お昼はil tramさんに今年最後の訪問。
月イチで変わるメニューを、無事に12カ月いただくことができました。
「風で外の看板が外れて落ちて壊れてしまったから新しくしたんですよね」
などと近況報告をしていただきながら、飲み物を注文。
お水はガスなしにしました。
そしてまず最初に出てきた1品は…、
新しい器。
お皿だけではなくてこの手の壺型の器が入ると、目線が動かされて食事に"動"が出る感じがしますね。
パルミジャーノのクロッカンテに、蕪の葉のパウダー。
パルミジャーノ独特のクセがギュッと詰まっています。
聖護院蕪のズッパ。
ちょっと青みも残した甘さが蕪らしさ。
とろみはお米でしょうか。
クロッカンテが器の蓋になってしまっていてどこかに避けなければならなかったので、四つ折りにして角に置いていたらシェフに
「すごいバランスですね」
感心されてしまいましたが、他にどうしようもなくないですか?(笑)
自家製のフォカッチャ。
よくよく考えると、ワンオペ営業で毎回フォカッチャを焼くのってかなり負担でしょうねえ。
生地だけでも、他に手打ちパスタ2種まで仕込んでいらっしゃるわけですしね。
ブッラータを使った定番の冷たい前菜。
ブッラータは、モッツァレラと生クリームを、さらにモッツァレラで包んだフレッシュチーズ。
今回は紫芋のソース、素揚げした胡桃、ディル。
胡桃は揚げると渋みが消えて、食感が保たれますね。
油のコクが増す感じ。
紫芋はほのかな甘み。
オリーブオイルのピリッとした辛みもとても印象に残りました。
チコリの1時間ロースト ゴルゴンゾーラ添え。
スペシャリテのこちらは、最近ではお皿に"フザけた落書き"をするのが定番になっていましたが、今回は忙しくて手が回らなかったそう。
「フザけたい…ああ……フザけたい」
と仰っていました。
今回は瑞々しさが印象的で、焼き色はしっかり付いていますが、香ばしさよりもチコリ自体の水分の風味が強く出た仕上がりでした。
シェフは、チコリの個体差を感じてもらうためにあえて焼く温度、時間を変えずに毎回調理していらっしゃるそうですが、確かに毎回チコリの個性を感じられて興味深いのですよね。
鮮魚のヴァポーレ、金美人参、大黒しめじ、ニョッキ。
今回のお魚は真鯛。
鯛はとろんとした脂の層の付いたイイ部位。
ソースにお魚の出汁が移っているのを、分かりやすく感じることができます。
金美人参は土っぽい人参の香りがしっかり残ったもの。
自分で散りばめたハーブ。
センスがいいかどうかは別として、さわやかで華やかになりました。
特にコリアンダー、ディル辺りが効いていると思いますが、風味もガラッと変わります。
トリュフとマッシュルームのラヴィオリ。
ラヴィオリの中は豚肉。
マッシュルームのソースにフレッシュなマッシュルームのスライス。
最後にトリュフで太っ腹仕上げ。
土気はありつつ華のある香り。
ピチ シシリアンルージュ ボッタルガ。
ピチは卵を使わない手打ち麺で、ほぼさぬきうどん。
ほぼさぬきうどん、コシが強いというよりほぼコシな食感です。
シシリアンルージュは甘さは少なく旨みの強い品種。
加熱すると酸味もしっかり出てきますね。
フランス産鴨胸肉のロースト。
ソースはカシスとバルサミコ酢。
ちょっとベタッとして、伸びのいいソースです。
鴨肉は、ハツに近いようなザックリした食感で、ホルモンを思わせるザラッとした口どけ。
きめ細かく広がる旨みもレバーなんかに寄った印象です。
旨みの渋い鴨肉に、キュンと甘酸っぱいソースを切り裂くのは、強い辛みの生胡椒。
「結構辛いのでちょっとずつお使いください」
とのことでしたので、言われた通りちびっと使いましたが、確かに結構インパクトのある刺激でした。
食後には珍しくエスプレッソを追加。
1年の〆なので最後まで満喫させていただきます。
LAVAZZAの120周年記念のカップ。
4種類くらいあるカップから一番地味なものを選びました。
分厚いクレマの層がクリーミーで飲みやすいエスプレッソですね。
グビグビッと飲み切って、今年もごちそう様でした。
こちらは話に挙がった新しい額縁のようです。
2019年はこれを12回見ることになりますかね。
1年間楽しい時間をありがとうございました。
来年もよろしくお願いします!