お昼は月1訪問の清澄白河「il tram」さんへ。
席に着くなり早々にシェフが、
「今回はひとつお詫びしなくてはならないことがありまして…」
ということで、ふむふむ穏やかじゃないですねと伺ったところ、
発表していたメニューではメインが「仔羊」だったところが、用意できず鴨になるとのこと。
「鴨になるカモ、ということですか?」
「鴨になります。そこは確実です」
という会話があったというのは冗談ですが、何か仕入れが上手くいかなかったようですね。
このサイズのロウソクは初めて見た気がしますが、「前からこれだった」とのこと。
はて、ランチタイムは置いていなかったりしましたかね…見覚えがない……。
メニューは変更してありました。
ではでは、コーススタートです。
フォカッチャはペースを守りながら…。
聖護院大根のズッパ 豚タンとホウレン草のテリーヌ。
前々月のズッパに入ったテリーヌは表面に出ていなかったので、このパターンは新鮮。
パストラミハムのような豚タンとほうれん草が交互に重なったテリーヌ。
聖護院大根の青っぽさと柚子の香り。
右奥の緑の演出は、聖護院大根の葉っぱだそう。
複雑に香りの重なったズッパでした。
ブッラータ 空豆 ヘーゼルナッツ。
今回はブッラータが"キャンセルが出た分盛り"になっているそうですありがとうございます。
ソースはヘーゼルナッツとレモンの香り。
ソースは空豆。
ブッラータを定点にソースの抑揚を味わうので、逆にブッラータの違いを楽しむような感覚。
今月は酸味が強調して感じられました。
真鯛 金時人参のすり流し 大黒シメジ ニョッキ。
左手でフィルムの上を持って持ち上げて、右手でリボンを引いてほどきます。
それで持ち上げたままトントンと勢いを付けると破れずに開ける、気がしたりしなかったり。
金時人参は見た目のわりに穏やかな香り。
大黒しめじと真鯛がンマイですね、いつもながら。
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ・ピカンテ。
ベルギー産のチコリ、小振りでよく膨らんでいます。
キャラメリゼされた表面こそ、チコリとトリュフオイルの香りが甘みと苦みに凝縮して強い味になっていましたが、水分の多い個体だったようで全体的に味のボリュームは軽め。
こうなるとゴルゴンゾーラもやや強く感じますね。
今年も12皿いただけますように。
安納芋 フェンネル ラビオリ。
パスタに入ります。
ソースはあまり甘さを出さずに安納芋が香ってちょっと不思議。
ラビオリをカットすると肉汁がソースを侵攻いて、ガラッと印象が変化します。。
カリフラワー ボッタルガ タリオリーニ。
カリフラワーとカラスミはそれぞれよく使われる食材ですが、組み合わされるのは案外珍しいかも。
角度を頑張ればカレーライスに見えるかも!と色々試しましたが、これが限界でした。
カリフラワーのソースはほぼほぼベシャメルのようなコッテリ感。
丁寧に煮詰めた賜物なのでしょうか。
白もキレイに出ていますしね。
せっかくの純白をからすみ色に染め上げながら、巻き上げながらいただきます。
マグレ鴨 マッシュルーム。
そして問題の(?)鴨。
「続いてしまうのでちょっと奮発していいやつ入れておきました。65さんキレるといけないので」
いやいや、キレるかどうかは食べてみないと分かりませんよ(^^)
いやしかしいいロゼ色が出ていますね。
これはいいカモ。
マッシュルームはソースとフレッシュと。
パプリカで香りに色付け。
鴨肉は、じっとりときめ細かい身が口どける食感というイメージでしたが、こちらははっきり肉。
肉々しく肉。
とにかく肉。
見た目に負けることなく味も鮮やかで濃いもの。
そして脂も立派。
「焼き色も素晴らしいですね」とお伝えしたら、
「これくらい火を入れちゃっても脂が負けないんですよ」
とのこと。
なるほど、焼き色の良さというのはモノ自体の良さも関係してくるのですね。
というわけで美味しい"鴨"をいただくことができました。
季節のお野菜を軽やかに、香り高く堪能できるil tramさんらしいコースでした。
今年も1年またよろしくお願いいたします。