この日のもう一つの目的地はこちら。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ。
「セーヌに雨は降る」という意味の店名。
看板には「日本一おいしいフランス菓子の店」と書かれています。
それだけ聞くとただの「クセのある店」のようですが、「日本一」を掲げて恥ずかしくないクオリティを保たなければならないプレッシャーを自らにかけているかもしれません。
開放的な明るい店内は品数豊富。
清潔感のあるイートインではおしゃれなマダムがランチ中でした。
お店の向かいでは菓子作り教室も運営されています。
というわけで店内には、
「ホントに、おいしかったでしょう!!これと同じおいしさのお菓子が、貴方にもできちゃうんです。あの、向かいの教室で。ホント、ホントにですよ。」
やっぱりちょっとクセはありそうです(笑)
ブラン・マンジェ(945円)。
せっかくなのでイートイン限定のデザートを。
さらりとしたカスタードクリームのような感じですね。
やや渋みのある白。
つるんとしてやわやわ。
すーっといつのまにか消えていく淡い舌触り。
一方でアーモンドの香りは濃厚。
アーモンドクリーム、アーモンドパウダーのようにアーモンドのコクや風味がよくて好きなのですけど、これほどはっきりとアーモンドを感じるものって少ない気がします。
ソース・アングレーズはお酒っぽさはありませんが、後に残る香りがとてもさわやか。
んーもう少し価格が下がると食べやすいですけど。
しかし細部にまでこだわって作られているからこそのこの値段なのでしょうね。
なめらかな食感と濃厚な風味とさわやかな香り。
まさに絶品でした。
アンガディーネ。
サービスでくださいました。
ネッチリしたヌガー部分が味わいも食感も濃厚なヘビー級。
公式ホームページを見ると「ちょっとした生地の焼き具合、ヌガーの焦がし具合の違いに、私の罵声が厨房スタッフに浴びせられます。」とシェフの言葉が書かれてあります。
いやでも本当に他店のものに比べても、お!と惹きつけられる魅力がありますよ。
フィナンスィエ(250円)。
「フィナンシェ」ではなく「スィエ」です。
右奥に「スィエ」が少し写っています(笑)
キッチリ焼かれているように見えますがふわっとした食感。
口に入れた瞬間にバニラの香りがグンと広がります。
バターの香りも差し置いてバニラが前面に主張していて、「バニラのお菓子」という感じでした。
ガトーバスク(500円)。
表層がやや薄めでしょうか。
サクッと軽く砕けるところから始まってほろほろとろとろとほぐれていきます。
最後に舌がたどり着いたカスタードクリームはさらりと軽い風味。
勝手に「ガッチリ焼き!」「濃厚風味!」のものを想像していましたが、穏やかな食後感の一品でした。
クロワッサン・オ・ザマンドゥ(400円)。
たっぷり塗られたあんずジャムがインパクト大です。
食べてみると・・・意外に甘くないですねー。
クロワッサンオザマンドって粉糖をこれでもかというほどかけてあるものが多いので、むしろ甘くない方かもしれませんね。
甘酸っぱいあんずとアーモンドのコクがよく合いますね。
食感もシャクシャクしっとりで、少し弾力のあるブリオッシュのようでもあり。
味的にも食感的にも面白いですし、素直に美味しかったです。
クロワッサンオザマンドでやる必要があるのかは分かりませんが、なかなか手の込んだパンでした。
タルトゥ・サンチャゴ(315円)。
こちらはアーモンドと松の実のクリームを焼いたタルト。
松の実って少し珍しいでしょうか?
素朴な滋味深さが強調されたような味わいとホロホロな舌触りがよかったですね。
クリーミーなタルトもいいですけど、こういうの結構好きです。
全体的に値段が高めですが、その分こだわりの詰まったお菓子が楽しめるお店です。
素材や工程にこだわっているわりに生ケーキのカットの仕方がちょっと雑で、そのせいかあまり惹かれませんでした。
食べたら美味しいのかな。
クセはありますが、素敵なお店でした。