さて、この日はコーヒー屋さん巡りをしようと心に決めまして。
早い時間から開いているお店へ、ということでやってきたのは南千住。
自家焙煎珈琲屋 カフェ・バッハ。
言わずと知れたコーヒー界のレジェンドのお店。
創業50年を超えますが、さっぱりと清潔感のある店内に古き良き「喫茶」を感じさせるカチッとした制服が素敵です。
店内はご近所の常連さんと思われるみなさんがモーニングのトーストをお召し上がり。
さすがズラリと豊富なメニューが並んでいますが、「pp」の表記は何の略なんだろう…、矢印と色のグラデーション的に「焙煎度」のことなのだろうけどちょっと分かりにくいかな~と思いきや。
「深煎り」側は「ff」。
…おお!なるほど!バッハだけに楽譜の強弱記号を用いて焙煎の❝強さ❞を表現しているようです。
ビジュアルでパッと把握できるお洒落デザインでした。
ケニアAA。
「AA」はダブルエーと読んで、ケニア産コーヒー生豆の評価基準で最高品質だということを意味します。
「エーエー」だと思っていたことは内緒です。
バッハさんのメニューの中では上から3番目の焙煎の深さ。
ペーパードリップでさらさら抽出されます。
初めてお見かけする店員さんでしたが、バッハさん独特の「右手でドリップ左手は腰」のスタイルは健在。
さらさらしたドリップでも、苦みを包み込む甘みがしっかり引き出されています。
キャラメルのようなコク。
飲み進めるにしたがって苦みが強く感じられるようになりますが、舌の慣れも進むのでビックリするような飲み口にはならずビシッと締まります。
ニカラグア。
隣の常連さんとお店の方がずっとケーキの話をされていてグッと堪えていたのですけど、たまりかねてケーキを追加。
合いそうなコーヒーを相談してこちらをお願いしました。
1杯目と打って変わって浅めの豆。
フルーツ系のケーキでしたので、「軽いものがよさそう」とのご提案でした。
一連の流れを聞いていた他の店員さんが、すかさずカフェ・バッハのケーキのレシピ集を持ってきてくださって、ケーキ毎に合うコーヒーが解説されているのを教えてくださいました。
カップはビレロイ&ボッホ。
薄手ながらガシッと重みのあるカップで、口当たりはなめらか。
柑橘に近い酸味を残した浅煎りコーヒーをより軽やかな印象で口の中に運んでくれます。
そしてショートケーキ。
ケーキやお菓子類も店内の厨房で手作りされているのですよね。
厚めのジェノワーズに密度の濃いクリームシャンティ。
苺は酸味と香り。
第一印象は、生地が厚めで重そうかとも思いましたが、意外とたっぷりな中段のクリームと苺の瑞々しさもあってしゅわしゅわとろっと軽い食べ口。
苺とミルクの鉄板の組み合わせを、生地の素朴な甘みが下支えして、これぞショートケーキという王道の味わいでした。
元々浅煎りのコーヒーって苦手だったのですけど、その良さを教えてくださったYAZAWA COFFEEさん(築地)で受けた感覚に近い酸味と香りを楽しむコーヒーでした。
バッハさんでも深煎りばかり興味がありましたが、幅広く挑戦してみたいなと思いながらごちそう様でした!