この日は最近伺えていなかった清澄白河の「il tram」さんの予約が空いているのに気が付いて、すかさず電話してみました。
緊急事態宣言中はしばらくお休みされていましたが、再開後は席数を減らして夜は2回転も営業されているそう。
もともとワンオペ営業で凄まじい仕事量でしたが、行くも地獄、行かぬも地獄といったところなのかも。
ブラッドオレンジジュース。
とりあえず変わらずお元気そうな姿を確認できてまずは満足です。
コース1皿目から、一番楽しみにしてきた夏の定番料理が登場します。
トマトと梅の冷製スープ。
トマトのソルベと大根のバジル和えがあしらわれています。
キンと冷えたスープはトマトと梅の酸味はもちろん、どっしり安定感のある旨みが印象的。
トマトそのもの甘さが弾けているソルベと、さわやかに香る大根が華を添えます。
何とも完成度の高い1皿。
いきなり大満足です。
久しぶりのフォカッチャ。
粉自体が、国産小麦特有の甘みよりも旨みとか香ばしさみたいな全粒粉のような味が出ていたように思います。
甘い味よりこういう感じの方がお料理に合っているように感じます。
定番のブッラータを使った前菜。
とうもろこしのソースとアーモンド。
上に乗ったコーンの粒は焼きが入っていて、アーモンドの香ばしさも加えると焼きとうもろこしにも近いイメージかも。
とうもろこしの甘みと合わせるとブッラータはヨーグルトのようなわずかな乳酸味が際立ちます。
アスパラガスのグリル。
ペコリーノロマーノ、温玉にカラスミ。
いつも長さのあるアスパラを大皿にドンと置いて提供するのが定番でしたが、今年は趣向を変えてカットしての提供になったようです。
自分でカットする回数が減ると、エキスを無駄に逃さなくていいような気がします。
さらにいうと、深さのある小さめのお皿にすることでソースも余さず絡めていただきやすくなりました。
まあ大皿でも最後はフォカッチャで拭い去ってきれいに食べ切るのですけどね！
夏の定番、シェフが「グルグル」と呼ぶお魚料理です。
魚はカマス。
かなり厚みがあるうえ、よく脂が乗っているのでこちら側にまで身が盛り上がっているのがよく分かります。
グリーンピースはイタリア産だったと思います。
小粒で味の濃いもの。
皮まで食べられて、ソースも作りやすいのだとか。
脂と厚めの皮目からカマス独特の味が強く出ています。
ソースも青みのある風味が濃厚。
ハーブを散らしつついただきます。
パスタに使うしらすの中に「しらすモンスター」がいたということで、「2皿目の魚料理です」と提供されました。
お店のスペシャリテ、チコリの1時間ロースト。
チコリはベルギー産。
1面を少しカットしてトリュフオイルを塗りながら焼き上げるのですけど、今回はカット面が比較的小さくてほぼ1つ使っているような丸々太った仕上がりです。
添えられたゴルゴンゾーラもいつもより水分が抜けて、状態のいいものだったように思います。
味がすっきり。
形が綺麗だったので断面を撮ってみたのですけど、とっても美しいことになっていました。
これは芸術。
しらすとキャベツのタリオリーニ。
手打ちのタリオリーニは若干太めにしたのだそう。
見た目はほぼほぼうどんです。
とはいえ食感はうどんほど主張が強くなくて、ソースの塩気と好対照に小麦の甘みが立った味わい。
やさしいやさしいパスタでした。
メインは豚ロースのロースト。
ソースはスパイスの効いたビーツとレンズ豆。
お肉は脂と身がくっきり分かれた部位で、身の旨さが際立ちます。
il tramさんのお肉料理は塩気抑え気味なので、「甘みが引き立つ」とかではなくストレートに肉の味を感じるイメージ。
ガシガシと噛みしめる食感もヨシ。
久々でしたが、変わらぬところと進化しているところと感じられて大満足でした。
また次はどんなお料理をいただけるか楽しみにしながらごちそう様でした！
