この日は朝からスパイスっぽいものを食べたくなって、ちょうど面白いメニューが出ていると聞いた「Tapir」さんへ。
ちょうど開店時間に着いて1番乗りになってしまいました。
何となく個人的に好きな席へ。
注文をお伝えしてお料理を待ちます。
開店直後だったので少しいつもより時間がかかったかも。
独特に豊富な色みが盛り込まれたテーブルが完成。
もうこの時点で世界観なのですよね。
いちごカレー(ビーフミートローフ)。
苺を使ったカレーということでどんなビジュアルで来るか身構えていましたが、苺を上回るいんぱくとのミートローフが載ってきました。
強い。
とはいえよく見ると、火が入って色の抜けた苺もたくさん載っていることに気が付きます。
全体に苺の香りが回っているので、想像したより甘い印象の要素が色濃く感じられました。
ビーフの脂がじゅわじゅわ溢れ出す驚くほどにジューシーな仕上がりで、ガーリックチップ、ピンクペッパーが重くなりそうな後味を賑やかして気付いたら苺畑に迷い込んでいるような。
何口食べても「どういう道を辿ったか分からないけど目的地に着いていた」みたいな不思議な体験を繰り返すことになりました。
チャパティとバスマティライス。
派手な味のカレーと素朴なチャパティが心地よい好対照。
定番の豆スープには、季節柄を感じる桜の塩漬けが入っていました。
桜の塩漬けってニュアンスが強すぎる素材だと思うのですけど、こちらは豆スープが優勢に進めながらもほのかに香るくらいの見事なバランスで味がとけ合っていました。
豆スープ、絶品なのですよねえ。
菜の花サグ。
料理の一食材として考えるとなかなかクセのある食材だと思いますが、スパイスとにんにくを上手にはめ込んで表面をならしたような収まりのいい味わいに仕上がっています。
菜の花を香らせつつマイルドなのですよね。
デザートの前にマサラティー。
「美味しいマドラーをどうぞ」と食べられるマドラーを渡されます。
「Tapir」さんのデザートは食材名のみ表記されることが多くて、この日はりんご、ラズベリー、豆、すいとん、ブランデー。
いつにも増してぶっ飛び感のある並びになっています。
曰く「冷たいぜんざい」とのこと。
「お餅の代わりにすいとんを使っています」と説明がありましたが、もはや気になるのはそこじゃないよなと思いながら食べ始めます。
りんごのコンポートに、ラズベリー風味のアイス、ちゅるんと軽い質感のすいとん。
そしてツールダルみたいな豆が特有の風味を放ちます。
尖ったところのある組み合わせですが、後口はブランデーがシャープに引き締めて終了。
爆発的に広がりのある風味を、一気に収束させる「Tapir」さんらしいデザートでした。
次はどんな驚きをもって楽しませてくださるのか、楽しみにしながらごちそう様でした!