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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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鹿児島市の「CAINOYA」でお肉のコース。

9月20日(日)、この日のランチは鹿児島で人気のイタリアンへ。
場所は照国神社の目の前、「鹿児島を代表する」というに相応しい立地。


CAINOYA。
某口コミレビューグルメサイトで4点を超える実力店です。
地方の高得点店って信用ならないパターンも多いのですけど、こちらはご主人が魂のこもったブログを書いていらっしゃったりして信じてみたい気持ちになったのですよね。


12時開店、12時半料理スタートということで12時ちょうどにお店に来ましたが1番乗りでした。
他のみなさんはパラパラといらっしゃって、僕はちょっと硬く考えすぎていたようですね。

ちなみに1931年創業と書いてありますが、山梨(甲斐の国)から移り住んだ2代前から続く老舗なのだそうです。
初代は和食・洋食を提供する食堂、2代目は和食店だったそう。


おひとり様の予約は迷惑かとも思いましたが、この日は4組がおひとり様。
もう1組も4人席を2人でご利用、と結構柔軟な対応をしてくれそうです。

サービスの女性も「今日はおひとりのお客様ばっかりなんですー」とニコニコ。


「水はガス入り、ガスなし、お冷がありますがいかがいたしますか?」
との質問がありましたが、食い気味で「お冷」を聞く前にガス入りをお願いしてしまいました(笑)。

ガス入りを頼まれる方がほとんどでしたね。


ソファ席でゆったりと。
青と白の単色の組み合わせで、清潔感と大人の色気がムンムン。


お料理は12時半を少し過ぎてスタート。

最初にこちらのお店の売りをひとつご紹介しておきます。
それは「ガストロバック」という、世界の料理界の最先端をいくスペインで生み出された減圧調理法。
容器内を減圧することで浸透圧を利用して味や水分を食材に自由自在に浸透させるのだとか。
そういうのってディナーが中心でランチだとがっかりすることも多いのですけど、こちらは大盤振る舞いでしたよ。


ガストロバックで、ムール貝、トマト、玉ねぎ、サフランなどを白ワイン蒸しにして煮出した出汁をムール貝に戻して、と複雑な工程を経てここまで辿り着いています。
かなり強気な塩気が印象的。

ガストロバックの特徴のひとつは、低温調理であるため食材へのダメージが少ないこと、だそうですがさすがにキッシュに焼きこんでしまうとムール貝は縮んでいますね。
パンチェッタのように凝縮した仕上がりです。

にんにく風味のマヨネーズ、ルイユがとても美味しかったです。


ジャガイモの冷製ヴィシソワーズ バターのジェラート 胡椒の泡。
ジェラートと合わせるスープといいますと、塩気を効かせているかと思いきやマイルドなヴィシソワーズ。
ジェラートはそこそこの甘みと確かなバターの香り。


ここで再度ヴィシソワーズに戻ると、お!塩気がキリッと立ってる!

バターのジェラートはわざとかどうか知りませんが、バターが分離して固まっていました。
面白いですけど、バターの香りはやっぱりもう少し温かい方が活きるかなという気も。


さつまいものフォカッチャ。
焦げっぽく強く焼き込んだ表面にはゴリゴリに岩塩をまぶしてあります。
めちゃめちゃ美味しいのですけど、喉が渇きますね。
でもパクパク食べちゃいます。


クリスタルサラダ。
表に見えている色とりどりの野菜はガストロバックでミネラルウォーターを浸透させているそう。

お店の説明にあった「パリパリの食感」にはほど遠かったようにも思いますが、生とも加熱調理したのとも違った「シャクシャク」という食感は確かに他にはありませんね。


ミネラルウォーターをたっぷり含んでいるということで味が薄まっているのではと心配しましたが、澄んだ味の後にギュギュッと詰まった濃い味が口中に広がりました。


下には色々な調理をした夏野菜。
フリッターの衣はちょっと野暮ったい感じでイマイチでした。


トウモロコシのソースと黒オリーブの粒。
この辺りは見た目と違って味はハッキリしていて面白いです。


これはなんとオリーブオイル。
ふっと融けてふわっと香ります。


透き通っているのが伝わるでしょうか。
表現が悪いですけど、間違えて冷凍させちゃったリーフ野菜ってこんな感じだったような。


メインは黒毛和牛の経産牛。
経産牛というのはお産を終えた直後の、ほどよく脂の落ちた牛なのだとか。
塩を浸透させるために1日エイジングさせているそうです。

手前はマッシュポテト。


芯温53℃に焼き上げたとのご説明がありましたが、確かに赤の鮮やかな中心までホカホカに温かかったです。
見た目には少し脂もあるかと思いましたが、いただいてみるとグリッとした食感以外はほとんど脂を感じませんでした。
こんなふあふあな赤身肉は初めて食べた気がします。


ガストロバックの塩気とは別に表面の塩がかなりガッツリ。
肉の火入れは完璧に近い出来だと感じましたが、塩の強さは好みと違いました。


付け合わせは焼き肉のタレのような味付けのキャベツ。
厨房でシェフが中華鍋のようなものを振っているのが見えて、何だろうと思っていましたがこれだったのかもしれません。

美味しかったですけど、ちょっと意図は読めませんでした。


大隅半島福留牧場のチンタセネーゼ豚のラグーのリガトーニ
ワインとオリーブオイル、チーズの香り。

少なめ、とお願いしましたが、もともと結構少量だったよう。


肉の質感もさることながら、とにかく香りがいいです。
夢見心地、ときめくような、心躍る、素晴らしい香り高さ。


こうして、香り香りと意識していただくと、パスタというのもなかなか香りに魅力のある食材だと気が付きます。
大地を思わせる素朴で穏やかな小麦の香りに豊かで湿潤なソースの香りが流れ込み浸みていきます。

今回は単純にラグーとの組み合わせの好みでショートパスタを選択しましたが、次回があれば追加料金でお願いできるという手打ちパスタにも挑戦してみたいです。


食後のドリンクはコーヒー、エスプレッソの他この箱の中にあるティーバックから好みのものを選ぶことができました。
ティーバックとはいえ何だか面白そうなのでこのハーブティーを選んでみました。


カイノヤ風ティラミス。
下にはキウイとバナナ、メレンゲとココアのクッキーかな?


マスカルポーネのムースをキャラメリゼ。
ムースというかソースといった方が適切なトロリとした舌触り。


包んであるのは黒糖のアイス。
焦がした黒糖を使っているということで、かなり尖がった苦み。
最初はびっくりしますが、これクセになりますね。

ティラミスというわりにエスプレッソを使っていないのが不思議でしたが、この苦み走った黒糖がその代わりだったのかもしれません。
鹿児島らしい食材を使ったティラミス、まさしく「カイノヤ風ティラミス」ですね。


これが上記写真から選んだボンベイチャイ。
ロイヤルミルクティーで淹れていただきました。

砂糖壺が・・・


すっきりとした味、クセのない香りで飲みやすいです。
カルダモン、オレンジ、ペッパー、クローブ


こちらのハーブティー、なんでも手作業でひとつずつ袋に包まれる、オーガニックハーブティーのブランド「マイティーリーフ」のものなのだそうですよ。

最近紅茶を飲みたい気分がどんどん高まっています。


お茶菓子にブルーベリーのフィナンシェとかぼちゃのスープ。
ここまで抜かりなし。


フィナンシェはバターたっぷり。
表面は焼き込みがやや強めですが、ネッチリと食感もあっていい感じ。


かぼちゃのスープにはチョコレートのムース。
なんだか合わせていただくとかぼちゃプリンを思い出します。

甘さも塩気もないかぼちゃのスープが好み。


サービスの女性は、動きに無駄がなく堂々として見えましたが、料理の説明はやや棒読み気味で止まることもしばしば。
ちょっと不安なところもあったものの、それを帳消しにする破顔一笑、表情のとても素敵な方でした。
この方目当てにファンも付きそうなほど。

お料理は塩気が若干好みと違ったものの、アイディアの面白さ、もちろん肉の火入れをはじめ調理自体素晴らしかったと思います。
ガストロバックは、イチオシにするほどその素晴らしさが分かりませんでしたが、惜しみなく楽しませてくださるのが嬉しかったです。

もちろんこういったお店ですとディナーに本領を発揮するような気もしますので、また機会を作れたらと思います。
ごちそうさまでした。

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