この日はランチに「イルトラム」さんへ。
ちょっとお久しぶりだったので近況報告などしつつ。
2020年は結局ほとんど伺えなかった不義理を詫びたりなどしつつ。
それでも相変わらずおしゃれでこじんまり可愛くて、居心地のいい空間を堪能させていただきます。
お店のロゴ入りのグラスでお水をいただきます。
シェフの友人が書いたとかただったと思いますが、お店に飾られた絵なのですよね。
とさかが「il tram」なニワトリ。
フォカッチャはイタリアの小麦で。
よく膨らんでいますが、ぼそっと質感の強い生地です。
紫いものスープにパルミジャーノレジャーノのクロッカンテ。
紫いもとパルミジャーノの香りの組み合わせで、ちょっとハムとか加工肉系の香りに感じられるのがちょっと面白かったです。
濃厚で独特の風味のある甘みのスープに、ギラッと効いた黒胡椒。
クロッカンテをばりばり割りながらいただきます。
続いて定番のブッラータは、苺とピスタチオ、それから白バルサミコ酢。
苺はとちおとめ。
バルサミコ酢の酸味が意外と強めに主張しますが、苺の味と馴染みのいいものでした。
ミルキーなブッラータと苺の相性もいわずもがなで、意外なまでに一体感のある1皿でした。
真鯛のヴァポーレ。
フィルムで包んで蒸し焼きにしたお魚料理です。
ちょっと来ない間にお皿がコンパクトに。
中のボリュームは変わらず、というかむしろお魚は大きくなっていたように感じました。
真鯛に、白いんげんのソース、じゃがいものニョッキ。
白いんげん豆は動物性の脂や塩気と合わさると、魅力が何十倍にも膨らむ食材ですよねえ。
ざらっとした舌触りと、味付けによって浮き立つお豆自体に甘みが秀逸。
スペシャリテのチコリの1時間ロースト。
トリュフオイルを塗りながら焼き上げるので、凄まじいトリュフの香りがむんむんと広がっていきます。
手前にゴルゴンゾーラ・ピカンテと松の実のロースト。
白菜のような苦みとネギのような甘み。
なんともいえない複雑な味わいに、どこまでも上品な香りに、ゴルゴンゾーラと胡椒でビシッと輪郭を付けるような絶妙な組み合わせ。
舞茸のラビオリ、聖護院大根のソース。
散らした柚子皮の香りがふわっと。
塩気は押さえて大根の甘みとちょっと青っぽい味が前面に出た味わいのソースです。
ラビオリの中にはディクセルのように細かく刻んだ舞茸が入っていて、風味はもちろん旨みや、ペースト状でねっとりした舌触りも印象的。
「チーズ入ってます?」と聞いたら、入ってはいないそうなのですけど、他のお客さんにも同じ内容を聞かれたことがあるそうなのでそういう味わいや食感ということなのだと思います。
タヤリンという卵をたっぷり使った手打ちパスタに、人気メニューになってきているトマトソース。
パスタは3日くらい寝かせてから使っているそうです。パスタにも寝かせるとかあるんですね。
フレッシュで酸味も比較的感じられる味わいなのですけど、尖ったところがなくてとてもいい味なのですよねえ。
麺も少し幅がある分、それ自体の風味もしっかり感じられてソースと物理的にも味覚的によく絡んでいました。
メインは豚のロースト。
おろし玉ねぎのソースにフライドオニオン。
右奥の黒いのは生の粒胡椒です。
メイラード反応を強調しないで肉の身の部分で味を表現したようなロースト。
よくいえばやさしさ、逆にいうと「肉料理」としては弱いのですけど、フライドオニオンの食感や生胡椒の鮮烈なアクセントで印象的な1皿に仕上がっていました。
というわけで、少しずつ変化というか前進というか、お!とうならされるところのある料理の数々で心から楽しむことができました。
ごちそう様でした!