早いもので2025年も大みそかです。
その年初訪問したお店の中で印象に残ったところをまとめて紹介している、誰も待っていない恒例企画の時間です。ここまで定型文。
近年はある程度通うお店が固定化されてきていて、特に今年は思うように時間を確保できない事情もあったので、あまり新しいお店に行かれていないなあと思いながら振り返ってみましたが、どうしてなかなか初訪問のお店が100軒以上ありました。なんでや。
とはいえ旅先のお店が多かったこともあり、「通うお店」を増やせていない感覚のあるのが課題ではあるのですが、いずれにしても素晴らしい出会いがたくさんある1年でした。
La Paix@日本橋

かつての日本橋の名店「オー・グー・ドゥ・ジュール・メルヴェイユ」の松本シェフと田中支配人が2014年に立ち上げたお店。
オープン当初からずっと行こうとは思っていたものの、11年が経ってようやく念願の初訪問でした。(予約したけど、前日にお店から臨時休業になったと連絡をもらったこともありました)
マニアックな作り込みと、初心者でも分かりやすいエンタメ性やコンテクストが盛り込まれた美味しくて楽しいコース構成がさすが。
個人的に、フランス料理を好きになった頃に通わせていただいていたのが「オー・グー・ドゥ・ジュール」系列だったので、やっぱりいいなと感極まりそうになりました。韃靼そば茶のブランマンジェが素晴らしい。
サンドニカフェ@三鷹

シェフはフランス各地のレストランで修業した後、帰国して西荻窪でフランス料理店「アベス(現在は恵比寿に移転)」を開業。同店はスーシェフに任せて、自身は西荻窪で開いたクレープリーに専念し、三鷹に移転してクレープリー併設でオープンさせたのが「サンドニカフェ」。
"三鷹のパリ"とも称されるお店は、パリのカフェさながらのデカい肉をドカッと焼いてザッとソースをかけたシンプルで美味いお料理や、複数の選択肢が魅力的なアシェットデセールを提供しています。
初訪問で胃袋を掴まれて2週連続でお邪魔してしまいました。基本といえそうなクレープとポークステーキを1回ずついただけたので、今後は注文の幅を広げていきたいです。
鮨西崎@笹塚

「鮨なんば」「鮨しゅん輔」を経て独立した西崎さんのお店。
冒頭から、お造りに2種類の塩が添えられて、ネタによって使い分けるなど食好きと共鳴すること間違いなしの店主さんのオタク気質が随所に光るお任せコース。
惜しげもなく食材、調理法の知識も披露してくださるので、情報量の面でも満足感の高い時間を過ごせました。
MORI YOSHIDA@中野

パリからスタートし、渋谷スクランブルスクエア開業時に東京進出、2024年末に実店舗での営業が始まったお店。苗字が2つ並んだような店名ですが、シェフの吉田守秀氏のお名前を縮めたものだそうです。
本物のフランス菓子を日本に紹介することがひとつのコンセプトになっていて、クラシカルなお菓子を比較的ストレートに提供してくださっているところが個人的にツボでした。
オンディーヌ@東麻布

「アルノー・ラエール・ジャポン」でシェフとして腕を振るったオーナーシェフと、映画「蜜蜂と遠雷」で音楽監修を務め音楽に造詣の深いオーナーパティシエールのお2人の共同経営という、それを聞いただけですでに行かなきゃと思わされる異色な経歴を持つお店です。
音楽関係の言葉を冠した独創的なお菓子の数々は、リズミカルな食感、濃淡の表現が美しいもの。
最近都内では少なくなっているイートインありのパティスリーというのもありがたく、店内では「白金台珈琲」のコーヒーも提供されています。
「白金台珈琲」のコーヒーはお菓子にも使われているなど縁が深いからか、そちら経由で来るお客さんも多そうで、僕が訪問した3回はすべて僕以外に「白金台珈琲」の話をしているお客さんがいました。
Lonich,@蔵前

店名は"Leave our name in coffee history,"の頭文字を取った造語。
「日本発のNo.1高価格帯コーヒーブランドを目指す」という同店、運営会社の発信を見ていると、優秀でバイタリティーの溢れる人が本気でコーヒーに取り組むとこんなにも可能性が広がるのかとワクワクさせられます。
個人としてのコーヒー体験はもちろん、コーヒー業界全体を豊かなものに変えてくれそうなお店だと思いました。
コーヒーのコースも挑戦してみたいです。
デイリーマツモト@西葛西

西葛西にご夫婦が開いた「おかずとおかし」のお店であり、「飲める惣菜屋」である同店。
個人的には、「サンデーベイクショップ」出身の方のお菓子が食べられるという情報がアンテナに引っかかって知りました。
お菓子目当てで行ってしまったのでカフェ利用しましたが、お昼時を少し過ぎた時間でもランチの定食のお召し上がりのお客さんが多い様子でした。
次回は定食+お菓子でお店の両面を堪能したいです。
SISIRI@恵比寿

恵比寿駅から少し歩いた場所にある、都会の喧騒を離れた古民家カフェ。
北海道産の素材にこだわった進化系の和菓子がいただけるお店です。お菓子のお持ち帰りもかなりの人気のようでした。
お菓子はそれぞれ個性のあるモチモチ食感が特徴的で、色々食べたくなるので全部盛りみたいなメニューが用意されていて助かりました。
栄久@井の頭公園

SNSをはじめネット上に公式情報が恐らくなく、一か八かで何度か行ってみたものの毎回休業日で、最寄りの井の頭公園駅から歩いて15分弱と都内にしてはアクセスがいい方ではないため心が折れかけて「あのお店は幻のなのかも」と思い始めていましたが、念願の初訪問が叶いました。
ご飯とお味噌汁とおかずからなる一見シンプルそうでえらく手の込んだ定食は、美味しく、楽しく、勉強になるもの。接客についてコメントされることが多いようですが、「人を喜ばせること」を好きじゃない人が営むことのできるようなお店ではないなと思いました。
またお邪魔できるチャンスを常に伺っています。
麺散@原宿

原宿のキャットストリートと明治通りの間の細い路地にある讃岐うどんのお店。
「THE GREAT BURGER」さんへ行く際に行列を見かけて、特に海外のお客さんが多そうで「何のお店だろう」と気になっていたのですよね。
穿った見方をすればインバウンド向けのお店かなという気もしつつ、値付けは手頃ですし、見た目も美味しそうで、思い切って訪問してみたら安くて美味いうどんの食べられる素敵なお店でした。
メニューにカレーうどんの記載があるのでずっと興味があるのですけど、現在は実際に提供されているわけではないよう。
ときどき再訪しながらカレーうどんの復活を待ちたいです。
emerada@幡ヶ谷

福岡で間借り営業をスタートし、途中から天才肌の弟さんも合流され、京都、東京と舞台を移し、計6年間の活動を経てついに東京で実店舗を持つに至ったそう。
現在はまだ「トレーニング営業中」と銘打たれていますが、あっという間に簡単には食べられない名店になりそうな予感がして今のうちに訪問。マニアックでエッジの利いたお料理は、"食べにくさ"とさえ捉えられかねない突き抜けっぷりですが、身体の芯から揺さぶられているような圧倒的な魅力がありました。
Dosa?@西荻窪

西荻窪「日常軒」にて間借りで南インドの軽食・ドーサを中心としたお料理を提供するお店。
カウンター越しに目の前でドーサを焼き上げる様子を眺めながらお料理を待つのは、異国の地にいるかと錯覚してしまうような空間、時間でした。
サンバルやラッサムも味がよくて、毎回少しずつメニューを変えていらっしゃるのも興味深いのでまたチャンスを見つけて伺いたいです。
カフェ パラダイスアレー@白山

神田のガード下での間借り、実店舗営業を経て、白山の地でかつては喫茶店だったという現在のお店をスタート。
看板メニューともなっているのは、円錐型に盛り付けるサラセリー式というビリヤニで、提供されたら自分でお皿に"ぶちまける"ことで、下に隠れたメイン具材のマサラが現れるというもの。
今年はビリヤニを食べられるお店がすごい勢いで増えた気がしますが、唯一無二の1皿をいただけるお店でした。
店主さんが大変な交通事故に遭って現在は休業中だそうで、現在は再開に向けてリハビリをされているのだとか。
くれぐれもご無理はなさらないでいただきたいですが、店主さんが現地を巡って会得したお料理の数々をまたいただける日が来ることを願っています。
yat tung heen 逸東軒@香港

香港旅行の最後に点心を食べたかったものの、記録的な豪雨に見舞われた日だったので遠出はできなさそうということでホテルの中にあるレストランに行ってみたらミシュラン1つ星の名店で、運よく食事できてしまいました。
コース料理はふらっと入っていただく価格帯ではありませんでしたが、アラカルトの点心なら手頃なお値段でいただけて助かりました。
上品、上質な点心ばかりで、ちょっとよすぎた気もしますが、間違いなく幸運な出会いでした。
Lai Foong Lala Noodles@クアラルンプール

朝から営業している飲食店を探していて見つけたお店。
実店舗もあるようですが、フードコートみたいにいくつかのお店が並んでいる中に出店されている店舗に伺いました。
「啦啦」というのはアサリと蛤の間くらいの貝。
びっくりするくらい濃い出汁とびっくりするくらい強い生姜で、すごくびっくりする味でしたが、クセになって箸が止まりませんでした。
一緒に食べた牛もつ麺も、想像以上にもつたっぷりで食べ応え満点でした。
時計のない喫茶店@北海道・札幌

パナマやコロンビアなどの産地の高品質のコーヒーを浅煎りで提供するスペシャルティコーヒー店。
趣味のいいコンセプト、内装に加えて、高い品質だけでなく確かな個性の光るコーヒーが揃えられていて、今回はカモミールのインフューズドをいただいたのですけど、ハーブの風味の鮮烈さ、時間経過による味の変化と非常に面白いコーヒー体験をさせていただきました。
AMAM+菓子店 アマムプリュ@北海道・札幌

大学でフランス文学を専攻し、現地でお菓子やパンに触れた後、ル・コルドン・ブルーで学んだ店主さんが札幌に開いたお菓子屋さん。
フランス展に出展されていたり、レシピ本を出されたり、知名度は全国区になりつつあって、当日の思いつきで行って簡単に入れるようなお店ではないかもと恐る恐る向かいましたが、ギリギリ1人用の小さな席に滑り込めました。
季節のスープは、見た目がいいのは写真で分かる通りですが、味や食感のふわふわした可愛い映え系スイーツではなく、酸味や香りが鮮烈でパーツごとに確かな存在感のあるキレキレの1皿でした。
もちろん美味しいお菓子を期待しては行ったのですけど、想像の遥か上をいくお菓子のよさで、「僕はちょってなめていたかもしれない」と反省するくらいに感動しました。
リヴゴーシュ・ドゥ・ラセーヌ@北海道・札幌

「セーヌの左岸」を意味する店名。名前の雰囲気からもうっすら分かりますが、シェフは「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のOBの方のようです。
中心部からは離れた立地だけど、地元のお客さんに人気なのかケーキは結構売れてしまっていました。
口コミを見ると「北海道ではお高め」というコメントがありましたが、東京と比べるとかなりリーズナブル。
お菓子は小振りで食べやすいサイズな印象ですが、その中に食感や風味のインパクト、緻密に構成された世界観が詰まっていて1品1品に食べ応えがありそうでした。
今回は旅行中なので2個だけしか食べられませんでしたが、本当はもっと食べたいお菓子がありました。
丘の上珈琲@北海道・長沼町

このお店を語るときは、まずコーヒー好きのバイブル「コーヒーの鬼ががゆく」「コーヒーに憑かれた男たち」にも登場する自家焙煎コーヒーの祖のような存在・襟立博保氏にまで遡る。吉祥寺「もか」の標氏にも影響を与えたという襟立氏の亡き後、三男の稔規氏が継承して札幌に「リヒト珈琲」を開業し、2014年頃に閉店。その後お孫さんが自家焙煎豆の販売を引き継いだものの現在は閉業しているようですが、その焙煎機がこの「丘の上珈琲」に受け継がれているという噂を聞きました。
こちらの店主さんは稔規さん時代の「リヒト」に足繁く通い、焙煎豆を見てもらっていて、稔規さんに「最初で最後の弟子」と呼ばれた存在なのだとか。
コーヒーはそんなに焙煎の深くなさそうな豆をいただきましたが、芯にグッと火力の加わっていそうな焙かれ方で、極深煎りみたいな味の出方をしていて驚きました。
車がないとかなり行きづらい場所で、たどり着くのに少しくらいしましたが、伺えてよかったです。
kafé Lunsjpause@愛知・常滑

焼き物の町・常滑にある器・洋服・古道具のお店「K&A SO-CO」に併設されたカフェ。倉庫をリノベーションしたお店なのだとか。
お菓子、器、お店のどこを切り取っても美しいお店で、特にシンプルだからこそ丁寧な仕事の光るお菓子は季節ごとに通いたくなる魅力のあるものでした。
喫茶かささぎ@愛知・常滑

朝から営業している中国茶と軽食をいただけるカフェ。
老若男女問わず地元の人がコミュニティを築けそうな温かい空間ながら、東京にあったら行列な人気店になること間違いなしの可愛いお店でした。
NOVA 珈琲と焼菓子@大阪・天満橋

コーヒーはイタリアで国際資格を取得した焙煎士さん、焼き菓子はフランスの製菓学校で学んだパティシエさんがタッグを組んだお店。
京都のカフェを思わせるような、時間が止まっていそうな空間の美しいお店でした。
タマゴサンドイッチも作り込んであってとても美味しかったです。次回はお昼以降提供のデセールが気になっています。
アーユルヴェーダカフェ an.@福井・福井

アーユルヴェーダの考えを取り入れて料理家さんが開いたカフェ。
サトヴィック・フルーツは、ほんのり温めたフルーツを香ばしい自家製グラノーラと合わせて食べるものでクセになる美味しさ。
オリジナル料理だと聞いて、「ここに来ないと食べられないのか……!」と悲しくなるほどにやみつきでした。
以上、2025年に初訪問した中で印象に残ったお店でした。
今年は、心のどこかで永遠に続くと思っていた大好きなお店の閉店があり、喪失感がありつつも「通い続けるお店をみつけよう」と心を新たにした年でもありました。
インターネット、SNSの進化で飲食店のあり方も様変わりし続けていて、情報に追いつけないと訪問のハードルも上がってしまうなあと危機感を抱きつつある今日この頃ですが、美味しいものを楽しく食べて、写真に残してあとで振り返ってニヤニヤするという初心を忘れずに過ごしていきたいと思います。
暖かかったり、突然寒かったり、変な気候が続きますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
来年も皆さまが少しくらい悩みがあっても美味しいものを食べて、少し運動をして、健康に過ごされますように。
今年も1年ありがとうございました!