1月22日(水)、ありがたいことにお誘いいただいて、新富町の「鮨はしもと」さんへ。
昨年お店が近所に移転した直後に1度伺って以来の訪問です。

前回は移転祝いのお花に埋もれていた入口ですが、シンプルな佇まいになって却ってオーラをまとっている気がします。
時間になって店内へ。

左端に着席。
前回は右寄りの席でしたので、これで両サイドを経験できることに。
結論としては、こちらは目の前でお弟子さんが作業されるので、軽い感じのトークを楽しむことができるようでした。
楽しいお席でした。

はしもとさんに来たときの楽しみの一つであるお湯呑み。
薄手の飲み口から、甘みから苦みにわたって幅のある味わいが広がります。

まずは突き出しに、真鯛のお出汁。
柚子の香り、鯛の身も入っています。
舌全体に浸み渡って、食欲を引き出される旨みです。
さて、ここからつまみがスタート。

かんぱちと、平目。
レギュラーの平目と、何か貝類が出ることが多い気がしますが今回はかんぱち。

かんぱちは20キロの大物。
やや厚みのある切り方で、さくっと歯応えしっとり脂。

平目。
薄く切ってありますが、ふわっとエアリーでボリュームのある食感。
淡いながらも、じっくり味わうと意外に強さのある旨み。

お茶を替えていただきまして。

焼いたふぐ白子。
ずっと香ばしさが漂っているとは思っていました。

下にはシャリ、上からは卵黄醤油。
最初に混ぜ合わせて食べるように指示があります。

海のベシャメルともいうべき白子と和えて。
リゾットという言葉も出ていましたが、どちらかというとドリアに近かったかもしれません。
ふぐの風味と、卵黄の旨み。

すっぽんの茶わん蒸し。
すっぽんの出汁に身も少し。
ブイヨンに近いような、分かりやすく旨みの深い香りがしています。

仕上げにブラックペッパーがかかっていて、お出汁と合わさってラーメンのスープを思い出すような香りに仕上がっていました。
ちょっと鈍い色になっているのも特徴。
はしもとさんの茶碗蒸しは意外性のある具材が特徴になっていることも多いのですけど、今回はシンプルに卵生地で唸らされる1杯でした。

煮だこ。
お寿司屋さんのつまみメニューの中でも好物のひとつですが、久しぶりにいただけた気がします。

綺麗な小豆色の肌。
ギュッと締まった身からじゅわっと溢れる旨み。
表面はぷよぷよ。
味付けは比較的甘め。

鯖巻き。
シャリはなしで、ガリ、たくあん、大葉、胡麻を巻き込んであります。

鯖はかなり脂の乗ったもの。
この鯖巻きのときはしっかりめに〆て香りを立たせた鯖を使うイメージがありましたが、じゅんわっとすぐさま融ける脂乗りの鯖というのもそれはそれは絶品でした。

はしもとさん定番のおつまみ3種盛り。

牡蠣の味噌漬け。
水分が抜けてクリームチーズのように濃密な質感。
濃い牡蠣の風味。

筋子の味噌漬け。
こちらも水分が抜けて、ネチッと濃密。

鮟肝。
甘く炊いた鮟肝は、ひと口で濃厚なバター菓子でも食べているようです。

お茶を挟んで。

つまみは最終盤なので、ご主人は握りの準備に差し掛かっています。
お弟子さんが焼き台から魚を下ろして準備完了。

焼き物は、エボダイ。
昨年夏にお店が移転したとき、住所はほとんど変わらなかった一方で大きな変化だったのは焼き魚がサラマンダーから炭火になったこと。

エボダイは小さく、脂も少ないため焼きすぎないことがポイント。
なるほど最小限絶妙に芯まで火を通しておいて、皮目はちょっと色付き始めた程度のカラッパリッとした仕上がり。
エボダイがそもそもとてもいい香り。脂がいい香り。

ごつごつ厚みのあるお湯呑み。
お茶を替えていただいて。

ガリと指拭きが登場。
焼き魚からのこの流れは紛うことなき握りへの一本道であります。

ぽくぽく歯応え。
止まらないガリ。

小肌。
やはりこちらの1貫目は小肌。
厚みがあってかなりの脂乗り。
一瞬でさわやかに消えず、頭で考えて小肌を感じることのできる1貫です。

淡路島の真鯛。
張りのある歯応えに、皮目下の旨み。
煮切りで整えられるものの、そのままで芯の太い強い旨みが出ています。

北寄。
サッと火を入れる、の「サッ」が以前にも増して「サッッ」になったと思われるギリギリの火入れ。
もうほぼ生に近いのですけど、でもどこか生では出ない味が出ているのですよね。

薄口で少しゴリッとしている。
今回でいうと1番好みのお湯呑みはこちらだったかもしれません。

鰤。
かなり脂の乗ったところですね。
でも天然の鰤は養殖物と比べて、脂がサラッと軽め。

漬けになっている分、身も味も引き締まっていました。
もっとなまめかしい食感のイメージがある魚ですけど、全然違っています。
春子鯛。
春子は血鯛などの子どものことなので、要するに小さな魚なのですけどこれはなかなか肉厚。
モチモチした噛み応えとともに、クセのない若々しい旨みを堪能できます。

漬け。
大間が終わりかけの時期で、塩釜のもの。
はしもとさんでは、基本的にまぐろが3種類出ますがまずは赤身。
薄めに切って、折り返すようにして握られてあるので、旨みよりさっぱりした香りが口の中に広がるようになっていると思います。

ちょっとずんぐりしたお湯呑み。

橋本さんはやや小柄な身体の印象とは対照的に、手は大きくてたくましいのですよね。
この手で繊細に握りあげていくわけですが、次は…

中とろ。
同じ塩釜のもの。
冬のまぐろらしく、脂がしっかり濃厚な味。

サヨリ。
目の前で下ろされたカンヌキサイズの美しいサヨリ。
ゼリーのような食感と、光り物特有の渋い香り。

カマトロ。
まぐろ3貫目は、塩釜ではあるものの違う個体。
なんかもう肉寿司みたいなビジュアルになっています。

かなり薄く切ってはありますが、それで十分な脂乗り。
まぐろの香りもそこそこに、ただただ脂の旨みを感じながらシャリの美味しさを改めて感じるような1貫でした。

お茶を替えていただいて、ここからラストスパート。

車海老。
いつも美しい海老ですが、この日は特にいい色。
ちょっと青みが混じったような濃い色をしています。
食感のベストからいうと若干火が入りすぎ感もありますが、これくらいにすると味の濃いこと濃いこと甘いこと。

ウニ。
バフンとムラサキ。
口いっぱい独特の風味と、強い甘み。
噛んでいるうちに、海苔の香りとどんどんと混ざり合っていきます。

ギラッと輝くお湯呑み。
上から見ると八角形です。

うにが出る時点で「あとうにが出て、穴子が出て握りはおしまい」と分かっているので、もう玉子焼きが切られていく様子なんかは映画でいうとエンディング。

穴子。
頭側か尾側かで身を表にするか皮目かが変わるのですけど、今回は頭側。
落ち着いた食感で、ストレートに身の味を感じられます。

玉子。
やや半生のような感覚の残る濃厚カステラ系玉子焼き。
海老の風味。

お椀は…、

定番のしじみ。
量といい、味といい、強すぎない仕上がりでソフトランディングで胃を落ち着けてくれます。
というわけでお誘いいただけて、冬真っ盛りのはしもとさんを満喫することができました。
「これ!」という目玉のようなネタがないようにも思いましたが、改めて振り返るまでそれに気が付かないほど1貫1貫のクオリティーに大満足。
あの手この手でお客さんを楽しませようという工夫、進化も感じられてとても面白かったです。
ごちそう様でした!