この日のランチは東銀座のイタリアンの予約を。
この時期の名物メニューが大人気で、シーズン内のランチの予約はほぼほぼ埋まっているのだとか。
クラッティーニ。
シェフの倉谷氏は石神井公園でお店をオープンさせてから25年以上を数えるベテラン。
今でこそ珍しくない「フルーツの冷製パスタの元祖」とも言われる倉谷シェフのスペシャリテをいただいてみたかったのですよね。
ランチは細かく時間を指定して、ざっくり2回転営業されていたようでした。
僕は13時半の予約で「ちょっと遅めで来てください」と指示を受けました。
カウンター席に着席。
客層はお若い方から年配の方まで様々ですが、多くが女性。
オーダーを取り始めると、面白いように全員が「Aコースの桃パスタ」を注文。
9割以上のお客さんはその組み合わせだったと思います。
僕もそれです。
お料理が来るまでパスタの選択肢を眺めていましたが、桃以外もかなり魅力的。
オペレーション的には、完全に「桃パスタシフト」で営業されていましたが、これだけ魅力的なメニューを揃えていらっしゃるところにシェフのパスタへの情熱を感じます。
まずは農園野菜の旨みズペッタとフォカッチャ。
フォカッチャは温め直しが過ぎるのか、クラストがバッキバキに固くなっていました。
この日のスープは「玉ねぎとジャガイモとごぼう」とのこと。
この手のスープで「玉ねぎ」とメニューで名乗る必要は特にない気がしますが、ベースはジャガイモのポタージュでしっかりゴボウの香りが主張していました。
地味野菜のインサラータ。
誤字なのか造語なのか分かりませんが、メニュー名がこうなっていました。
細々と仕事のしてある前菜盛り合わせですね。
生ハムの下にはバナナ。
手前はカルボナーラっぽい見た目ですが手打ちパスタのマヨネーズ和えなのかな。
グリルしたズッキーニとごはん。
チェリーモッツァレラとカポナータ。
フリッタータは表面に海苔。
リーフサラダの下には蒸したジャガイモなど。
味付けはボヤけっぱなしでしたが、品数豊富で野菜多め、女性に喜ばれそうな1皿でした。
パスタのラインナップも多くて仕込みが大変そうだなあと思っていたのですが、さらに仕事量が心配になりました。
僕は1人だったのでサクサクと食べ終えてしまいましたが、パスタ提供は一律スタートのようで少し待ちました。
結構な人数の桃のパスタを一斉に作っていらっしゃるようなのですよね。
冷製パスタということで、フォークとスプーンもキンと冷えたもの。
先に「パスタへの情熱を感じる」と書きましたが、もちろん冷製パスタへの並々ならぬ「冷たい情熱」もひしひしと伝わってきました。
冷たい桃のスパゲッティーニ。
Aコースは2000円ですが、桃のパスタを選択すると+500円とのことでした。
細めのパスタ「スパゲッティーニ」を茹でた後サッと氷水で〆て、オイル・塩・フレッシュなトマトのソースで和えたもの、桃の果汁で和えたものの2種をお皿の上で合わせていたように見えました。
お店のブログで「白鳳」と「あかつき」の入荷が報告されていましたが、2種使われているのでしょうか。
だとすると、白い果肉が「白鳳」で、赤の入った果肉「あかつき」なのだと思います。
桃は、果実としてベストのタイミングを過ぎたくらいの崩れ始めたやわらかさのもの。
甘みや香りは峠を越えてしまっていますが、パスタとの一体感を考えるとこれくらい瑞々しい方が向くのかも。
かなり強めに塩をしてあるので、「ただ甘い」という印象に陥ることもありませんでした。
パスタは、フレッシュなトマトの酸味の鮮やかな香りでさっぱり。
かなりシンプルな仕上がりでしたが、ほんのりで香りに広がりのあるところがこれだけの人気メニューになった所以なのかも。
勝手にカッペリーニを想像していので、スパゲッティーニだったのにはちょっと意表を突かれました。
でもこれくらいパスタに存在感があっても問題なく桃が群を抜いて目立っていましたね。
薄めにスライスされた桃でしたが、たっぷり盛り付けられているので重ねて頬張ればかなーり満足感アリ。
カットされる様子をカウンター越しに目の前で見ていましたが、やっぱりシェフが1番お上手で、ひとによって差が大きいように見受けられたので、
その辺りは運次第かもしれません。
デザートはアールグレイのパンナコッタ。
ドリンクはCafe FACONの豆を使っているというエスプレッソがオススメだったかもしれませんが、紅茶をチョイス。
なるほどと感じるアールグレイの香り。
クリームでネットリこってりしたパンナコッタですね( ゚Д゚)ナンテコッタ‐
底にはカラメルソース。
パンナコッタには珍しいような気もします( ゚Д゚)ナンテコッタ‐
デザートは何が出てくるか知らなかったのでダージリンでお願いしましたが、紅茶がダブってしまった…(K独のグルメ・Gローさん風)。
まあまあのプラチナシートを押さえて、気になっていたメニューをいただくことができて大満足でした。
桃のパスタは「美味い」の前に「上手いなー!」という感じ。
シンプルに、見た目に華やかに、旬の桃を贅沢に味わうことのできる1皿。
特にこの「シンプル」っていうところが効いていて、変に凝った造りにしてしまうと桃を期待する客にとっても、ランチタイムを効率よく回転させたいお店にとっても損するだけ。
そこを分かって上手いところを突いているなーと思わず唸らされました。
そういう意味では、味を突き詰めて追究したタイプではなさそう。
でもとても興味深かったです。
また別のパスタや、別のフルーツを使った冷製パスタを食べたくなったときに伺おうと思います。