四条をずーっと進み、鴨川を越え、花見小路通へ。
少し行ったところを左の路地に入ったところ。
本日のランチのお店でございます。
味ふくしま。
「御料理 はやし」で修行された料理長が腕を振るう、2013年4月オープンのお店です。
料理長のお名前は「辻」さんで、「福嶋」はお店を経営するお茶屋さんの名前だそうです。
ランチはお弁当(4200円)のみ。
ちゃんと事前に予約しての訪問です。
基本的に思い付きで歩き回って食べ歩く予定でしたが、グダグダで終わらないためにこの日の昼と夜はちゃんと予約をしてあったのですよね。
箸置きが涼やか。
笹?は初夏の気もしますが、涼やかで目に優しいことには変わりありません。
こういった正統派日本料理のお店は季節を踏まえて趣向を凝らした器のチョイスも楽しみですね。
温かいお茶をいただきます。
「お弁当」ということでしたが、何品か出るようです。
先付に帆立と芋茎、梅肉仕立て。
散りばめられたお花が華やか。
帆立は炙りかと思いましたが、しっかり焼き物になっていました。
ウェルダンですね。
ギューッと噛みしめると帆立の繊維質の隙間という隙間から甘みが出ますね。
ジュキジュキと水分をたんまり含んだ芋茎。
イメージより澄んだ色をしています。
梅肉の爽やかな酸味を芋茎の水分でマイルドに。
帆立の甘みがやや勝つようなまとまり方です。
続いて御椀。
鱚とたたきオクラの吸い物。
口に含むと塩気はスンと控えめ。
味を探して鋭敏になった舌に絡みつくようなお出汁。
美味しいお出汁って絡みつくのか・・・と錯覚しかけましたが、これが「たたきオクラ」ですね。
御椀全体に変化がないほどささやかな粘度です。
吸い口はかぼすでツマは三つ葉でしょうか。
大好物の鱚をほろっと崩すと内側に忍ばせてあった刻まれたオクラがぶぁっと広がりました。
鱚の「味」が濃いのも意外性ありでした。
造りはヨコワのたたき。
ヨコワは藁の香りを付けてあります。
提供する直前に藁焼きにして出されます。
目の前で、ちょっとびっくりするほどポン酢をかけられました。
やはりポン酢の味が濃く、盛られた薬味の水分と薬味が少しずつ後味を爽やかにフェイドアウトさせていき、最後にヨコワの脂がじゅんわり口に残ります。
ヨコワってこちらのお魚?と思いましたが、クロマグロの子供、要するに「メジマグロ」の別名のようですね。
案外しっかり火が通っていてぶりんとした食感になっていました。
非常に強い脂を持った魚を爽やかに仕立ててありました。
揚げ賀茂茄子に蟹のあんかけ、こちらは「揚げ物」でしょうかね。
見た目揚げてあることがはっきりとは分かりませんが、口の中でとろけるのと並行して揚げ油の甘みのあるコクが流れ出ます。
揚げ賀茂茄子の食感に心躍り、油のダメ押しに胸ときめくことこの上なしです。
蟹身がチロチロと舌に触るしっかりとした感触を持っています。
対して蟹の風味はあまり強くないかな。
ようやくお弁当に到達。
目の前で詰められていく他のお客さんのお弁当を散々見ていたので、内容に驚きはありませんが、目の前に置かれるとテンションが上がります。
内容はこんな。
一口ずつ豊富なメニューを楽しむことができます。
素敵。
野菜、肉、魚、ふんだん。
さっぱりしたものに、
ずっしりしたもの。
それぞれ熱々、ひんやりといった絶妙なコンディションで提供されるわけではありませんが、そこに味があります。
甘くない出汁巻きをいただけたのも大満足でございました。
水物はシャインマスカットと白ワインでコンポートした桃。
涼し気のジュレかと思いきや、氷が配されていました。
甘みといい、食感といい、香りといい、質の良いそして品の良いものですね。
いいです。
カウンターではお若い板さんが手際よく愛想よく調理、盛り付けを進め、接客ははんなりとした芸妓さんが楽しませてくださいます。
唯一残念だったのは、僕がこちらのお料理を味わうのはまだまだ早かったこと。
美味しいのは分かっても、それ以上進むことのできないもどかしさ。
そりゃあいい素材を使っているでしょうし、いいお出汁をお引きでしょうし。
そんなの伺う前から想像付いていたことなのに・・・、ただ美味しい美味しいといただくことしかできませんでした。
返り討ちに遭った経験も自分の成長材料にして、また時間を置いて力試しに伺いたいと思います。