おやつのこぼくさんから小走りでil tramさんへ移動。
ちょっとそこまで、という距離ですがそれでも少し汗ばんでしまうような季節になりましたね。
そんな春のメニューをいただきます。
もうすっかりハルトラムさんです。
ちょっと走ってきたので、ガス入りで喉を潤します。
スタートのズッパはフランス産のグリーンピース。
ミルクの泡を浮かべて、ナツメグを振ってあります。
日本的に言うと、吸い口でしょうか。
となるとこちらの形を残したグリーンピースはツマの青み。
小粒でほっくり甘いです。
スープになると甘さが鳴りを潜めて独特の香りが際立って感じられるのが面白かったです。
ナツメグはちょっと強すぎて、グリーンピースは飲み込まれてしまう印象でした。
グリーンピースのズッパだけで完成度が高すぎたのかもしれません。
出だしから春の香り満喫です。
フォカッチャをいただきまして。
続いて…お?見慣れない器が……
何でも1950年代に作られた多治見焼で、当時海外を見据えていたためオリエンタルッ気むんむんな仕上がりなのだとか。
まさか岐阜で海外向けに焼き上げられたこの器自身も、60年後に東京のイタリアンレストランで使われることになるとは思っていなかったでしょうね。
さて、さっそく蓋を開けると…
いつものブッラータでした。
今回のソースはバターナッツ、振りかけてあるのはカシューナッツ。
ナッツ×ナッツです。
バターナッツの甘みあるソースに、クミンの香りが相性良し。
シェフのストレートな野菜使いと、大胆なスパイス使いの効いた1品でした。
シェフは「春です」のひと言。
グリーンアスパラにペコリーノロマーノ、温玉。
そしてボッタルガ。
この辺りを上手い配分で、アスパラの合わせて食べ進められるかが重要なポイントでございます。
出始めだからまだ細めなのだそう。
確かに、最盛期はもっとずんぐりしますもんねえ。
アスパラは香りも淡め。
まだまだここからですね!あと2か月くらいは続きそうな気がするので、楽しみにしようと思います!
ハーブが用意されまして…
鮮魚のフィルム蒸し。
今月のお魚は平目とのこと。
平目はエンガワ付きにしてくださったとのこと。
ひよこ豆のソースにエンガワの脂が融け出して、強めの平目。
今月のキノコはハタケシメジというものでした。
普通のしめじより水っぽくなくて、いい香り。
毎月忘れがちなハーブ、今月ははじめからしっかり意識していただいていたので、比較的早めにドバッと。
il tramさんは、この時点で既にスプーンが下げられているので、ハーブはソースを拭いとるのに重宝するのですよねえ。
チコリの1時間ロースト。
今月のチコリは、ベルギー産。
内側がみずみずしく、表面に分厚いオイルの層。
油断して口に入れたら、油で火傷しそうになりました。
スッとナイフが入って、断面が綺麗に出たので思わず写真に収めました。
味は軽め、みずみずしい食感が印象的でした。
パスタは牡蠣のタリオリーニ。
チャイブをあしらってあります。
牡蠣のソースはこの時期の楽しみのひとつなのですけど、シェフ曰く「名物みたいな認識をされ始めていて期待されている」のだとか。
今月のソースは、やや緩い仕上がりのような気がします。
とはいえロングパスタにごっそり絡んで口いっぱい牡蠣が広がる、豪快ないただき方ができるのが醍醐味ですねえ。
今シーズンはこれで食べ納めかもしれませが、また今から来シーズンが楽しみです。
メインは大山地鶏のガランティーヌ。
去年の7月に登場したときは、モモ肉で胸肉と軟骨を叩いたものを巻いていましたが、今回は鶏の他に牛、豚のトリプルを巻き込んであるそう。
地鶏ということでゴリゴリに強い歯応えも覚悟していましたが、驚くほどふわっふわ。
油を使わずにコンフィで丁寧に火入れしたそうです。
仕上げにオーブンで焼き上げて、表面はパリッと。
負荷がかからない火入れなので、肉汁たる油を豊潤に抱え込んでいます。
すごくいい香り、すごくいい旨み。
il tramさんの隠れスペシャリテ、自家製フライドオニオン。
揚げ色を付けない丁寧な火入れ。
菊芋のピューレ。
このお皿は全体的に色が被っているのですけど、器も含めてなぜか華があるように感じるのですよね。
今回のお料理は、季節感的に言うと、冬メニューに春が入り始めたくらいのバランスでした。
またこれから目まぐるしく変化する季節を堪能させていただきたいと思います。