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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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清澄白河の「il tram」で1月のコース。

1月29日(日)、新年初のil tramさんへ。
 
今回は初il tramの方をお誘いしてのランチだったので、僕も新鮮な感動を思い出しつつ、
楽しい時間を過ごさせていただきました(^^)
 
ではでは、今月もよろしくお願いします!
 
インカのめざめのズッパ。
一般にイメージする"じゃがいも色"よりはるかに鮮やかな黄色。
トリュフオイルの香り。
 
しっかりめに効いた塩を飲み込むようなじゃがいもの大地を感じる味わい。
とても香りのいいじゃがいも、じゃがいもの香りを余すところなく引き出しています。
 
以前いただいたときは、僭越ながら温泉卵は蛇足に感じてしまったのですが・・・。
 
今回は不思議と良い予感。
 
いざ!
 
じゃがいもの武骨な直線的に広がる味わいに、なだらかな傾斜を加えて曲線に変える、
今回は温泉卵が魔法のようなアイテムとして機能しているように感じられました。
 
ペコリーノロマーノも香りよいですね。
 
フォカッチャは、今回もイタリア産小麦100%とのことですが、使う小麦を「ちょっといいやつ」に変えたそう。
生地の色が白く明るくなったように感じられます。
 
食べてみると、イタリア産らしいシャープな旨みと、ねっちりと舌に付く口どけが印象的。
 
定番のブッラータ。
この真っ黒な器に、何色の、どんな味わいのソースが仕込まれているか、毎月楽しみなのですよね。
 
今回はマーメラス、そら豆の緑のソース。
その上に山梨県産菊、ローストしたカシューナッツを散らしてあります。
 
マーメラスというのは、全国でたった1つの農家だけで栽培されている豆の品種だそうで、
名前は英語の「マーベラス」にかけてあるそう。
写真だと分かりづらいですが、菊花の下にあるいんげんのようなサヤがマーメラスだそう。
 
こういうソースだと"豆の甘み"が強調されているものを想像しましたが、
予想の斜め上をいく"青々しい"味わい。
 
ソースにうっすら残った豆の粒感と、カシューナッツの質感や香りが絶妙にマッチして、実際にはそこにない青豆が浮かび上がってくるようですねえ。
 
次の料理に使う香草。
中身は菊、セルフィーユ、イタリアンパセリ、コリアンダー、チャイブ。
 
この透明のケースは、シェフが奥さんのショッピングで付いて行った化粧品売り場でみつけて、
これ用に大量購入してきたのだとか(内緒)。
 
使うお料理は定番の、鮮魚のヴァポーレ。
今回の食材は、金時人参、菜の花、じゃがいものニョッキ、真鯛、しいたけ。
 
開く前から、とても鮮やかなのが分かります。
 
フィルムを開くと熱々の湯気と一緒に広がる、人参の甘い香りと、鯛の脂の香りかな?
 
食欲をそそる香りが刺激的。
 
火傷を恐れて、まずは食べやすそうな菜の花から。
絶妙な火入れで崩れすぎずトロッととろける食感、菜の花のアクを感じる味わいも人参の甘みと噛み合いますね。
 
しいたけは、フィルムを開いたときそれほど香りを感じませんでしたが、
食べてみると、ぷるんとかわいらしい弾力で、やわらかく香っていました。
 
もっちりニョッキは、カットして断面をソースとよく絡めながらいただきます。
 
鯛は、脂が乗ってコラーゲン質を全体に感じる部位に当たりました。
 
脂が濃厚で大満足。
 
後半は香草も散らして。
 
ソースは鮮やかな色ですが、鯛・ニョッキ・しいたけは結構地味な見た目で、
何気なく菜の花が入っていることで、ビジュアルのバランスが引き締まっていたと思うのですけど。
またここで緑と、さらには淡い紫が入ることで1次元上にいったような華やかさになりますね。
 
ブッラータのときは黄色の菊でしたが、こちら用に色違いもちゃんと仕入れている辺りがさすが。
 
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ・ピカンテを添えて。
今回のチコリは、1番使用頻度は多そうなベルギー産。
 
ちょっと小振りながら丸っとしていますね。
 
今回は今までで1番と言っていいほど火入れが深くて、先端辺りなんかキャラメリゼされたような苦みが強めにビリビリ感じられました。
 
もともとほどくことのできなさそうな絡み方をしている複雑な味わいに、また意表を突かれる角度から1本線が加わった形。
でも、苦みに足を踏み入れすぎず、1つのアクセントとして受け入れられる範疇なので、世界観は変わらずに心地よくいただけました。
 
初il tramの方のリアクションが最も楽しみなのは、この1皿なのですよね♪
今回も驚き、満足していただけたようで。
 
牡蠣のラビオリ、シブレット。
ラビオリの中には鴨肉。
 
1皿に2つ分の牡蠣を使ったというソースからいただくと、牡蠣の味全体を「牡蠣らしい味」に寄せるように凝縮したような濃縮感。
お皿が出たときの牡蠣の香りはほのかだったのですけど、突然のこの力強さは、
いわば"壁ドン"を思わせるインパクトのある男前ソースですね。
 
ラビオリの中は、ミンチにした鴨肉に味と香草で強めの香りを付けたもの。
これ自体しっかり美味しかったのですけど、
正直ソースとの相性で書きますととちょっと鴨が牡蠣を食っちゃっていた印象かも。
 
いやしかし、楽しめるポイントが随所に散りばめられたパスタで、
1皿での完成度というよりコース全体で見たときの構成要素として見れば抜群だったと思います。
 
ピチ・アリオーネ。
手打ちの強いコシのある麺に、トマトソースのシンプルなパスタ。
 
お皿は今月から新しく使用しているという益子焼のもの。
トマトソースと合わせると"ハルジオン"みたいですね、などと盛り上がります。
 
たっぷりのペコリーノロマーノとカラスミも乗っています。
 
トマトソースは旨みが深い一方フレッシュな酸味も残っていて、かと思うと色味は少し煮込んだ感じにも見える・・・
不思議に思ってシェフに変わったホールトマトでも使ったのかとお尋ねすると、まさかの
 
「フレッシュなイタリアのトマトをまず干しまして・・・」
 
という回答。
 
麺は断面にすると中心から8割近くがコシなのではないかと思うほど"全体が弾力"な食感。
噛めば噛むほど味が出る麺と、深みと凄味のある麺。
 
イタリアンの経験値は全くないので僕が無知なだけかもしれませんが、
おひとりで全部回すお店でこの手の込みようにただただ愕然としてしまいました。

 
仔羊肩肉のロースト マスタード トリュフ 香草風味。
 
今月のお肉料理は、シンプルで力強いストレートな1皿。
 
赤身と脂身がグラデーションでつながったような仔羊の肩肉。
 
内側から弾けてしまうのではないかと見ていて不安になるほどの弾力感です。
 
たっぷりトリュフと、酸味が鮮烈にほとばしるマスタード。
 
相性の良さそうな組み合わせ、というよりは勇者、戦士、魔法使いという感じの、
それぞれの個性で力を合わせて強大な敵に立ち向かうパーティーといったところ。
 
ふはははは、かかってきなさい( ̄▽ ̄)
 
マスタードやトリュフとの相性も気になりつつ、まずはお肉のみでいただくと・・・
 
バチッと弾力からの、じゅわじゅわ滲む肉汁の味の濃いこと。
 
もうこのままお肉のみで食べ切ってしまいそうな勢いですが、マスタードやトリュフも試しましょう。
 
強弱で言うと「マスタード>仔羊>トリュフ」という感じで、取り合わせる量を調整しないと強者が弱者を食ってしまいそうな力関係。
 
ですが、バランスよく合わせると全く違った料理を出されたような感覚になる、破壊力のある魔法のような1品でした。
 
食後はコースに追加したハーブティーで落ち着きます。
(ランチにはミニデザートとドリンクが付きますが、ディナーコースにはドリンクが入っていません)
 
今月も料理、雰囲気、シェフ、あらゆる魅力を堪能させていただきました。
また次回はどんなお料理をいただけるのか、誰をお誘いしようかワクワクしながら考えています♪

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