お昼は気になっていた乃木坂のフランス料理のお店へ。
女性シェフによるクラシカル寄りなお料理がいただけるということで、興味を惹かれていたのですよね。
お料理は月替わりのコース1本。
メインのみ選択制。
ドリンクはシェフ自らが考えるというノンアルコールペアリングでお願いしました。
バジル、ジンジャーエール。
見た目はモヒート。
基本的にはジンジャーエールなので、単体で成立しているドリンクですね。
鹿の生ハム、スパイスと黒胡椒を効かせたサブレ。
鹿のリエット、スパイスのクッキー。
雑味を削ぎ落したように純粋に旨みを凝縮させた生ハムと、油分で厚みの増した味わいのリエット。
旨みの強いジビエですが、ドリンクでさっぱり、さわやかに食べさせてくれます。
自家製のブリオッシュ。
中はバターリッチで、ふんゎもちっ。
単体で十分味わいのあるパンですね。
バターとお塩。
ブリオッシュにはバターはさすがに不要ですが、この後全粒粉のパンもいただけたので、そちらで活躍してくれました。
前菜は、鰹とソッカのミルクレープ。
「ソッカ」というのはひよこ豆の生地のことのようなので、鰹と一緒に重ね合わせてあるということですね。
そっかそっか、そういうことか。
キンキンに冷えていない鰹は生臭みが立ってしまったりしますが、酸味のあるソースがささっとカバー。
鰹の爽やかな香りを、生地の素朴な香ばしさが受け止めつつ、爽やかさも残す重層的な味わいでした。
カラフルなデザート風のビジュアルですが、線が細くなくてどことなく雄々しさを感じる仕上がり。
パンやケーキのお店でも結構感じるのですけど、女性シェフの作るお料理って案外力強さの方に寄っているところが多いような。
ジャスミンティー、ライチ。
味よりも風味、香り自体は結構近いところからライチの甘みとジャスミンティーの苦みに開く感じ。
合わせる魚料理は、カサゴのバリグール風。
バリグール風が何か分かりませんでしたが、
「ベーコンや野菜で香りを付けてアーティーチョークが入っていたら大体バリグール風と言っていい、と聞いています」
と"丁寧に"説明していただけました。
ちょいちょい面白いです。
ちょっと例がないくらいバリバリに仕上がった皮目。
「だからバリグールなのか」と思いつついただきました。
ベーコンの脂の加わったスープを、ドリンクですすぎます。
パプリカ、オレンジ、グレナデン。
グレナデンはザクロのシロップ。
基本、重みのあるパプリカ全開のドリンクですが、オレンジとグレナデンで酸味や甘みを整えてあります。
カエルのロースト エスカルゴのラビオリ 土のソース。
メインは2品からのチョイスでしたが、追加料金でこちらに。
「エスカルゴはカタツムリみたいなことなので、"カエルとカタツムリ"です」
というご説明がありました。
珍しくチャレンジングな注文をしてしまって、雨が降りそうですね。
沼地のカエルをイメージしていらっしゃるそうです。
カエルのローストとエスカルゴのラビオリ。
緑のラビオリはエスカルゴということでパセリでしょうか。
中にぷりっとエスカルゴ。
カエルはフランス産。
やや小振りで、ぷよんとやわらか。
以前カンテサンスでいただいたものは、筋肉質で鶏肉のような印象だったのですけど、結構違っていましたねえ。
土のソース。
実際は香り高い茸のソース。
茸はアンズダケ、トランペット。
ゴボウのフリット、レンコンのキャラメリゼ。
この辺りこそ土っぽい食材ですが、調理でそれを感じさせない仕上がりに。あまのじゃく。
パプリカのドリンクは、土っぽさと合わせると青っぽい風味が立ちつつ鮮やかな甘み。
甘酒ミルクセーキ。
組み合わせ的にちょっと身構えましたが、甘さはあまりなく、ふんわりした飲み口。
「日本の酒の共演」。
九重桜みりんのジュレ、甘酒のエスプーマ、梅酒のソルベ。
どれもほのかながらいい風味で、3種の食感が楽しいです。
ドリンクも合わせて、もう少し香りにメリハリがあるとよりよかったようにも思います。
金木犀の香りのハーブティー。
ハーブティーにも数種類の選択肢がありましたが、シンプルに金木犀の香りが好きなのでこちらに。
包みで隠されたミニャルディーズ。
「中身は食べて当ててみて下さい」
とのこと。
何だろう?とワクワクしながらいただくと、基本はガナッシュみたいなことだと思いますが、表面のコーンのお菓子みたいなのは何でしょうか…。
てっきり分かりやすい何かがイメージでいただいたのですけど、少しモヤモヤしながら食べ終えました。
最後にシェフともお話できましたが、気さくで愛嬌のある方で楽しかったです。
伝統的なものを、ご自身なりに再構築するバランス感、金額の中で最大限にエンターテインメントに昇華する工夫。
楽しんでコースを考えていらっしゃる様子が素敵でした。
またお邪魔したいと思います。
ごちそう様でした!