーと文学が密接にあることを具現化したようなところも素敵。コーヒーゼリーはアガーで固めていて、質感がとても上品でした。
今のところ「この空間でコーヒーを飲みたい」が訪問理由の筆頭ですが、他のコーヒーメニューやお菓子メニューも気になっているので、また足繁く通いたいです。
雨の日の虹 珈琲 雨待ち@山梨・小淵沢
甲府にお店があった頃から行ってみたいと思っていましたが、小淵沢に移転してからようやく初訪問できました。駅から美しく連なる山々を眺めつつ歩いて、周りにお店など何もないところにポツンと立つ一軒家。
写真は甘露(マンデリン)。
美しい場所で素朴なカフェ。畑仕事のようにコーヒーやお菓子と向き合っていらっしゃる印象で、その手が生み出すもの、お店の行く先を今後も注目していきたいです。年に1度くらいの頻度で、東京へ出張営業もしてくださっているようなので、そちらも注意深く押さえておきたいと思っています。
というわけで久しぶりの更新になってしまいましたが、無事に恒例企画だけは続けられてよかったです。
来年も気付いたら次の更新がこの企画でした、ということにならないように、できる限り努力は続けてまいります。
ブログの更新は遅れながらも、食べ歩きの方は楽しく今年も1年間続けられました。
関わってくださった全ての方に感謝です。
今年は大切な存在だったコーヒー屋さんがお店を閉められました。来年は心の支えのような存在だったフランス料理のお店がその歴史に幕を下ろすことが発表されています。
好きなお店は行って応援、行きたいときには行く、という精神を大事にしたいと思います。
ではでは、本年も大変お世話になりました!来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えくださいませ。