「上生菓子」というものをほとんど食べた記憶がなかったので、このままでは日本の文化が廃れてしまう!と思い立ち、勉強させていただく想いで一流のお店に。
やってきたのは茗荷谷。
四谷三丁目からなので比較的近かったです。
一幸庵。
世界的に評価を受けていて、海外からパティシエがご主人・水上力氏の技を学びにくるほどだそう。
積極的に国際的なイベントに参加されていたり、情報発信を行っていらっしゃるようですね。
インタビューなどを拝見しているとよく強調されているのは和菓子を「守る」ということと、西洋菓子に負けないように「攻める」ということ。
洋菓子の要素を取り入れたナンチャッテ和菓子が流行ってきていたりしますが、それではいずれ「侵食」されて和菓子はなくなってしまうと。
お店に入った感じは「ちょっといい和菓子屋さん」くらいの雰囲気なのですが、接客は自然体ながらとても行き届いていて素敵なお店でした。
たまたま他にお客さんのいないタイミングだったので丁寧な説明をしていただいて選んだお菓子は…
この3つ。
ちょうど夏と秋の入れ替わりの時期ということで「これはもうすぐ終わりますね」などと教えていただきながら選びました。
秋草。
種類としては「きんとん」、粒あんを芯にして、外に着色したそぼろ状の白あんを付けてあります。
大粒の大納言が宝石のようにキラキラ輝いた粒あんがとても印象的。
萩の露。
夏の定番、葛を使ったお菓子。
中は道明寺でこしあんを包んであります。
淡い色でポソポソして見えるこしあんはきめ細かくなめらか、気を抜くと見逃しそうな口どけ。
道明寺特有の食感は間接的にしか当たっていないものの、窓ガラスを打つ夏の雨のように思わずしばし意識を持っていかれる静かな存在感。
葛は思ったよりも緩い口当たりでしたが、他の要素と絡みながらキラキラと輝きを付け加えて、夏の思い出を美化するよう。
水羊かん。
こちらも夏のド定番、そろそろ終了とのことで。
灰汁を十二分に抜き 水が透き通るまで晒した漉し餡臙色でもない 紫色でもない 小豆色自然と職人の技とで作り出す天然色"小豆色"和菓子の最も基本色 一番大切な色 一生の色この色をお届けしたい切ると光が滲み出し数時間で台形になってしまう果無い矩形盛夏にひんやりと冷たく あっさりと甘く 喉を通る水羊かん透けるような小豆色をご賞味下さい
ご主人の思い入れを感じる紹介文が添えられていました。
跳ね返り、歯応えはあるものの食感の印象はとにかく「果無い(はかない)」。
角に歯を当てるとスーッと入り、面は舌を優しく重く押し返す。
全然関係ないですけど、野菜の下ごしらえの「面取り」ってこういうことだなと改めて感じました。
というわけで、ほぼほぼ初体験の上生菓子。
大変興味深くいただきました。
読んでくださってお分かりかと思いますが、和菓子についてはとかく知識がない。
さらに、基本的には餡の味で大きな変化がない。
したがって食感や印象の感想に終始して、完全にポエムになってしまいます(笑)。
和菓子への好奇心が強くなったので今後少し和菓子ネタが増えるかもしれませんが、そのお覚悟でお読みいただければと思います。
読む方も恥ずかしいでしょうが、書く方はもっと恥ずかしいということをご理解ください(/ω\)テヘ