お昼は、複数の方面からおすすめされていたフランス料理のお店へ。
2年以上前から伺おうと思っていたのですけど、なんやかやあるうちに随分経っていました。

ラ・クレリエール。
恵比寿、丸の内の「レストラン・モナリザ」の他、フランスで修業されたシェフが腕を振るって日本の四季、感性を大切にしたお料理を提供されているとのこと。

席はかなり間隔を空けて4テーブル。
白を基調にして清潔感がありますが、それぞれの席の会話のトーンやお店の方とのやりとりの雰囲気はランチということもあって比較的カジュアルでした。

早速コースがスタートします。

アミューズは3品。

ブリオッシュでサンドしたブーダンノワールとりんご。
カリサクッとクリスピーな歯触りの後、しっとり口どけるブリオッシュ、りんごも軽快な食感。
ブーダンノワールはブリオッシュの口どけと重なるように濃厚な後味。

トリュフのかき卵、スープドポワソン。
ひと口でガツンとくる高貴な香りと剛腕のような力強い旨み、風味。

スライス状のクルトンでサンドしたリエット。
わざわざクルトンにしてあるだけのことはあって、カリッと気持ちのいい食感。

トウモロコシの三重奏。
甘い甘いゴールドラッシュを3種の仕立てにした冷たいスープ。

下からゴールドラッシュのムース、真ん中にヒゲで出汁を取ったゼリー、1番上にポタージュ。

右奥に塩を散らしてあるので、左手前から食べ進めると後半に塩気と甘みの幅が広がって味が立体的になる仕掛けが施されています。
季節の味わいをガツンと右ストレートでいただいたようなインパクトある食味のよさ。

バゲットにはバターとオリーブオイルを添えて。

この時期はどこのお店でもいただきたい季節の食材、鮎の登場で中盤前からテンションが急上昇です。
こちらでは部位ごとに適した調理を加えて、1尾丸々を最高の味わいで堪能できる1皿になっています。

頭やひれは素揚げに、皮目はパリッと焼いて、身や肝はピラフに仕立てて皮目の下に。
緑のソースは笹茶。

頭はもちろん、脂のしっかり付いたひれ周りの素揚げが抜群にジューシーでした。
鮎の風味が油に馴染んで全体に回ったピラフも素晴らしい出来栄え。
シェフ曰く、鮎ご飯を意識されたそうです。
鮎料理というと日本料理の塩焼きが最高峰な気はしてしまいますけど、その洗練された引き算の魅力に対して、こちらの1皿はそれぞれの部位のいいところを積み上げた足し算の魅力で100点を超えてきそうな、フランス料理としての凄味を感じるお料理でした。

アスパラ。
北海道のアスパラ専門農場「ジェットファーム」で育てられた、柔らかくてクセのない味が印象的な上質のアスパラをシンプルにロースト。

皮の食感がないように感じるというか、内側と皮が一体になったようにスッとナイフが入るので違和感さえ感じるやわらかさ。
アスパラの強い旨みとほのかな甘みが、味付けなしでそのままいただけてしまうバランスのいい味。

スライス状にしてソテーされたアスパラとフォアグラ、あと茸はジロールだったかと思います。
シンプルに穂先から食べ始めて、根元まで到達したら濃厚なお料理が待っていますが、ソテーのアスパラが脇役というよりソースのように風味付けで存在感を示していました。

魚料理は甘鯛の鱗焼き。
華やかなシャンパンのソースでいただきます。

2つにカットして香り付けに変化を付けてあります。
上身と下身で左右逆の身になっている気がしますが、それはたまたまでしょうか。

鱗の食感がカリカリというか、ひとつにまとまってザックッととても強い歯応え。
松笠焼き自体はそう珍しくもない調理じですが、食感に伴う香ばしさといい、強く印象に残る素晴らしさでした。

小鴨のロースト。
鳩も選べましたが、初訪問なのでシンプルに火入れの分かりやすそうなお料理がいいかなと思ってこちらに。

アーモンドとフランボワーズのソース、季節のアスペルジュソバージュ、綺麗に形の整っているのはマッシュして焼いたポテトだったと思います。

バツンと弾力のいい小鴨に、アーモンドとフランボワーズはソースというよりもう1品のお料理のようにいい食感と風味。
アスペルジュソバージュは例のごとくナイフとフォークでの正しい食べ方が分からずにいますが、先ほどのアスパラよりもさらにソフトな質感とほのかな青い香り。

食後のカフェは紅茶5種類とコーヒー1種。
全体をさらっと拝見して、そんなに迷わず決められました。

アヴァンデセールにジンジャーエール風のグラニテ。
新生姜を使って、単なる「生姜のグラニテ」ではなくジンジャーエール風になっているとのこと。

下から新生姜のムース、炭酸のゼリー、柑橘のグラニテ。
同時に口に入れると、ジンジャーエールができあがる組み合わせになっています。

柑橘のグラニテには細かくカットした新生姜も含まれていて、強めに生姜が香ります。
冷たくてパチッと弾けて、ひりっと辛みが残る楽しくて美味しい1品でした。

デセールはショコラのスフレ。
日向夏やマンゴー、パッションフルーツ、ミントのソース、バニラのアイスなど細かく要素を刻みます。

フレッシュフルーツや爽やかなソースと合わせた軽やかなスフレ。
さらっといただけて豊かな風味が印象に残るデセールでした。

飲み物は、右から2番目の「エトワール・ネージュ」をチョイス。
オレンジ果肉、クローブ、カルダモン、バニラの香りの紅茶。

ミニャルディーズも豪華。
黒光りするハイセンスなプレートで提供されます。

左奥から時計回りにアマレットとチェリーのゼリー、カヌレ、胡麻のマカロン、フロランタン。
シンプルながらもアクセントのある4品です。

食材へのこだわり、組み合わせの妙、調理の丁寧さ、1皿の完成度。
息つく間もなく感動の続くコースでした。
季節を感じさせる要素がふんだんに盛り込まれていて、これはまたひと際「四季を全て押さえたくなる」お店だなあと感じました。
次の季節を楽しみにしつつ、大満足でごちそう様でした!