ちょっと時系列は乱れますが、早めに記録に残しておきたいネタを。
日本橋橘町 都寿司。
半年先まで予約が埋まり、毎月予約受付開始日には電話がつながらなくなるという超ド級の人気店。
今回はサバスキーででラムスキーな卵星人のあの方にお誘いいただき、訪問できる運びとなりました。
歓喜でございます。
たまたま同じ日にご予約されていたというレインコートの似合うこの方も一緒に和やかに賑やかにお食事させていただきました。
まずはサラッと突き出しのもずく酢が出てきます。
ゴリゴリしたお湯呑がどストライク。
驚くほどこまめにお茶を替えてくださいますが、そのつどゴリゴリ系が出てきました。
細く繊細なもずくに絡む出汁がやわらかく。
お酢の香りは最後のお楽しみ。
遅れてやってきて鼻先をかすめる程度で去っていきます。
お醤油とわさびが配されて、まずはツマミからスタートです。
お客さんによってネタを違えているのがニクい演出。
うーむ、この時点でまた来なきゃという気持ちが高まります。
青森の平目と北寄貝。
素材の煌めきが目に響きます。
北寄貝。
ワタの付いている面だけ軽く湯がくのだそう。
身は縮むことなくやわらかな弾力で最後の最後にコリッと反発。
甘い甘い貝の味が口の中に充満します。
平目。
とてもやわらかな口当たり。
意外に乾いた感じで舌に当たるのですけど、そこが逆にまるで赤ちゃんの肌そのもののようです。
噛み切るまでにかなり時間を要しますが、その間中溢れる旨みが口の中にたまる一方。
もうどうしましょ。
銚子の鰹漬け。
鰹というと青を帯びた深い赤のイメージがありますが、こちらはオレンジというか黄色みが差していますね。
生姜と浅葱を乗せて。
漬け醤油にはにんにくも効かせていたような。
食感はかなり緩く、もう2,3割増し長く漬けていたら醤油に融けこんでしまったのではないかというほど(笑)。
小樽の子持ち蝦蛄。
恥ずかしながら、子持ちをいただくのは初めてです。
想像以上に全体がハードな口当たり、力を入れるとポクッと崩れます。
ああ、こんなに卵が主張強いんだなと思っていた矢先、次第に身の味へシフトしていったかと思うと最後はそっちにズームイン。
この流れがグッときましたねえ。
知ってたらもっとよく味わったのに!
まあ知らなかったからこその、新鮮な感動がありました。
ウニは赤ウニとムラサキウニ。
色の濃いのが赤ウニだそうです。
多分上がムラサキウニ。
水っぽいと言われそうなほど緩い口当たりで、甘いとにかく、甘い!
赤ウニはそこに加えて旨み。
旨みが乗っかっている、というより深く深く旨みが広がっています。
知らなかったウニの味がします。
こちらは白海老のアタマを香ばしく焼いて、海老の味噌と混ぜて味付けしたものだそう。
甘み推しのものを想像しましたが、香ばしさも甘さもマイルドでした。
続いて焼き物は・・・、
赤むつ。
きましたのどぐろ!
そんなに大きなサイズではないのでしょうか?
でも見るからにすごい脂乗りです。
写真を撮るときあまり頭を使わないのですけど、こうして見ると皮目ばかりにピントが合っていますね。
いくら皮目好きとはいえ・・・無心になると本性が出ます(苦笑)。
箸をサクッと・・・!ああ!もったいない!
食べ終えた後にお皿に残った脂で、この赤むつの凄まじさを垣間見ることができましたよ。
ちなみに出てきたとき既に脂は落ち着いている印象でしたが、侮るなかれ。
アッツアツでびっくりしました。
ここで「握りに移りますか?もう少しツマミますか?」と聞かれますが、握りをお願いします。
ガリ。
季節によって少しずつ変化はあるそうで、今の時期は何はなくとも新生姜でしたね。
時期の新生姜を塩漬けにしておいて、後の季節に使うパターンもあるそうです。
素直な塩気がどーんと来た後、カッと短く酢が香ります。
小肌は佐賀だったかな?
小肌にしては厚みのある身を活かした浅めの〆加減。
シャリのやわらかさ!
それ自体が素晴らしいのはもちろん、ネタとの一体感が・・・月並みすぎる言い方ですけど、、、これかあ。
鳥貝は愛知だったかなあ。
一度水から熱湯になるまで火を入れて冷ました後、今度はワタの付いていた側を表面だけ湯がいて、酢を入れた氷水に取るのだそうです。
こんなに綺麗に剥かれた鳥貝は初めて見るかも。
火入れの妙で、やさしく膨らんでいます。
貝はとにかく甘いですねえ。
鰆は三重。
店内一様に大絶賛だったのは、纏った藁の香り。
ふわふわで軽くミルキーな脂。
そろそろ時期は終わりに近いそうですが、間に合ってよかった。
すみいかは東京湾。
ここへきてようやく「赤酢」であることに気が付きました^^;
搾った酢橘とちょこんと塩。
舌の両脇から取り巻くようにゆるりと流れ込む甘み。
なんだか印象的にブルーチーズに近いものを感じました。
佐渡のまぐろ。
赤身は漬けですね。
よくあるまぐろの三角の切り身のてっぺんの「てんみ」と呼ばれる辺りはこういう風に切り立てて、「の」の字に巻くように握って出すそうです。
こちらも同じまぐろの、大トロ。
脂は極々軽く、むしろ酸味が立っていました。
この時期ですから期待はしていませんでしたが、あえて「この時期らしい」酸味の立ったものを選んでいるそうです。
定置網のまぐろはどうしても酸味が残るそうですね。
面白いまぐろでした。
絶品とまではいかないものの、間違いなく収穫にはなりました。
鹿児島東町の鯵。
出水の釣り鯵とは違って、こちらは網で獲るそうです。
ややふにゃとへたったようなやわらかさで、青魚チックな味は弱いのですけど、脂の味が広がります。
決して脂が強いという印象ではないのですけど、脂が美味しいです。
ご主人によると、こちらも釣り方の違いで全く違うのだそう。
どちらが上、ということでなく、こちらは脂の甘みが段違いなのだとか。
身の張りでは出水が上だそうなので、食感にこだわりのある方は出水の釣り鯵でしょうね。
車海老。
大きくて色鮮やかなこちらは大分のものだそうです。
火の通し方のお話も聞くことが出来ましたので、マスターしたらこの方と仲良くなれるかも。
弾力や甘みが突き抜けるというよりは、究極にバランスがいい感じ。
食べていて気持ちがよくなります。
海老って個人的にはそこまで惹かれる食材ではないのですけど、これはすごかったです。
結局「おかわり」はしませんでしたが、最後まで悩んだネタでした。
金目鯛。
炙った皮目の格子模様が美しいですね。
口に入れてさらに驚いたのは、その皮目がパリパリッとクリスピーに仕上がっていたこと。
まろやかな脂が融け出す中で、ビターな香ばしさ、苦みを放ちます。
ウニ。
これは赤ウニだったと思います。
拳に拳を乗せたようなボリューム。
ウニが落ちるか落ちないかギリギリの戦いで口に放り込むと、緊張の糸が解けたように総崩れに。
ウニの知らなかった味、再びです。
「あとは穴子と玉子が出て、お椀で終了です。」とのアナウンスが入りましたので、追加で一貫。
真鯛。
これだけはいただきたいと思っていたのですけど、コースで出ませんでしたので。
これがなかったら海老にいっていたのですけどね。
お隣のお隣から「どう?」と感想を聞かれるものの、無言で頷くことしかできません。
今口を開けたら、多分僕泣きます(笑)。
白身の王様のような魚ですから弾力や旨みにやられることが多かったですけど、これは脂がすごかったですねえ。
穴子。
口に触れる一瞬前から味がし始めました。
香りが強いからでしょうか。
芳醇な香りはこれまたチーズを思わせます。
お椀。
もう終わってしまいますね。
貝の味が前面に出て、青白いですね。
甘さも、貝だけでここまで持っていけるものかと。
ここまでアドレナリン出まくりで、今夜眠れなくなるんじゃないかと心配でしたが、これは落ち着きますね。
玉子。
カウンターに座ったときから目に入っていて、食べたくて仕方なかったのですけど、ようやく最後に。
いやまあこれが〆ですから、早く食べたいような食べたくないような気持ちだったのですけど(苦笑)。
お店全体としての姿勢、お店の方ひとりひとりの気遣いがとても真摯で、心奪われた瞬間を挙げたらキリがないほど。
ネタはご主人の異常なまでに手をかけた仕込みによって驚くような方向性に魅力を爆発させていて、感情の高まりがこの上なかったです。
こういうことがあると、たまには夕飯も食べようかなあと思ったり思わなかったり。
僕みたいな素人でも十分に分かりやすい美味しさでしたが、もう少し「本当だったらこうなのに、こう」とか「普通だったらこうなってしまうのに、こう」とか、もう1ランク上のすごさが分かるとまた一段と幸せな気持ちになれそうですね。
勉強します。
今回はお誘いいただき、本当に、本当に、本当に!
本当にありがとうございました!
写真で振り返って、何度も幸せな気持ちに浸っています。