前回の初訪問で魅了された吉祥寺の「珈琲笠間」さんへ再訪。
先日はお菓子の用意がないタイミングで、コーヒーしかいただけていなかったのですよね。
充(ケニア)、ガトーショコラ。
カップ、コースター、お皿はどれも目に味わい深いもの。
コーヒーは豆と湯量で3段階のメニューが用意されていますが、今回は真ん中の充でお願いしました。
珈琲豆の量は20gで「しっかり充実感のある濃いめの1杯」。
酸味は飛びきった深煎りなのですけど、甘みと苦みの組み合わせでどことなく果実味に似た風味が漂います。
前回ありつけなかったお菓子とようやくご対面。
見た目に分かるほどギュギュギュッと詰まって重厚感が伝わってきます。
ビターな味わいを想像していましたが、ミルキーというか、豆乳のようなごくごくマイルドな風味が印象的。
穏やかにぽくっぽくっと弾けるくるみの食感も心地よいです。
お菓子と合わせるときは、似たニュアンスを持ったコーヒーを選ぶように意識するのですけど、今回はガトーショコラが予想と違った味わいでしたがコーヒーの方もちょっとイメージと違ったところに落としどころを作っていらっしゃって、結果的に半周回って見事にマッチした組み合わせになっていました。
ビターさと果実味が入れ替わった感じ。
穏やかで佇まいのいいガトーショコラでした。
コーヒーとの相性もさすがの仕上がりで、他のお菓子も俄然気になってきてしまいました。
もう1杯何かを……ということで、ちょっと変わり種の「浮雲」を注文。
オレグラッセなどとも呼ばれる牛乳とコーヒーを分離させて提供するメニューです。
ミルクに甘みを付けることで比重を重くして、コーヒーが沈まないように注ぐと比較的簡単にできるのですけど、こちらでは甘みを加えずにただただ慎重にデミタスを1滴ずつドリップするという気の遠くなるような作業で淹れていらっしゃいました。
すごい集中力です。
浮雲。
二層味わうミルク珈琲。
「濃厚な珈琲とミルクが口の中で溶け合う。少しずつ飲むことで味わいが変化します」。
コーヒーは70cc。
大変美しく淹れてくださったにもかかわらず、こちらのスプーンで混ぜて飲むように案内がありました。
茶道っぽい要素の多いお店だとは思っていましたが、せっかく均整のとれた1杯を崩していただくというやり方からは、「完全ではないもの」に価値を見出した千利休を思い出させるところがあります。
小さな金魚鉢のような形のグラスに白は白く、赤茶色は赤茶色にくっきりとコントラストが目を引くドリンクとなっています。
店主さんはコースターにもこだわりがありそうで、恐らく浮雲で使いたかったのはこれではなさそうで、しばらく周囲を探し回っていました。イメージしたコースターは他のテーブルで使っていたのかも。
かなり長い時間をかけて注いだこともあってかなり温度は落ちているので、ミルクの濃厚な甘みが強調された1杯になっていたと思います。
飲み進めるにしたがって、コーヒーが入荷されて全体がキャラメルのように濃厚なコクをまとい始めました。
シンプルなコーヒーだけでも十分再訪したくなる理由になるのですけど、お菓子やアレンジメニューの選択肢まで増やしてしまいました。
また近いうちに伺いたいな!と思いつつ、ごちそう様でした!