lockandgo65

美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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富ヶ谷の「ルヴァン」でイングリッシュ・ローフ、コンプレ25。

8月11日(金)、山の日ということで祝日だったこの日。
金曜日ですが築地もお休みということで、どうしたものか。
 
色々検討しましたが、とりあえず朝はパンを、パンパパンを買いに行くことに。
 
電車と散歩を組み合わせてやってきたのは、富ヶ谷の老舗ルヴァンさん。
ときどき来ていますが、あまり記事にはしていないお店ですね。
 
量り売りなので、価格は目安程度にご覧ください。
 
イングリッシュ・ローフ(420円)。
いきなり紹介するのがル・ヴァンさんらしからぬ「白いパン」で恐縮ですが、このパンすごくよかったのです。
 
パリッとして、ムチッ。
少し厚みのあるクラストは噛み応えがあり、噛むたび旨みが増えていきます。
 
見た目より密に詰まって、しっとり口どけのいいクラム。
 
白いパンだったのでどうなるのか恐る恐るいただきましたが、天然酵母らしいエッジの効いた酸味がガツン。
なたね油とハチミツを使ったという生地が、しっとり口どけながら乳化するようなイメージ。
油が甘みと融けあうのに続いて酸味も捕まえて、ひとつの味に。
甘酸っぱいとも、ヨーグルトっぽいとも違う、マイルドな酸味になるのですよねえ。
 
これはちょっと驚いてしまう味わいでした。
 
コンプレ25(320円)。
中力粉に全粒粉を25%の配分で加えた生地。
 
まだまだ淡い方ですが、ほんのりルヴァン色に色付いていますね。
 
ムチムチの表面は粗挽きの全粒粉がプチプチ。
存在感のある凹凸ですが、全体との馴染みもいい。
 
自家挽きだそうなので、試行錯誤の結果割り出された粗さなのだと思います。
 
ボソッとしていますが、保水も多くて口馴染みは悪くありません。
 
意外とこちらの方が酸味は穏やかに感じられました。
全粒粉の香ばしさに注意を逸らされてしまうのかも。
 
こちらのお店は、国産小麦ながら粉の味がいいこと、天然酵母という"自然"のものの手綱をしっかり握って見事に味をコントロールしていること。
このところ改めてその非凡さに呆然としながら種々のパンを食べさせていただいています。
 
近年「天然酵母の店」ってすごく増えていますが、そこを売りにされるのってちょっと違和感を覚えるのですよね。
キーキー黒板をひっかくようなバイオリンの演奏をした人が「これ、ストラディバリウスなんで」と言ったとしたら「だから?」と思うか、あるいは「もったいね」と残念な気持ちにさえなりそうだと思うのです。
だったら「安物のヴァイオリンですが」と葉加瀬太郎が「情熱大陸」をかき鳴らしている方がよっぽど聞きに行きたくなりそうで。
 
ちょっと例えが過ぎたかもしれませんが、要するに天然酵母を「美味しい理由」ではなくて「味でアピールできないのを補う要素」にしている感じがしてしまうという。
そういう意味でこちらのお店は、何も聞かないで食べたら、
「え!何この味!」
と食べたことのないシンプルで複雑な味わいが気になってしまって、「天然酵母だよ」と聞いて初めて「天然酵母すごい!」と思えるような。
 
当たり前のことなのですけど、魅力的なパンを作っているなあと感じさせられるお店です。

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